10月27日(金)国立シンガポール大学 多読セミナー報告

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10月27日に、国立シンガポール大学で多読セミナーを開かせていただきました。
最初は、旅行の折に立ち寄らせていただきたいというこちらのわがままなお願いだったのですが、千葉先生と石原先生のご尽力により、多読セミナーという形で、学外の先生も含む15名ほどの先生方に集まっていただくことができました。

シンガポール大学と言えば、2014年2015年と日本語学習をはじめたばかりの学生さんたちと東京で多読ワークショップをしました。千葉先生と石原先生にはそのとき、大変お世話になりました。絵と朗読音声を頼りに、学生さんたちがレベル0を本当に楽しそうに読んでいた様子が忘れられません。私たちにとっても入門者の多読について非常に勉強になりました。それ以来、「いつかシンガポールで多読のお話をし、少しでも多読普及ができたらなあ」と考えていたのですが、今回、その一歩を踏み出すいい機会をいただくことができました。

まず、セミナーの前に、千葉先生の授業を見学させていただきました。
「みんなの日本語」の28課あたりを勉強している学生さんたちでしたが、この日は、3グループに分かれ、「よむよむ文庫」から気に入ったお話を選び、脚本を自分たちで書き起こした劇を上演する日でした。
選ばれた話は、「桃太郎」「絵姿奥さん」「ソーピーの冬の家」。「桃太郎」は「ドリアン太郎」になったり、「絵姿奥さん」は高層マンションに住んでいたり、シンガポール風にアレンジされていたのがなかなか楽しかったです。背景も工夫して作り、皆さん、一生懸命、台詞を覚えて楽しそうに演技していました。

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また、最後に「よむよむ文庫」の「クリスマスプレゼント」の挿絵を見ながら朗読を聞き、内容をまとめるという練習もありました。一回聞いただけで、学生さんたちはほぼ内容を把握していたようです。すごいですね!その後、4人グループを作り、1人ずつ内容を一言語っていくというアクティビティもありました。

「よむよむ文庫」を読むだけでなく、劇にしたり、リスニングに使ったり、様々に広げて使っていただいている様子がよくわかりました。

さて、その後、4時~5時半までセミナーが開催されました。
シンガポール大学の語学教育研究センター、日本語プログラム主任のウォーカー先生他、常勤、非常勤の先生方、日本人学校や継承後学校の先生も参加されました。
事前アンケートによると、回答12名のうち、「多読は授業で扱っているが、よくわからない」が最も多い8名でした。全くはじめての方も2名。ということで、「多読」の考え方を短時間で分かっていただくことがセミナーの第一目標となりました。
セミナータイトルは、「『絵』と『物語』で読む力を育てる多読~その方法と効果~」

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多読は、単に字面をたくさん読んで読解力を向上させるということではなく、絵とともに物語世界を「読んでいく」ことで日本語を体に染みこませていくやり方だということを強調、授業のやり方、効果、どんな本を読むか、まで駆け足での話になりました。質疑応答の時間までに食い込んでしまったのは私の失敗・・・。声かけのタイミングについての質問が出ましたが、そこで終了。後は懇親会で、という流れになりました。

事後のアンケートの回答は以下の通りです。

★参加されてどうでしたか。

・基本の理念がよくわかった。
・非常に納得できる話でした。
・知りたいと思っていたことをお話しいただき、勉強になりました。担当学生にもこういった授業を設けられればと思いました。
・大変、参考になりました。ぜひ授業にとりいれて、やってみたいと思います。
・クラスでやっていることなどについて、改めて多読の使い方などが確認できてよかったです。
・マンガや児童書などと混ぜて読むようにすると(ママ)参考になった。/無料のものがあるリンクを紹介してもらえてよかった。もっと読みたいという学生にすすめられる。
・注意すべき、考えるべき点が色々理解できました。
・使い方の原則がよくわかりました。/新刊がでていたことがわかったのが良かったです。
・絵から想像をふくらませていくことが大切だと実感しました。
・授業では十分な時間がとれないけれど、できる限り学生のサポートをしていきたいと思った。
・わからないところは飛ばす、辞書は使わない、というルールはいいですね。
・大変興味深かったです。
・わかると楽しいということを核として進めるということはいいなあと思いました。
・学生が興味が持てる本がたくさんできるとありがたいと思いました。

★今後、また多読セミナーがあったら、どんなことを知りたいですか。また、どんなワークショップをしてみたいですか。

・リライトのワークショップなどにも参加してみたいです。
・多読教材の作り方、留意点などを勉強したいと思っています。
・これからまだまだ効用のある多読の世界について、いろいろな国での使用結果などの報告も聞いてみたいです。
・コントロールされていない生の本のレベルがわかるのがよかったです。そのような本のしゅるいももっとしりたいです。
・他の具体的な方法と成功例が聞きたいです。
・ケーススタディを見てみたいです。
・多読だけのクラスを開くことは難しいので、時間に制約があるクラスの中でどのように効果的に使えばいいか知りたいです。
・短時間でどう使うかをもう少しうかがいたいです。

★その他

・中級以降の多読の本はあるのでしょうか。
・子供用、大人用など色々できるといいですね。本は1回読むと、同じ人が2回読むことはあまりないと思うので、続けるには何冊も必要となりコストがかかるのが、海外で使うときのデメリットかもしれません。

 

「多読の基本」は伝わったようで、一安心。でも、実際に実践するとなるとカリキュラム上時間がとれないなどの難しさもあるようです。課外の読書クラブを作る、貸出しをするなど授業外の多読の可能性はどうなのでしょうか。
また、多読素材作りに興味をお持ちの先生もいらっしゃることがわかりました。
ぜひ、日本に帰省される際は、「多読授業とリライト」入門講座にご参加いただければ、と思います。

お忙しいスケジュールを縫って参加してくださった先生方、ありがとうございました。
最初から最後までこのセミナーの実現にご尽力いただいた、千葉先生と石原先生に心から感謝申し上げます。

(粟野)

 

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