中学生と多読

2009年6月16日
カテゴリ : 多読支援
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学校で英語を習いはじめた中学生に多読や多聴に親しんでもらうには
どうしたらいいのでしょう?

ある児童英語の先生が次のような報告をしてくださいました。

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うちの教室の最近の変化のことを酒井先生にお話したところ、ML か掲示板に書く様にといわれましたので、この機会に、と思い立ちました。

うちは多読クラブと普通のクラスの2本立てでやっています。

中学生は
1、一般とまったく同じ多読だけの生徒
2、普通の一斉レッスンのクラスの生徒
3、多読クラブに来ながら個人レッスンで勉強もする生徒
の3つのグループがありましたが、

 昨年の10月頃から徐々に、2をなくして、全部3のやり方にして、多読クラブ内に来てもらって個別レッスンを受ける形にしました。一般の多読の大人の方も一緒の時間です。

週に1回個別レッスンを受ける日だけを指定してもらい、後は何回来て多読してもよいということにしています。2月までは週に3回が多読クラブの日でしたが、3月からは週に5回あります。以前から週に3回来る生徒もいましたが、これからもっと来ると張り切っている生徒もいます。

多読を中心にして問題集は宿題のチェック、学校の教科書の音読もしています。
テスト前の2週間は完全なドーピングです。

このやり方にしてから、約6ヶ月ですが、手応えを感じています。一人一人のペースでできることが一番よかったと思います。同じ学年が10人以上いるので、同じことを10回以上も言うことになりますが、生徒にとってはきちんと聞く耳を持って聞いてくれるので定着がいいと思います。

かなりレベルの差があって、教科書を読むのもやっとという中学1年生が昨年
11月に入ってきましたが、今回のテストでグーンと点数があがりました。
この生徒は週に2回来て多読しています。

 私の感想では多読がしっかり進んでいる生徒は学校のテストもできていると
思います。

多読が1時間以上で勉強は20~30分というやり方を理解してもらえるかどうか、不安がありましたが、小6から中2の保護者の方に集まっていただき、説明会をしました。そのときに私立中学の生徒さんのおかあさんが、こんなことをおっしゃってくださいました。

 「最初は学校のペースが早くてテストの点数も悪くて子供をしかっていましたが、先生に相談して、高校入試もないんだし、そんなに点数にこだわらなくても、って言われて、もう先生にお任せしようと、いっさい子供に説教するのはやめました。
ただ、多読の日はできるだけたくさん行くようにといいました。そしたら、なんだか子供がだんだん英語がわかる様になってきたというし、学校でもほめられる様になって、テストの点数も上がってきました。この教室のやり方はいいと思います。」とこんなことを言ってくださり、まるで私が「サクラ」を頼んだみたいでした。

この生徒はほぼ毎週3回来て、時には居眠りしたり、私とおしゃべりしたり、のんびりと、でもしっかりと読んでいます。あまり文法の説明をしてもよくわからないと言いますが、カンがいいのか問題集も間違いが少なくなってきました。

 私は英語はイメージとカンが大事なんではないかなあー、と思っています。
言葉の持つイメージ、文のつながりの規則などはほぼカンでできると思います。

学校英語の苦手な生徒にはいくら口を酸っぱくして、三人称単数のSはー、と説明しても、次のページに行ったら忘れてしまします。こういう生徒にこそ多読や多聴が効果的だと思います。でもかなりの量が必要だとは思います。

多くは言いますまい。後半に出てくる生徒に向けるこの先生の温かいまなざしと
それを受け入れてこどもを叱らなくなった親御さんに大きく頷いて、報告を
お願いしたのでした・・・