5月16日(火)紀伊國屋書店新宿本店で「にほんご多読セミナー」

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紀伊國屋書店新宿本店は日本語教育に関わる書籍が充実しており、日本語教育に関わる人がよく立ち寄るところです。当NPO多言語多読が監修している日本語多読用のレベル別読みものも販売されています。その8階にあるイベントスペースで、5月16日(火)午後7時から、「にほんご多読を授業に取り入れよう!」というセミナーが開催されました。講師は副理事長の粟野でした。

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にほんご多読を授業に取り入れよう!~にほんご多読支援の授業についての情報交換会~ を終えて

先着30名ということで予約を受け付けたところ、前の週には満席となりました。仕事帰りに寄れる時間だったことや無料だったこともあると思いますが、多読への期待の大きさを感じました。参加した方の半分ぐらいは日本語学校の先生で、あと半分がボランティアやプライベートで教えている方などでした。既に多読を授業に取り入れているという方も3名ほどいましたが、多読について全く知らない方も数名いました。

まず、《どうして多読をするようになったのか》という話から始まりました。

「日本語学校の読解授業で、文法と語彙を教えてもなかなか日本語が読めるようにならなくて、どうしたらいいかと考えた」というところで、多くの方が「そうそう」というように、うなずいていました。とにかく日本語を読む量が足りないので多読をしよう。そのためにはやさしい日本語で書かれた本がたくさん必要。それで、英語多読から学んで、日本語のレベル別読みものを作ることになりました。多読の授業では学生が一人一人別の本を読むということを知って、びっくりしていた方もいました。今までの読解の授業では考えられないことだからです。

では、どう授業を進めていくのでしょうか。

《読み方の4つのルール》を説明すると、やさしいものから読むというのはわかるけれど、辞書をひかず、わからないところを飛ばして、本の内容がわかるのだろうかと理解しにくい様子です。

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そこで《支援者の役割》についての話に移りました。

動画を見ながら支援者が何をするのか、具体的な事例を見てもらいました。

言葉の意味を聞いてくる学生にどう対応するか、読み終わったときどのような声掛けをするのかなど、授業中の様子を見て、なるほど、という表情で聴いている人が多かったです。

「多読の効果を測るのはとても難しいのですが」と前置きをして、いろいろな事例を話しました。動画で学習者本人が語っている様子も見てもらいました。多読が読むことだけでなく、話すことにもつなげることができるということを、わかってもらえたのではないかと思います。

最後に《何を読むのか》多読授業で使う本について実際に手に取って見ていただきました。レベル別の読みものにはさまざまなジャンルの本があることを知って、「日本人の私もこの話、知らないです。読んでみたいです」と、興味をそそられた様子。絵本だけでなく、マンガやアニメも多読用の本として使えることがわかると、授業の構想が見えてきたようでした。

あっという間に8時半になり、セミナーは終わりましたが、閉館の9時まで多くの方が残り、熱心に質問をする姿が見られました。

(正会員 白石)