第13回「多読支援セミナー」報告 その③ 英語分科会

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多読支援セミナーの報告第三弾は、午後から行われた英語分科会の報告です。

(E1)実践報告

報告:繁村

『楽しさを伝える ~多読実践から多読支援へ~』
——遠藤 樹子さん(デジタルハリウッド大学准教授、日本語・英語多読サークル「たどくらぶ」主催)

遠藤さんは日本語教育に携わるようになって十数年でNPO多言語多読監修の『日本語教師のための多読入門』に衝撃を受け、いきなり多読を取り入れてみたけれど大失敗。ここで自分が多読をしていないのに学生に多読を押しつけてしまっていたことに気づき、まず自分で英語多読を試してみたそうです。ここで本を読む楽しさだけでなく、様々な国や文化に触れて驚きや感動を得て、またそれらを他の「タドキスト」とシェアする楽しさに、多読に実践者としてどっぷりはまります。

大学内で遠藤さんの多読が知られるようになったこともあり、メディアライブラリの多読コーナの選書を任せられるようになったそう。そして任せられたからには絶対にいいものにする=自分で読んで面白かった本を中心に据えるようにしたそうです。

多読の楽しさを伝えるには、本の多さも重要ですが、まず支援者自身が多読を楽しむことこそが重要とのこと。「多読は実践も支援もみんな楽しい!」で締めてくださいました。

(E2)多読図書に触れて読んで支援について語り合う

報告:新井

午後の英語分科会。会場となった部屋のドアを開けると、、、中央には英語の本がずらりと並んだテーブルがいくつも。英語本の島がぷかぷか浮いているようでした。それぞれの島は「絵本島」「ノンフィクション島」「ティーン向け本の島」などテーマがあり、しかも多読初心者向けの本から少しずつ島を渡っていくと、、、最終的には専門書にまでたどり着く、という仕掛けつき。



遠藤さんの実践報告の後、参加者は「島めぐり」開始。一番人気は「絵本島」。
「これ、大好きなんです💕」
「わかるー、すごーくいいですよねー💕」
という声を耳にしたら、誰だって近づきたくなりますよね。「文字なし絵本」や「大人の方も大好きな絵本」という熱い「推し」の言葉に思わず手にとり、「ああ、なるほどこれはいいですね♪」と納得してニッコリなさったのは大人向けの本をお探しだった方。

科学系の本や伝記が並ぶ「ノンフィクション島」でも「自分が苦手なタイプの本」や「本のおすすめの仕方」などの情報交換の声が聞こえます。本との出会い、そして「人との出会い」があった分科会でした♪

(E3)グループトーク

報告:小川

さまざまな本を手に取って、久しぶりの人、初めての人と出会い語り合ったあとは、5年ぶりの対面でのグループトークです。まだ本の話の熱気を残しながら、グループに分かれました。前半は所属と支援の対象ごとに「児童~中高生対象(個人英語教室など)」「大学進学塾・大学」「図書館・これから支援を始める社会人」のグループで話し合いました。後半は、くじ引きでグループをシャッフルして、背景が異なる支援者同士でも情報交換しました。


各グループで出たトピックは、本の選び方、おすすめ本、ブックトーク、読む以外のアクティビティ、支援する相手とのコミュニケーションの取りかた、多読をわかってもらうには、公共施設での多読支援を始めるには、など多岐にわたりました。同じ空間での話し合いは、やはり情報量が多かったです。実践の工夫、現在の悩み、質問などに対し、聞いている人たちが反応し、一緒に考える時間になりました。まだまだ話が尽きないところで終了時間となりましたが、仲間と話し合った後だったからでしょうか、笑顔があちこちで見られました。

* * *

報告その④へ続く。

(事務局)