辞書を引いてみたら


「杏樹」さんがわざわざ辞書を引いてみる実験をしてくれました。
(もう半年近く前のことですが・・・ 遅くなってごめんなさい)

みなさま、こんにちは。
多読三原則は「辞書を引かない」ですが、引くとどうなるか?という実験をしてみました。
そもそもPBを読むようになりましたが(といってもヒストリカル・ロマンスしか読んでませんけど)、わからないところをいっぱい飛ばしています。多読三原則「わからないところは飛ばす」を実践していますし、おもしろくないものを無理に読むようなことはしませんので、それはそれでいいんですが。
しかしわからない言葉を辞書で調べたら理解度は上がるのだろうか?と、ふと思いました。それで実験してみようと思ったわけです。

多読って、頭ではなく心でするものだという気がしますが、多読をしている人の中にも「理屈派」が何人かいます。そういう人はときどきこういうおもしろいことを考えるわけです。こどもみたいな「はまこ」さんとか、「Chico」さんなんかは夢にも思わないでしょうね。(はまこさん、Chicoさん、悪かった?)

長いので見出しをつけてみました。面倒な方は結論だけ読んでください。
●辞書選びの経過
まず以前にショーター英英辞典を買っていましたので、それを使ってみました。これは日本で出てる学習用の辞書です。私は本は主に職場の昼休みと通勤時に読んでいます。ですから持ち歩きできるサイズのこの辞書を以前に買っていました。しかしこの辞典は引いてもなんだか意味がピンとこないことが多いです。理解度が上がるような気がしません。
それで良くないなあと思いつつ、「デイリーコンサイス英和辞典」を使ってみました。これは多読前に辞書引き読書をするときに持ち歩きできるように買ったハンディサイズ辞典です。引きやすくて気に入っていたので、もう一度使ってみました。確かにショーターより使いやすくてわかりやすいです。でも英和で日本語で意味を調べて英文を読むとなんだか違和感があり、理解も不充分な気がします。でも「ないよりマシ」程度には役に立ちます。
私は多読前の辞書引き読書の時から、「訳語には頼らない」ことに気をつけていて、辞書を引いてもニュアンスを汲み取るように心がけてきました。ですから英和辞典の弊害をそれほど蒙らずに済んだともいえます。

この辺がそもそも独特ですね。フツー英和辞典は「訳語」をさがすものでしょう?

それでやっぱり向こうで出てる、定評のある辞書を使ったほうがいいのかと思いなおしました。まずロングマン英英辞典はいい辞書らしい。それでアマゾンで調べてみたのですが、サイズを見て「!!」5センチもあります。その後店頭で実際に手に取った感じを調べてみようと思いました。そうしたら確かに分厚い上、重くて字も細かい!こんな辞書が手元にあっても引くのが面倒で使わなくなりそうです。
もう少しコンパクトな辞書はないかと探してみましたが、コンパクトなものは収録語数が少ないです。初級者向けとか帯に書いてありますが、こちらは一応PBを読んでいますので、ある程度一般向けの語が収録されていないと役に立ちません。実際に気になっているけどよくわからない単語をいくつか調べてみました。そうしたらコンパクトサイズでは載っていない語が多かったです。うーん。「デイリーコンサイス英和辞典」は、あの薄さで驚異の収録語数があるのがわかりました。
日本の辞書は大体辞書専用の薄い紙ですが、向こうで出ている辞書は普通の本と同じような紙です。ハンディサイズの辞書を作ろうと考える人はいないのか…。
結局持ち歩きはあきらめて、ロングマンよりは小型のものを探すことにしました。そうして見つけたのが「マクミランエッセンシャル英英辞典」です。これなら大きさも手ごろでなんとか使う気になれそうです。収録語数はロングマンには劣りますが、PBを読むのにかなりカバーはできそうです。本の中ほどにいろいろな絵と単語が書いてあって、目で見て単語を知ることができておもしろそうです。
●マクミランの実験結果
そして実際にマクミランを使って本を読んでみました。そうしたら説明がとてもわかりやすいです。本の内容も理解が上がったような気がします。特に英和辞典と違って「英語のままの理解」を助けてくれるのがいいです。
ただ、全部の単語がわかるかというと、そうはいきません。ピンと来ないものもあります。それに未知単語は一度引いたらそれで覚えられるものではなくて、前に引いた単語をもう一度引く、という現象も起きます。しかし引かないよりは理解度が上がるので楽しいです。特にマクミランは引きやすくてわかりやすいので、使うのが楽しいです。こういう辞書ならどんどん使って読んでいきたいと思いました。
では、辞書を使って読むのはOKということでいいのでしょうか。

この辺の冷静さがね、理屈派ですね!

