12月22日(月)長沼スクールで多読研修!

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12月22日(月) 東京naganuma-kenshu日本語学校(通称・長沼スクール)主催のセミナーで多読についてお話ししてきました。長沼スクールと言えば、日本語教育界で知らない人はいないという老舗中の老舗学校です。生徒は500人もいるそうです。
長沼では、毎年夏に研修セミナーを開催していますが、この「日本語教師冬期集中セミナー」(12月21日・22日)は初めての試みとか。テーマは「読むことを考える」
例によってたくさんの本をカートに詰めて、スタッフ2人と計3人でお邪魔しました。

当日参加されたのは24名。ほとんどが日本語学校の先生でした。半分近くが長沼スクールの先生。地方や外国からの先生もいらっしゃいました。中に元同僚がいたのにはびっくり。

「多読」はみなさん、聞いたことがあるようでしたが、私たちの提唱する多読には馴染みがないようでした。「レベル別日本語多読ライブラリー」(アスク出版)を知らない人が意外に多かったのもちょっとショック・・・。でも、部屋に入ってくるなり、並べておいた本を手にとる方が多く、講演前から最初からかなり熱心さが伝わってきました。

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まず、多読では、「一人一人が読みたいものをたくさん読んでいく」つまり、読書習慣をつけることを目標にしているという話をしました。読むことは受け身じゃなくて、能動的なコミュニケーションです。読んで楽しいものを読むのが基本のはず。その中で、たくさんの場面に出会うことで、日本語が生きた日本語のまま体に入っていくのだと思います。それを可能にするためには、結局、一人一人思い思いの本を読むしかないというわけです。「読んでわかる喜びがどれだけ大きいか」、また「自分にとって興味のないものがどれだけ読めない、頭に入らないか」についてのエピソードは枚挙に暇がないほどあるのですが、詳しくお話できなかったのが残念!
次にその多読を可能にする読み方のルールについて。「やさしいものから」「辞書を引かずに」「わからない言葉は飛ばして」「進まなくなったらやめる」。
そして、教師の役割は、教えることではなくて、多読を支援することという話。多読授業の様子や教師の支援の様子は動画で見ていただきました。

前半の最後は英語多読体験をしてもらいました。Oxford Reading Treeを字のないものから読んでもらいました。字を読まずに、まず絵=世界を読むようにと強調した理由はうまく伝わったでしょうか。

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みなさん楽しそうに読んでいましたが、わからない単語で辞書を引きたくなった人もいたようでした。

休憩時間に、持っていった「多読授業入門」5冊は完売。もっと持ってくればよかったと悔やまれました。

後半は6つの班に分かれて「リライト体験」。レベル0か1で、イソップの「うさぎとかめ」「北風と太陽」「アリとキリギリス」を作ってもらいました。ORTを読んだすぐ後だったので、「絵に語らせる」ということをうまく取り入れていたようでした。絵も上手な方がいて、楽しいテキストができあがりました。

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(まず、お話を場面に分けて・・・)

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(語彙表を頼りに、絵と文を考えて)

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(うまく絵に語らせた「レベル0」のできあがり!)

最後はかなり駆け足でしたが、多読用読みものは、学習者にどうしたらわかりやすいかを考えて作るのだということがわかっていただけたでしょうか。

気がつけば、近くを通りかかったという多読元祖の酒井理事長が会場に・・・。

あっという間の3時間。あれも言えばよかった、これも言えばよかったと後でいろいろ悔やまれましたが、「よむよむ文庫」を全冊買って帰りたいという方、英語多読をやってみたいという方が出てきたことからも、おおむね、成功だったでしょうか。
これをきっかけに「多読実践」を始める先生がでてきてほしいなあと願いながら、学校をあとにしました。

参加された先生方!質問大歓迎です。ご連絡ください。また、「出張多読ワークショップ/セミナー」もいたしますので、ぜひ、お声かけ下さい!!
(粟野)