2月7日(日)オンライン「日本語多読授業入門講座」報告

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2月の入門講座には、6名の方が参加してくださいました。
今回は、愛知、大阪、神奈川など国内からの参加でした。子どもの日本語教育支援の方、ボランティア日本語支援に関わっている方が多かったです。中には2回目の参加の方も!
午前9時に集合。

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「日本語多読とは?」の概論を担当したのは正会員の作田奈苗でした。

イラスト入りのスライドで、視覚的にわかりやすく多読の大切な部分が説明されました。
多読、すなわち、たくさん日本語をインプットして「筋肉」をつけること。でも、無理やりご飯を食べさせられては食欲減退。好きなものをどんどん食べて力をつけていくのが多読、だということです。

続いて、その「多読」をうまく進めるための4つのルールが示されました。
「やさしいものから」「辞書を使わないで」「わからないところは飛ばして」「進まなくなったら他の本に移る」
これを従っていくとたくさんのインプットが得られるようになります。

続いて、正会員でアメリカのノートルダム大学の纐纈(はなぶさ)から実践報告がありました。

詳しく授業の内容や評価について語った後、「読書しているとき、頭の中で何が起きているのでしょう?」という問いかけがありました。参加者のみなさんの中から「想像している」などの答えが上がると、「母語で本を読むときと同じように、日本語の本を読んで、頭の中で『絵』が描けるようになってほしい。そのためにはまずは絵の力を借りなければ」と日本語で本を読むときの絵の大切さが語られました。この「絵」の大切さは、私たちNPO多言語多読の多読がとても大切にしている部分です。
その導入として、字なし絵本「Red Book」をみんなで数ページ、鑑賞しました。絵をよ~く見て、どこに何があるか、隠れているか探す作業をみなさん、毎回、楽しんでくださいます。

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後半は、小グループに分かれての話し合いです。
今回は、大学や専門学校で教えている先生方と地域のボランティア教室や小学校で日本語教育支援にあたっている先生方の2つの部屋に分かれました。多読初心者の方がほとんどでしたので、多読にはどんな効果がありそうか、導入するとなったらどんな問題が起こりそうか、ご自分の担当する学習者を頭に描きながらスタッフとの質疑応答を行いました。

いつものように、「最初は、活字嫌いの学習者への対応に不安があったり、支援者の役割のイメージがいま一つわからないのは当然、ぜひささやかに”お試し多読”をまずやってみてください」とお話しし、終了しました。

以下はアンケートからの抜粋です。

・多読が読解能力のみならず、あらゆる自律学習に結び付く可能性があることが理解できて、勉強になりました。
・作田先生のスライドを使った多読についての説明はわかりやすく、読書による学習者の成長パターンの色々など、興味深かったです。
・はなぶさ先生の実践報告では実際のクラスの様子が伝わってきました。先生のクラスのプロジェクト発表のような学習者の反応を得られたら教師(支援者)冥利につきるだろうなと羨ましく思いました。
・作田先生の話がとてもわかりやすかったです。『多読用の本だけだと離乳食を食べているだけ、一般の読み物を混ぜて歯ごたえのあるものを食べさせて力がついていく…』という下りはなるほど!と思いました。
・はやぶさ先生の報告も知りたかったことが網羅されていました。図書館司書との協働というのは考えていませんでした。一度司書の方に相談してみようと思います。また、絵のない絵本の良さがわかってよかったです。早速見つけに行きます。
・多読のルールに則ってやらないと効果がないのか?と思っていましたが、場合によっては読み聞かせをしたり、セリフのところは子どもと教師で交代に読んだりしてまず興味を持たせることが大事だということがわかりました。学校内で日本語指導をしているとついつい何か成果をあげなきゃと焦っている自分がいましたが、子どもたちが楽しめるということが大前提に多読をやっていこうと思います。

次回の「多読授業入門講座」は3月7日(日)午後4時~6時15分です。
多読にご興味ある方、この機会にぜひご参加ください。

以上

(記 粟野)