11月24日(日)に第12回「多読のためのリライト講座」を開催しました。
参加されたのは、外国人のための日本語教科学習支援の方、ニューカマー支援の方、教育委員会の方、夏のセミナーに参加なさった英語教室主催の方、4名。それぞれの参加理由は以下。
・外国人中学生・高校生の「国語」支援をするために教科書にのっている作品のリライトが助けになる。
・今までの、語句や文法を解き明かしてから文を読むボトムアップではなく、例えば絵やデータから、内容を類推し読んでいくトップダウンの読み方を推奨しているので、この部分が多読とつながる。なんとか、日本語の力をつけたい。
・小、中、高の子どもたちの支援のための多読、そしてその教材つくりのためのリライトに興味がある。
・現場の先生方に多読を勧めるのになのも知らなくては話にならないので、詳しく知りたい。
英語教室主催のSさんの動機は以下。
・多読そのもののすばらしさにピンとくるものがあり、自分の教室での英語多読実践で効果を実感してる。その多読を、近くの大学で、留学生に多読を実践してみたい。
多読について、よむよむ文庫、多読文庫、絵本、漫画、アニメブックス、漫画エッセイなど、多読向きの本を紹介しながら、質問を受けつつ話しました。アニメブックス、漫画エッセイを初めてみて、ぜひ取り入れたいとメモをとる姿もありました。
日本語の本当の意味での力、底力をつけるにはインプットの量を増やすこと、楽しんでたくさん読むことが大切だということはわかっているが、実際の現場では、教科との関連、時間の関係、生徒自身の焦り、希望なども複雑に絡み合い、難しいところという話が出ました。
また、日本で生まれた外国籍の子どもたちの日本語力、特に語彙力の問題も大きい。日本で生まれ、日本語漬けのようでも、両親が日本人の家庭の日本語の語彙力との差は歴然としている。この子たちにこそ多読が効果があると思うなど、活発に発言がありました。
英語多読体験の後、昼休みをはさんで、午後はリライト体験。
①イソップ「アリとキリギリス」
みなさん、多読ブックスにあるのをご存知なので、あれにとらわれず自由に考えるようにと伝えた後、本と同じように紙を折って、作業に入りました。
二人一組。絵と構成を考えて、そこに言葉をつけていきます。うまいことに、2班ともに絵の得意な方がいらっしゃいました。
レベル0で使える文型、語彙の少なさに、ほんとにこれで出来るの?と半信半疑でしたが、なんとか、助言をしつつ完成。
②芥川龍之介「くもの糸」
一つの組はレベル2、もうひとつの組はレベル3で、リライトしました。
・レベル2の組は、A4を縦長に使って、二つに折り、上部を極楽、下部を地獄にした。言葉も極力少なく。この構成は、レベル2で、極楽や地獄の説明を省くには、効果的でした。
・レベル3の組も、まずは、絵を考え、そこにテキストを入れ込んでいきます。極楽、地獄、時間経過の後先、に苦心しているようでした。
時間で区切って、もちろん途中でおしまい。
感想
・リライト体験してみたら、想像以上に難しかったけれど、楽しかった。
・作品がこんなに苦労して出来上がっていることに驚いた。
・リライトしてみて、読みやすさとはなんなのかがとてもよくわかった、明日からの英語多読教室での指導にも新たな視点が加わった。
・教育委員の立場として先生たちに多読を具体的に勧められる自信がついた。
たった4人でしたが、発言も盛んで、リライトも面白がって工夫をする頼もしい受講生、楽しい講座になりました。
(川本かず子)