2月7日の寒い朝、東京の田無公民館で、西東京市中央図書館主催の「やさしいにほんごワークショップ」がありました。
日本語の本を読んでみたい学習者の方、日本語の支援をしている方の両方に向けてのワークショップの予定でしたが、お申込みは、大人や児童生徒の日本語支援をしている日本人の方のみ11名でした。NPO多言語多読理事の粟野と川本がみなさんの多読体験をサポートしました。
学習者の参加がなかったのが残念でしたが、全面的に支援者向きの多読の説明に切り替え、お話ししました。
最初に「多読」を知っているか聞いてみました。ほとんどの方が「知らない」とのことでした。
そこで、「多読」の考え方をご説明し、読み方やルール、授業実践例などを紹介。学習者が多読している様子や授業内での教師との会話、本の内容を一生懸命話すブックトークの様子などの動画をお見せしました。
そのあと、まずは、「読む」は文字だけを文法に沿って読む事ではない、ということを体験してもらうため、「字のない絵本」を読んでもらいました。
みなさん、字がないのでどんどんページをめくられます。「絵をじっくり見てください!」の声かけのあとは、ややスローダウン。
気に入った字なし絵本の紹介を各島でしていただきました。
移り変わる自然をじっくり眺めて感動した、と「木のうた」を語ってくださった方がいたり、ORTの絵からお話のオチを楽しんだ方がいたり、「アンジュール」の鉛筆でのデッサンに注目する方がいたり、観点はそれぞれで、まさしく読みの多様性を感じました。


さて、絵を見るワークショップで多読のウォーミングアップができたところで、今度は、学習者の気持ちになってみよう!と、英語の絵本、Oxford Reading Treeを絵をよ~く見ながら英語多読体験をしていただきました。
しばらく読んでもらった後で、「辞書を引きたくなりましたか?」「絵から話を追えましたか?」などと質問してみると、「わからない言葉があったけれど、何回か出てくるうちに、こんな意味かな~と推測できた」とおっしゃる方がいました。どの言葉か聞いてみると「cross」とのこと。登場人物の表情、話の流れで「怒っている」という意味じゃないかなと、ちゃんとつかんでいらっしゃいました。場面を捉えることで、言葉が意味を持って浮かび上がってくる、これこそ「多読」の醍醐味ですね。

最後に、いよいよ日本語多読向きの既刊本、レベル別多読用読みものを手に取っていただきました。
まとめの時間に、多読をご自分の授業に取り入れてみたいかお聞きしてみると、やってみたいという方がいる半面、担当している学習者は受験が控えているので、多読をする余裕はなさそう、というお答えの方も。訳読する「読解」をさせているが、その方が試験には役立つように思える、とのことでした。
なかなか一度聞いただけでは多読がピンと来ないかもしれません。
西東京市中央図書館には「日本語多読コーナー」があって、絵本までレベル分けがされています。団体貸出も利用できるそうなのでぜひ、学習者のみなさんに紹介したり、地域の日本語教室でたくさん借りて一度多読を試してみていただきたいと思いました。
直接、日本語学習者に図書館まで来てもらうのは大変なことだな、と今回もまた実感しました。
帰りは雪がちらつくほどの今季一番の寒い朝、参加していただいた方、本当にどうもありがとうございました。
(粟野 記)
