英語多読支援者セミナー/講座

8月5日タイ・バンコクでの多読セミナー第2弾!

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すでにご報告したように、6月20日にタイのバンコクで日本語教師向け多読セミナーを行いました(NPO多言語多読、Child Connect共催)が、その後、バンコクでは教師たちの勉強会が立ち上がり、じわじわと多読が広がりそうな気配・・・。その中心になっているのが、サイアム大学で多読授業を実践されている山口さん。かつてのNPO英語多読講座の受講生でもあります。
8月5日に、その山口さんが、バンコクの邦人向け「メロディー幼稚園」で英語と日本語の多読セミナーを行ったそうです。
以下、山口さんの報告です。

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2015年度春 全2回 英語多読支援者向けセミナー報告

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去る6月、2週にわたって、日曜日の午前中2時間、支援者養成講座を開催しました。首都圏だけでなく、宮城県から兵庫県まで、様々な地域から、中学、高校、大学、英語教室と、様々な環境で英語教育に携わっている方たちが集まりました。アメリカで日本語を教えていらっしゃる先生も、飛び入り参加してくださいました。
このように様々な状況のもとに、言語を習得しようとする人たちは存在しています。参加者の多様性は、「多読」が多くの学習者に広く有効な方法であることを、図らずも示しているように思います。

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2/7(土)英語多読支援者のための相談会!報告

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今月7日、英語多読支援者のための相談会が当事務所でおこなわれました。
講師は伊藤幸子先生(渋谷教育学園渋谷中学高等学校 英語科)で、昨年支援者のための連続講座を担当してくださった方です。

当日は土曜の夜にもかかわらず、学校の先生、司書の方、多読実践者の6名が集まってくださいました。

1多読とは?
自己紹介のあと、まず「多読とは?」をテーマに、出版されたばかりの『図書館多読への招待』の中から多読実践者の声を引用しながら「生きた英語に」「たくさん触れる」ことの重要性が語られました。

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2学校教育・英語の授業/レッスンとの整合性
従来の学校英語で扱ってきたのは、おもに英文法・構文・和訳して理解しようとするreadingでした。これらのねらいは「日本語で理解できる」「テスト問題に正解できる」「文法・構文・語彙の理解と習得」などです。それに対し、多読では「生きた英語にたくさん触れる」「自発的読書活動の習得」を目的とします。特にこの「生きた英語にたくさん触れる」ことがこれまでの日本の英語教育に抜け落ちていた部分ではないかと伊藤先生はおっしゃっています。

ただ、多読を行うに当たっては学校特有の課題が存在します。そのひとつはテスト問題に対応できないということです。そのために他の教員や保護者の方の理解が得られない場合があります。伊藤先生は「なんとかうまく多読を英語のカリキュラムにしのびこませる」ことが必要と強調されました。
また、どのような意図を持って学校で多読を行うのか、どのようにして生徒たちに生きた英語に触れさせるのか、自発的読書活動に導くのか等、しっかりとした考えを持つことだとおっしゃっていました。

語彙については、まったくゼロから始める人に対してはそれなりの工夫が必要とのことでした。このことは、帰国子女であり、ご自身が日本語習得にご苦労された体験も交えて語られました。
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3多読に適する図書
ここでは、Oxford Reading Tree (ORT)、Longman Literacy Land Story Street(LLL)をはじめ、I CAN READなどの絵本、Oxford BookwormシリーズなどのGraded Readers、英語圏の児童書などが紹介されました。
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4多読実践の実際
学校によって多読を行える条件はさまざまで、どの本を何冊そろえるか、何年生を対象とするか、週に何度行うか、図書館の中の工夫(ポスター展示、ブックカートの利用、本棚の工夫)など多様な実践例が紹介されました。

5質疑応答
Q1 多読図書の置き場所、管理はどのようにするか?
A1 (例)図書室のほかに 空き教室や空きスペース、教科室の利用など。

Q2 多読授業時に、生徒が移動するのか、図書を教室に持って行くのか?
A2 学校によってさまざま。両方の例がある。

Q3 問題点は何か?
Q3 多読授業では本を生徒が自分で選ぶため、教室内を移動したりしてうるさくなることがある。他の教室への配慮、他の教員・教科との折り合いが大切。

その他、具体的に勤務校の状況をもとに質問や報告が活発になされました。
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参加者はどの方もたいへん熱心で、事務所の絵本や漫画を参考にメモをとる方、伊藤先生への相談などお話はいつまでもつきない様子でした。

これから始める予定の学校の先生方、また始めたばかりの学校ではご苦労もいろいろとあるようです。当NPOでもこのような相談会などの機会を利用して、先生方や司書の方々のサポートをしていければと思います。
参加してくださったみなさん、ありがとうございました。

※参考図書
『図書館多読への招待』酒井邦秀、西澤一 日本図書館協会
“Extensive Reading in the Second Language Classroom” Jack C. Richards

(文責・写真 山谷麻由美)

