5月30日(日)番外編「オンライン初級用読みもの作成講座」報告

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5月30日、午前9時から「初級用読みもの」を作る講座を行いました。
2ヶ月毎に開く通常の「読みもの作成入門講座」では、レベル0のお話のリライト、中上級用に小説のリライトを少しだけ経験していただくのですが、アンケートなどでじっくり初級用読みもの作成に取り組みたいという声が多く聞かれるようになってきたため、今回初めて、初級用の読みものに特化した講座を経験者向けに非公開で開きました。

お集まりくださったのは、9名。NPO多言語多読の会員も2名含まれています。
一方、アドバイザーは、NPOの4名。

20210530

最初は、あらかじめ出されていた制作課題を見せていただき、スタッフからアドバイスをしました。宿題は、「イソップ」のお話を入門者レベルの本にリライトしてくるというもの。
みなさんが持ち寄ったのは、「すっぱいぶとう」「ウサギとカメ」「犬と肉」「カラスと水差し」「わたしと熊と友だち」

みなさんの作品を見ながら、入門レベルの読みもの作りに必要なことをスタッフがアドバイスしていきました。一部をご紹介します。

「すっぱいぶどう」
・キツネの心の葛藤がストーリーの「肝」になっている作品は、なかなか入門レベルの読者に分かってもらうのは難しい。題材選びのときに考慮すべきポイントだろう。
・「くやしい」も、このレベルでは知っている読者がほとんどいないと思われるので、具体的に「くやしい」内容を表す必要がある。
・繰り返しを多用して、状況をわからせようとした工夫はとてもいい。

「ウサギとカメ」
・「きょうそう」「かちます」は使わずに「走りましょう」とか「私が一番です」などで置き換えられるのでは?
・ウサギが寝すごして、起きたらカメがもう山の上、と一気に話を進めるより、寝ているウサギの前をカメが通り過ぎるところなどを入れて、過信しているウサギと着実なカメをしっかり表現した方が読者が話のポイントをしっかり把握できる。最初にウサギがカメを笑う場面もポイントとなる。

「カラスと水差し」
・イラストに切り絵を使ったのは面白いアイデア。
・石を入れて水差しの水の水位がだんだん高くなってくるところは、場面分けをもう一息工夫するとよい。

などなど・・・。

ここまで1時間で終わる予定が1時間半以上に延びてしまいました。でも、レベル0を作るときの重要なポイントがかなり網羅された点はよかったと思います。

後半は、4,50分で創作に挑戦です。

ここからは、3人のグループにブレイクアウトルームで分かれ、ごく簡単な決まり文句などを取り上げて、お話を作ります。
「ちょっときて」「わたしもです」「やった!」の3作品ができました。
キーワードの取り上げ方がとてもいいと思いました。
「ちょっときて」「ちょっとみて」・・・は、子どもの日本語学習支援にあたる参加者の日々の生活の中の言葉。「子供たちが毎日出会う言葉」で作りたかったとのことです。
「わたしもです」は、日本語があまりできない段階でも、相手とコミュニケーションがとれる言葉をしってほしいとの思いから選んだそうです。なるほど!です。その視点がすばらしいと思いました。
「やった!」は、大きな達成感「やった!」から小さなラッキーの「やった!」まで日常でよく使われる言葉です。家族ひとりひとりの目標達成の「やった!」を表現したのは、とてもいいアイデアでした。ただ、小さな「やった!」も入れるといいという意見が出ました。

短い時間にもかかわらず、どのグループもあと一息のところまで仕上げたのはさすがでしした。またまた、時間に追われるワークショップになってしまいましたが、みなさんとても熱心に取り組まれていました。

以下は、アンケートからの抜粋です。

・とても楽しかったです。みなさんの作品を見たり、自分の作品に対してコメントをいただけたりする時間がたくさんとれるのは贅沢な時間でした。後半に行ったグループでの創作は緊張感もあって刺激的でした。

・初級の創作であれほど難しいのなら、中級はどうなのだろうと感じました。中級のストーリーの作成は大変だけれど、イラストが少ない、使える単語や文法がひろがるので、それがどう作用するのか興味がわきました。

・日本語、イラスト、構成…、気をつける点がたくさんあり、難しかったですが、ひとつひとつ納得できたように思います。使えるものができるようになるためには、まだ時間がかかりそうですが、ありがとうございました。

・一つ一つの作品について、粟野先生初めNPOの皆様に丁寧にコメントしていただけた点が、とてもありがたかったです。他の皆さんのを見るのがとても参考になりました。

・ほかの方のアイディアや参考になるサイト情報を知ることが出来て良かったです。

・語彙表などを参考にしながら作成するというのは結構大変な作業なのですが、実際にどのような言葉や表現が良いか悪いかといったご意見が分かりやすく勉強になります。

・意見を頂くのと、共同作業をするのと、どちらも時間をかける必要がある内容なので、両方が一緒だと時間的にやや不足があるように感じ、十分に質疑などの時間がとれないと思いました。)

 

講座内容、時間配分、手順など改善点へのご指摘もありました。できるだけ効率のよい形に改善し、今後のみなさんの活動にこのワークショップがお役に立てるよう努めたいと思います。

(記 粟野)

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