多読で辞書を引かない理由は以下のとおりです。
・とにかく英和辞典はやめたほうがいい。訳語が不適切なことが多い。名詞で一対一対応するものの日本語での名前を知るのには使える。
・辞書を引くとそこで立ち止まることになり、読むのに手間がかかる。それで読むのがイヤになる。
このうち前者については「読めるようになったら英英辞典」を推奨するのが妥当です。
後者については英英辞典を使っても解決しません。しかし立ち止まっても読むのがイヤにならないなら使ってもいいのか?
これについては条件付で「いい」と言っていいでしょう。
条件とは
・まず英英辞典を使えるレベルになるまで「辞書は引かない」を実践した読み方を覚えること。
・もし最初から英英辞典が引いてわかるレベルの人なら、やはり辞書を引かないで、立ち止まらないでスムーズに進む読み方を覚えるために、辞書なしで100万語ぐらい読むこと。
●辞書が役に立つ場合
辞書は役には立ちます。辞書を使うのが苦痛でなければ。
そういう人はたいていなぜ辞書を使ってはいけないか、という点で納得しない場合があります。辞書を使って本を読んでいて、わからない単語をひいたらその文の内容がわかった、という経験をしたことはあるはずです。そういうことがあるのは確かです。

うん、うん、酸いも甘いも噛み分ける達人の言ですな。

しかし、必ずしもそうはいかないのです。辞書を引いてわかった!という経験があると、その経験を重視して「辞書は引かない」に異議を唱えたくなります。しかし辞書を引いて「わかった」という経験と同時に、「引いてもわからない」ということがかなりあるのはずなのです。

おー、諄々と説きつつ思いもかけない視点だ!

私はロマンス本と同時に、名古屋で衝動買いした本があって、読みたくなって読み始めてみました。しかしその本は難易度が少々高かったのです。そうすると、辞書を引いてもなんだかすっきり理解できない、ということが多くなりました。それでこの本はやはり難しいらしい、と思って投げることにしました。
●結論
結局辞書を引いてわかるのは、その本の難易度が自分にとってちょうどいい場合なのです。文章をある程度理解する力があって、その中で知らない単語が出てきたときに辞書を引くとぱっとわかる、ということが起きるのです。難易度の高い本、知らない単語が多い本を辞書を引き引き読んでも、わからないものはわからないのです。
これは多読前に辞書引き読書をしたときと同じ感想です。辞書を引いても、もともと自分にとって難しい本はわかるようにはならないのです。
自分にとってちょうどいい本なら、そして辞書を引くのが苦痛にならないのなら、英英辞典を使って本を読む、ということはあってもいいと思います。
そこで新しいロマンス本を読み始めたので、お盆休みを利用して家でマクミランを使って最初の方をかなりていねいに辞書を引いて読んでみました。今まで最初の数ページがわからなくて、わからないまま読んでいるとだんだんわかってくる…というパターンが多かったので、最初の方をていねいに読んだら理解が早くなるかもしれないと思いました。実際今回読み始めた本は割合わかりやすくて、辞書で知らない単語を補いながら読むと内容がよくわかります。
ただ…やっぱり手間と時間がかかります。止まることが多いと流れをつかみにくくもなります。明日から仕事が始まったら、辞書持ち歩きが出来なくなるので、結局その先は辞書なしで読むことになりそうです。(マクミランは使いやすいので、もっと引きながら読みたいんですが…。あまりていねいに調べると手間がかかってしんどくなるので、適度に引きながら、ですけど)。
辞書を使って本を読むのは、自分にとってレベルの合う本を読むときには役には立ちますが、立ち止まって手間取るので流れを中断してしまうのが難点です。ですから本当に辞書を使うのが好きな人、英語の勉強をしたいという野望のある人向けです。多読で英語の本が読めるようになって、さらにそれ以上の勉強がしたい、英語力を上げたいと思うなら英英辞典を使って読めばいいと思います。
普通のタドキストは辞書を引かない方がスムーズに読めるので、「わからないところは飛ばす」を実践してどんどん読んでいく、でいいと思います。特に多読が「読書」「楽しみ」になってきたら、楽しく本を読むのが第一ですので、楽しくないことはする必要ないでしょう。

杏樹さんの投稿を読むといつも感じるのですが、杏樹さんは非常に冷静で、ぼくから見ると「公平」で、腑に落ちる発言をなさるのです。この投稿なども、辞書を引きたくて仕方ない人に、拳々服膺(また難しい言葉を使う!)してほしいな・・・
実に示唆に富んだ実験報告だとおもー・・・