支援者養成英語多読講座を終えて

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9月より全6回で行われた支援者向け英語多読講座が無事に終了しました。のべ30名近い参加があり、初めての連続した講座としては手応えを感じるものになりました。

講師の方には実際に多読支援を行っている先生を迎え、それぞれの体験を元にたくさんのお話をしていただきました。多読用図書を揃えるまでの環境作りや図書の管理方法、ほかの先生方との連携など、多岐にわたり参加してくださったみなさんで共有できる内容でした。

既に多読支援を行っている先生方、これから多読支援を始めようとしている先生方、いつかは多読支援を始めたいと思っている先生方と、参加してくださった先生方の背景はそれぞれですが、共有できることや、共通する質問や疑問を通して、これからも支援する方たちを応援していきたいと強く感じました。
多読の道のりはそれぞれで違うように、多読支援の道のりも1通りではありません。今回の講座を通して、みなさんだけの多読支援の道のりを見つけていただけたらと思っています。

今後は、参加してくださる先生方同士の交流や、実際に本を手に取り読んでもらえるような時間を作ることが大事だと思いました。年が明け、新年度になる前にはまた新たな支援者のみなさんを支援する集まりを開催する予定です。決まり次第ウェブサイトにてお知らせいたします。今回参加した先生たちだけでなく、興味をもたれた方はぜひご参加ください。

(参考)

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(大賀)

9月25日(木) 第1回「支援者養成 英語多読講座」報告

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6月に前身として「英語多読指導入門講座」を開催しましたが、9月から多読支援者を育てる講座が正式に開講しました。現在、年内に全6回で開催予定です。くわしくはこちらをご覧ください。

報告が遅れてしまいましたが、第1回の様子をお知らせします。講師は伊藤幸子先生(渋谷教育学園渋谷中学高等学校英語科教諭・帰国英語科主任)です。

まずは講師だけでなく、参加のみなさん全員で自己紹介をしました。ここではご自身の多読経験、多読指導経験などを話していただきました。これにより後半での多読体験では、それぞれに事務所の本棚を見ながら本を紹介しあったりと、交流に繋がりました。

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その後、講師より、多読が自然に習慣になること、絵から体験すること、音を取り入れること、読むことは訳すことではないことなどについての話がありました。そして本の紹介から、読み聞かせの話題になり、気づけば “An Elephant and Piggie Book” シリーズの読み聞かせが始まっていました。この自然さに、みなさんあっという間に本に引き込まれ、笑いが絶えない読み聞かせのひとときになりました。

また質疑応答では、「訳を聞かれたらどうするのか」「本当に本を読んでいるのかどうかどうしたら分かるのか」「音源は必ず必要か」といったさまざまな質問がありました。こういった質問は本当によく耳にしますが、答えはいつも一つではありません。これからも多くの支援者同士、経験をシェアしていけたらと思っています。

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次回の伊藤先生の講座(10月23日)予告ですが、ブックトークについて、そのやり方に関する提案をし、実際にも行ってみたいと考えています。その他、「読む」ということについて、あらためて多読三原則の解説を含めながらお話する予定です。

第2回支援者養成講座は10月12日(日)13時から。講師は鈴木徹先生(都立国分寺高等学校英語科主任教諭)です。まだどの講座も参加可能です。くわしくはこちらをご覧ください。

(大賀)

8月3日第3回多読支援セミナー 分科会(英語)報告

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日本語に続けて8月3日第3回多読支援セミナー英語分科会の報告です。

まずは当NPO英語多読講座支援者の繁村と山谷講師が自身の講座を振り返り、支援について話をしました。

多読は英語に「慣れる」ということ。最初分からない単語を気にしている人が、多読が進むうち、単語に関する質問がなくなり、単語が自然にわかる体験をしている。ブックトークであらすじだけを言っておしまいだった人も熱く語るようになり、本に対する入り込み方が深くなっていく。多読で講座生は確かに進歩しているが、それに講座生自身が気づかないことが多くあるため、気づいてもらうよう支援することが大事だと思っている。

最初はそれぞれに読書、シャドーイング、聞き読みをしてもらう。その間に講座生を回って、何を読んだか、どう感じたかなど話をする。次にブックトークや絵本の読み聞かせをしている。「絵本がきらい」と言っていた講座生が、「絵本大好きになったの!」と言って、講座終了後も残ってブックトークするまでになった。講座生が自分にあった本選びをできるようになってきている。講座生にいかに楽しんでもらえるかが重要。課題としては、多読による変化の実感がなく、自分をテストしてみたくなる講座生や、英語の音の変化がいつ頃現れるのか心配している講座生への、日々の進歩への実感を伝えることが大事であり、課題だと思っている。

どちらも異口同音に、多読支援には、多読を楽しめるようにすること、そして、多読で実感しにくい自身の進歩へを気づかせながら後押しすることが大切だと強調していました。この後、質疑応答を行いました。抜粋してご紹介します。

