10/29(日)オンライン初級向け読みもの作成講座(経験者向け)報告

LINEで送る
Pocket

10月29日に、経験者向けオンライン「初級向け読みもの作成講座」を開催しました。これは、過去に「オンライン読みもの作成入門講座」に参加してくださった方に呼びかけて、そのステップアップ講座として数ヶ月おきに行っているものです。ベルギー、アメリカ、高知、広島、兵庫から6人の方が集まりました。講師は粟野、松田、川本が務めました。

参加希望者には、あらかじめ、レベル0か1の読みものを作成して提出するという課題が出ていました。

まず、簡単な自己紹介の後、それぞれの課題作品を画面共有して読んでいただきました。
作品は、地元に伝わる伝承民話とイソップの「ウサギとカメ」、「カラスとキツネ」、落語の小咄と有名な落語「まんじゅうこわい」「時そば」でした。オチのある話、面白おかしい話をみなさんが選んできたのはさすがです。どれも多読の読みものにふさわしい内容だと思いました。
作成者がそれぞれレベル設定や、作成意図、疑問点、工夫したことなどを説明した後は、他の参加者から質問、疑問を受けました。
イソップの話はオチがかならずあり、筋も追いやすいので初級の読みものに最適ですが、レベル0であっても、話に「山場」をうまくつくって読者の心をつかみたいところです。その山場は、適切な場面分けや効果的なイラストの配置などで作っていかなければならないわけですが、提出された課題作品には、それがやや足りなかったかなという印象でした。

伝承民話は、うまくレベル0に落とし込めており、あとはイラストがつくのを待つばかり。イラストを描く方も確保されているとのことなので、完成も間近いのではないかと思います。
その他、落語の小咄と落語2話に関しては、以下のような問題がありました。
・場面分けがされていない。
・テキストの語り手がだれなのか、はっきりしない。第三者なのか、登場人物の語りなのか。
・レベル1としては、字数が多すぎる。

そこで、後半は、これら3つのグループに分かれて課題作品を手直ししていくことになりました。

1時間近くグループで作業をした後、また集まって修正後の作品を発表してもらいました。
だいぶ、多読の読みものらしくなりました。
最後に、みなさんから感想をいただきました。

・擬態語の工夫など、テクニック的に勉強になった。
・場面分けをしたら、とてもわかりやすくなった。学習者の目線で考えることができた。
・イラストの重要性、わくわく感が大事、ということが勉強になった。

さらに、アンケートには、こんな言葉が並びました。

・楽しくて、3時間があっという間だった。
・作る過程で交流が生まれたのがよかった。
・語彙や文法のレベルわけがあるのは知っていたけど、文字数の目安があるのは知らなかった。
・「ため」「おち」を考えるということは、思いついかなかった。

これからも、読みもの作りと、それを活かした多読指導を続けてくださるといいなと思っています。

(川本 記)