9月28日 第16回「多読のためのリライト講座」報告

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9月28日(日)10時半~16時半 第16回「多読のためのリライト講座」を開催しました。

参加者は、日本語学校で既に日本語多読を授業に取り入れていらっしゃる先生、ボランティアで外国人学習者に日本語指導をしていらっしゃる先生、お子さんの通う小学校の学級役員として日本語が理解できない外国人保護者の問題に直面して奮闘中の方、大学で英語指導に多読を取り入れていらっしゃる先生の4名。

今回は日本語学校、大学の組織内で多読を実施しているお二人は、どちらも、単位外で、多読を進めていらっしゃるということで、評価をどうするか、というお悩みは出ませんでした。ただ、ボランティアの先生も含めて、やさしい物から読む、ということに対する学習者側の理解が得られにくいというのは、共通した悩みのようです。また、日本語多読で初歩から、その上のステップへ進ませる判断はいつ、どのようにするのか、という質問もありました。
学級役員の方は、学校からのお知らせプリントが読めない保護者へ、日本語がわかる家族を通じて大事なことだけ伝えるなど、日々対応に追われているとのことでした。病院へ行くとき、美容院へ行くときなど、やさしい日本語で書かれた手引きがあれば良い、というのは、ボランティアの先生も同じ事をおっしゃっていました。

英語多読でよく使われるOxxford Reading Treeシリーズと韓国語の絵本を見ていただいて、学習者の気持ちを体験しました。日本語ならひらがな、英語ならアルファベット、韓国語ならハングル文字だけはわからないと、多読はできないんですねえ・・・と、英語の多読本だけを見せたときとは違う反応が出て面白いと思いました。

お昼は、皆さん、お弁当持参でしたので、机の上の本をどけてランチタイム。それぞれの立場からの「ぶっちゃけた」話になり・・・ご自分の不登校体験や、子育ての中での大変だった話などなど・・・。

午後のリライトは、2班に分かれて、まず、「ウサギとカメ」をレベル0に。次に「注文の多い料理店」をレベル3にしていただきました。やさしく書くってなんだろう。日本人の子供向けに書くのとは違いますよね。というヒントをさしあげて、早速、語彙表をにらみながらの作業になりました。

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「うわあ、『走る』がない!」「『勝つも負ける』もない!どうしよう!」悲鳴があがります。絵でわかれば、入れてもいいかも。前後の文でわかれば入れちゃっても大丈夫。ちょっとアドバイスをしました。
「うさぎとかめ」は、なんとイラスト入りの2冊の絵本ができあがりました。どちらもウサギとカメのキャラが面白い!読み聞かせをしていただいて、お話を楽しみました。

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「注文の多い料理店」は、各自でリライトを進めていただきました。宮沢賢治独特の言葉をどう換えるか、また、どこをカットするかが工夫のしどころです。

作業の後の感想も、いろいろありましたが、気になった物を、2つ。
「語彙表の語のレベル分けが、納得いかない。初級であっても、ふだん、よく使うことばはもっと入れるべきだ」
「英語多読のグレード別の本が、原作を短くしたり、語を換えたりしていることが心配だったが、日本語のリライトを体験してみて、本物への過程としては意味のある物だと安心した」

月1回の読み物作成会への参加を、考えてくださった方もあって、有意義な講座になった、と、講師(松田)は、思っています。