Q:学校全体で多読授業を始める場合、生徒のモチベーションをどのようにして高めていけばいいか?
→ 自分の場合映画が好きだったので、映画を楽しむのには英語が分かった方がいいだろうと思った。生徒本人が気づいていない「英語ができた方がいいだろうな」というタネをみつけるお手伝いをするとよいのでは。

Q:絵本から文字の多い本に移る難しさに、どのように対処しているのか?
→ 文字ばかりの本に移る必要が本当にあるのか。「PBを読みたい」というなら必要かもしれないが、そうでなければレベル2~3の本までで十分。むしろ生徒がレベルを上げようと焦るのを抑えるくらいがよい。

Q:生徒に「達成に気づかせる」のはどうしたらよいか?
→ 声掛けした時、生徒が話したことに新鮮に反応する。また、以前読んだ同じ本を読むことを奨励している。間をあけて同じ本を読むと、本人が自分の進歩に気づく。

続いて、酒井理事長の講演です。
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「言葉は、読む、書く、話す、聞く、の4技能からなる」という通説はウソだと思う。4つに分かれているように見えて、実は1つの同じものが違うように見えているだけ。学校英語の害は大きい。学校英語を一生懸命やってきた人は、音、物語、言葉を楽しむ方になかなか移れない。

「英作文スピーキング」の特徴は、一語一語を頭の中で作文しながらしゃべること。殆どの英語の先生は、「英作文スピーキング」をしているのではないだろうか。(「英作文スピーキング」「英作文ライティング」について)

「一口大」で一息でポンと言える長さから始めてはどうか。「英作文スピーキング」は文が長くて、リズムがなく、するっと入ってこない。コミュニケーションの第一歩は笑顔や泣き顔。その次の段階が「一口大」がある。(「bite-size」「一口大」「一口サイズ」について)

一般的に、言葉は「文字」であり、白い紙の上に黒い活字で印刷したものと考えられている。しかし、言葉は「文字」ではなく「音」である。(「ことばの氷山」について)

絵が沢山ある本を多く楽しみ、絵(・画像・映像)が身体にたまっていく経験を多くすると、文字が多い本を読んでも心がそれらを補ってくれて、言葉が分かる。(「絵から」「絵本の魔法」について)

以上、NPO英語多読講座を通してみえてきた多読の持つ可能性や広がりについての話でした。

その後、全体の質疑応答を行いました。英語分科会には、大学、高校、中学、児童英語とさまざまな先生が参加していますが、いつも全体で質疑応答を行っています。お互いに新たな視点を持つきっかけになったり、垣根を越えて話題を共有することでみえてくるものを大切にしたいと思っているからです。今年も多くの意見交換がされました。

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Q:(公立校の英語教諭)多読しているが忙しくて中断してしまう。①多読を継続できる秘訣と②多読を中断して再開するとき、どこに戻っていけばいいのか?
→ 一年くらい中断していたことがあったが、絵本で復活できた。簡単なレベルに戻る方がよい。絵本と英語マンガとDVDで復活した。
→ 気にしないで好きなものを好きなだけ読むとよい。
→ 「習慣化」することがポイント。

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Q:(中学の英語教諭)夏休みの前後では子供が成長して変質していて、教室がうるさくなって、多読授業がつらくなった。どのように対処すればよいか?
→ 先生自身が本の内容を知ることが重要。
→ 中2男子が “Elephant and Piggie” シリーズを気に入っている。
ペアを作りお互いに読み聞かせをさせている。読み聞かせで、Jon Klassen の絵本に男の子が感激。「感想を書いてみよう」というと書く手が止まらないくらいだった。
→ 一人一人を見て、一人一人に対応していくしか方法がないとは思うが、生徒が20~30人いると実際難しい。

Q:(中高一貫校の非常勤英語教諭)学校の方針により、英語で授業を行う必要がある。「ネイティブのような英語を目指さなくてもいい」という考え方と、酒井先生の「『英作文スピーキング』を脱するためシャドーイング等でネイティブのリズムを獲得する」という考え方の、どちらをとればいいのか混乱している。
→ 英語の学園ものなど、「先生」が出てくるドラマや映画をたくさん見て、「先生はこういう風に話す」というのを身につけるのはどうか

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(今年も、なるべく多くの方に発言していただきたくというスタイルをとりました。なお、写真は、順不同です)

他にもたくさんの意見が交わされました。

今回のセミナーで印象深かったのは、ほとんどの話題で出てきた「ブックトークが大事」という言葉です。これは単に、感想文を書かせる、本の内容への理解確認というものではありません。むしろブックトークをしたくなるような本を紹介したり、お気に入りの1冊を一緒に探していくことが支援者として大事な支援だと思います。

毎年反省は尽きませんが、次回もまた気持ちを新たにパワーアップした英語分科会を開催したいと考えています。興味を持たれましたら、ぜひ来年の多読支援セミナーへお越しください。(大賀)