2月1日、日本語多読授業入門講座が開催され、大学の現場やフリーランスで日本語教育に携わっている方、お子さんの継承語教育に多読を取り入れたいと考えている方など、国内外から6名が参加されました。講師を務めたのは、片山智子(正会員)と桂千佳子さん(準会員)でした。
片山が担当した前半部分の概論では、多読の特徴、多読のための本の紹介、支援者の役目などについてご説明しました。

多読は、やさしいものから読み始めることで、たくさんの日本語のインプットを経験できます。また、「読む」とは、ただ文字や文の意味を理解することではなく、そこに書かれたストーリーや意味世界を頭に描いていくことであり、自分で選んだ本を楽しんで読む「多読」は、このような読みを自然に身につけることができる活動です。多読における教師の役割は、教えたり評価したりすることではありません。「支援者」として学習者一人一人に寄り添い、一緒に読書を楽しむ仲間になったりその人に合った読みものを紹介したりして、楽しく本を読む場を提供することだとお話ししました。
後半は、東京学芸大学で多読支援を行っている桂さんからの実践の紹介でした。1学期間の授業の流れ、どのように本を準備しているかなど具体的な説明の後、多読実践の目的は「日本語のスキルアップ」で終わるのではなく、日常的な読書や情報を得る手段を日本語でおこなう習慣をつける「行動変容」であるというお話がありました。そして、授業外でも積極的に日本語に触れ、楽しんで読むようになったという学生さんたちの声が紹介されました。

桂さんは、実践を重ねる中で、多読授業では導入部が最も大切であると感じるようになったそうです。そこで、多読的な読みを体験するために「絵を読む活動」を取り入れるなど、さまざまな工夫をされています。「辞書を使わない」というルールがなかなか受け入れられなかった学生が、自分の気づきから変わっていく様子も紹介され、教師が押し付けるのではなく、学習者が主体的に変わっていくのを支援するのが多読なのだと気づかされる、示唆に富んだエピソードだと感じました。
以下は事後アンケートからの抜粋です。
・具体的な多読の進め方やアイデアを知ることができました。
・最初に「絵を読む」ことで、本の世界を体験するということの大切さが垣間見えました。
・多読を体験した人たちの変化についても伺い、実際に行うのが楽しみになってきました。
・多読を楽しむと「勉強する脳」から「自分の言葉として使う脳」になるというお話に大変感銘を受けました。
・(子供さんに対して)テストや評価をするのではなく、言葉を自分の体験とリンクさせながら身につけてほしいと再確認する事ができました。
次回の多読授業入門講座は、3月1日 午前9時からの開催です。新年度に向けて、多読について興味のあるみなさまに、ぜひ参加していただければと思います。
https://tadoku.org/japanese/online-courses-for-supporters/
(片山智子 記)
