3月1日(日) 第1回 シンポジウム「図書館多読への招待」基調講演会の報告

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遅ればせながら、3月1日(日)のシンポジウム「図書館多読への招待」の基調講演の様子をお届けします。報告は東京からの参加者、正会員のKOさんにお願いしました。

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3月1日はあいにくの冷たい雨が降っていましたが、シンポジウム会場の受付には入場を待つ多くの人が
長い列を作っていました。NPO多言語多読の酒井理事長による基調講演「英語多読の楽しさ、図書館への期待」には図書館・学校関係者、すでに英語多読を始めている一般の方、これから多読を始めてみようという方、などさまざまな方が参加されていました。参加者は100名を超えたそうです!

電気通信大での多読授業のはじまりから、2002年の「めざせ100万語 ペーパーバックへの道」出版以来の一般の人たちへの広がり、そして現在にいたる「多読の歴史」が語られ、1.多読三原則、2.大量のやさしい絵本、3,仲間、の多読三本柱の大切さが説明されました。
会場内は時に爆笑に包まれ、時に多くの人がうなずき、皆さん熱心に聞き入っていました。

豊田高専図書館の蔵書のOxford Reading Treeが配布され、実際に多読の入り口を体験する時間では(100 人を超える参加者全員が、複数のORT Stage1を手にすることができる蔵書の豊富さにもびっくりでした)酒井理事長の出したクイズ?やヒントを手がかりに、みんなで字のない絵本の「絵をよく見る」を楽しみました。

私の席にはたまたま「Dadは何才か?」の答えが載っている本が来たので、隣の多読体験が初めての男性にお見せしたら、その絵を見て感動してくださいました(初対面のその方の反応に、こちらもうれしくなりました。これが、仲間がいると続けられる、ということにつながるのですよね)。

「これなら続けられそう」なORT体験を皆さんがしたところで、多読ではこのように薄い、字のない、または少ない絵本がとても重要であり、しかも大量に必要であることが再び説明されました。
その薄い1冊が500円も600円もするので、個人で大量に買うには相当な費用がかかること、そのことが多読を続けるにあたっての困難の一つになっている現状と、しかし、図書館で無料で利用できればこの問題を乗り越えられるという指摘に、多くの参加者が納得した様子でした。

最後に、「図書館の役割」のまとめとして、多読三本柱のうち
・大量のやさしい本
・仲間(図書館で多読サークル:すでに愛知県、岐阜県でできている)
の2本の柱を提供できるということ、
そして今後の図書館は利用者と手を携えて、一緒に絵本からたっぷり楽しみよい本やCDやDVDを探して、多読サークルで読書会、話す会、書く仲間が集える場になってほしい!との呼びかけで締めくくられました。
図書館関係者のメーリングリストやオンライン上のフォーラムを作りたい、という計画も提案されました。

会場内は最後まで笑いが続き、楽しい雰囲気でしたが、学校や公共の図書館が地域の多読の拠点となる、そんな今後の展望を図書館関係者・利用者の両方が共有できたと感じられる基調講演でした。
この講演でそれぞれが活動できる道筋が提示された後、豊田高専図書館の見学、午後の図書館関係者のパネルディスカッションで愛知県・岐阜県での先行モデルを見ることもでき、「図書館多読」の普及の第一歩が確かに実感できた一日でした。
(KO)