5/8(日)「日本語多読で〇〇出そう!プロジェクト」発表会 報告

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NPO多言語多読では、2021年5月より会員を対象とした「日本語多読で〇〇を出そう!プロジェクト」を定期的に開催しています。
設立の背景には、近年の日本語多読に関連する研究・報告の増加があります。
1)会員のみなさんの多読に関する知見や支援経験を研究や報告などにして世の中に出していこう、そして報告をもとに、
2)支援者やこれから支援を考えている方々への力になろう!
という目的でプロジェクトが開始されました。集まりでは、会員のみなさんがそれぞれの支援現場で考えたテーマについて小グループで意見を交わしたり、小グループで話し合った内容について参加者全員で議論を行ったりしています。

8回目の開催となった5/8(日)はプロジェクト発表会と題し、今年、学会などで研究発表をされた2組(3名)の方に再度、参加会員向けにお話をしていただきました。今回のテーマはこれまでの集まりでも議論されていた「ちょこっと多読」(短い時間で多読を行うこと)です。日本国内・海外から集まった会員(新会員2名を含む)20名が参加しました。


発表①髙橋温子(スミス大学)・クック史子(ちかこ)(テキサス大学オースティン校)
多読によるプラス要素の再考察:通常授業内「ちょこっと多読」がもたらす学習者のウェルビーイングへの有効性
※プリンストン日本語教育フォーラムでの発表を改めて伺いました。


発表②劉星(北京理工大学珠海学院)
日本語多読による自律的な読書習慣の育成を目指してー『日本事情』授業における15分間の「ちょこっと多読」の実践ー
※中国の学会でのポスター発表を、発表形式で改めて伺いました。

質疑応答の後は、メインルームでちょこっと多読に関する議論も行われました。ちょこっと多読の効果に関する意見交換や、他の参加者が実施しているちょこっと多読の実践例が共有され、学びを深めることができました。特に「多読の実践を通して、教師自身が変わる」という参加者の声に共感する参加者が多く見られました。
その後は小グループのブレイクアウトルームにも分かれ、より深い議論に発展させることができました。ほかに数名から昨年度の研究成果や実践報告も行われ、盛会のうちに終了しました。

事後アンケートでは、「多読の授業をやりたくてもなかなかできなかったのですが、ちょこっと多読ならできそうです。来週から始めます」という声も。10分程度の多読なら、まずは多読支援をやってみようと考える教師、支援者の方でも簡単に導入が可能そうです。また、「インクルーシブ、well-being、能力主義にならない外国語教育など、心に残るキーワードがいくつもありました」と、たくさん読むということを超えた多読の広がりに触れる回答もありました。
さらに、「プロジェクトを通じて、多読に関する実践や研究の幅を広げることができ、非常に有意義だった」とコメントがあり、立ち上げに関わった筆者は非常にうれしく思いました。
今年度も引き続きプロジェクトを開催していく予定です。

(プロジェクト取りまとめ担当・正会員 高橋亘)