2/4(日)オンライン日本語多読授業入門講座 報告

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2月の多読授業実践入門講座は、正会員の片山と纐纈(はなぶさ)が講師を務め、粟野の司会で開催されました。
参加者は6名と多くはありませんでしたが、日本で地域の日本語教室に関わっている方、オンラインで日本語を教えている方、アメリカの大学の先生、ブラジルで日系人を対象とした日本語教育に携わっている方と多岐にわたり、「多読」は様々な現場に対応できる活動だと思える顔ぶれでした。

はじめは、片山が多読について概論をお話ししました。
多読は読み手が自分で選んだ読み物を能動的に読む活動で、いわゆる読解授業とは違い多様な読みが認められます。そして、多読のように自分で楽しんで読む行為は、言葉を自分の中に取り込む「インテイク」につながり、自然な学習を実現させるのです。
日本語多読では、文字が少なく絵に多くを語らせる「スターター」から「レベル5」まで、様々なジャンルの「レベル別読みもの」が揃っています。オンラインで読める無料読み物も充実してきました。しかし、絵本や図鑑など一般書を読んでいくことも大切だとお伝えしました。
さらに、多読の4つのルールや支援の3原則を紹介し、支援者の役目は、楽しく読むための雰囲気づくりや読み手一人一人に寄り添うことであるとお話しました。

つづいて、纐纈から多読授業実践の報告です。
10年にわたる多読支援の実践も、まず「多読クラブ」や「お試し多読」等できる範囲から始めたこと、初めは「教えない」授業に対する居心地の悪さを感じたが、多読を楽しむ学生の様子から自信をもって多読授業ができるようになったという自身の経験が語られ、実際の授業中の学生の様子や授業の流れなどが紹介されました。学生の記録からは、レベル順に読む学生、レベルを行ったり来たりして読む学生、多読用読みものからマンガや絵本へと次第に読む対象を広げていく学生など、様々な多読の実践例が見られました。

休憩の後の質問タイムでは、熱心にご質問やコメントをいただき、予定時間を超えて話し合いが続きました。

Q:どうやって読み物を準備すればいいか
A:図書館を利用する。オンラインの無料読み物を印刷して本にできる。

Q:オンラインで多読授業の方法は?
A:個別に静かに読む時間を設けたり、小部屋に分かれて支援者とおしゃべりする時間を作る。オンラインの読み物の紹介の仕方を工夫する。

Q:文字を読むことが苦手な学習者がいる。
A:聞き読みから始める。本ではなく動画をみたりする多聴・多観でもいい。

以下は事後アンケートからの抜粋です。

・「日本語で感動する」を体験することの意義にとても共感しました。
・「多読の授業は、多様性を認めること」という言葉に、勇気をもらいました。
・豊富な読み物があるということもわかり、大変有意義でした。
・生徒がどんな本を読んでレベルアップしていくかを紹介してくださったのがよかったです。自由な発表も本人が楽しんでいる姿が印象的で、効果があるのがよくわかりました。
・小学校の取り出し授業でも効果がありそうです。

(記 片山)