多読支援セミナーの報告第三弾は、午後からの英語分科会の報告です。
(E1)実践報告
報告:榊
■教室での6年間~多読による変化と効果
——丹野 梨沙(Wakayama English Club/NPO多言語多読準会員)
報告は事前録画の上映による発表でした。丹野さんはご自身が多読の楽しさを知り教室にとり入れましたが、最初は絵本に慣れていない生徒さんたちのために絵本を使ったゲームで楽しむなど、様子を見ながら徐々に取り入れていかれたそうです。うまく進まないと思える生徒さんが、先生や保護者の方の心配をよそに少しずつ「飛ばす(※多読三原則の2番目)」に慣れて「自分読み」へと力をつけていったお話を例にあげ、好きな本を一冊見つけられることの素晴らしさ、支援者が揺るがずに生徒さんと楽しさを追求することの大切さを強調されました。参加者からはどのようなゲームを楽しんでいたか、レッスン内の多読の時間についてなど、様々な質問がありました。 ※後日丹野さんより、ゲームは本のタイトルを言ってジャンケンをするような簡単な物、などの回答をいただいています。
■ブログ「多読ネタ」で賑やか絵本レッスン 〜ネタから広がる子ども達のおしゃべりと、その先
——柏木 由里子(Kashiwagi English Room)
柏木さんは長く多読を教室に取り入れつつ、ブログ「多読ネタ」にて記事も執筆されています。今回はブログの内容を取り入れた絵本の読み聞かせの様子をご紹介頂きました。子どもたちとおしゃべりしながら絵本を読んでいく楽しそうなレッスンの様子が、現場で日々読み聞かせをしている方にも大変参考になったようです。「『多読ネタ』からの情報を聞いたり関連する動画を一緒に観賞するうちに、子どもたちはお話により集中し興味や知識を広げている。そうして楽しんでいるうちにいつの間にかしっかりと読む力、英語力がついている。絵本の世界には無限の可能性を感じる」という柏木さんのお話がとても印象的でした。参加者の方々からは 「毎回本を読む前に準備されているのですか」、「生徒さんの英語での発話はありますか」など読み聞かせ時について、より具体的な質問があがりました。
(E2)グループトーク
トピック別の小グループに分かれ、前半・後半の2回に分けて語り合いました。
●生涯学習と多読
報告:山岸
1,2回目ともに教室で大人向け支援をしている方、大学図書館の方、個人で普及活動をされている方などが10名ほど集まり、お互いの経験を活かしながら疑問解決の糸口を探す有意義な時間でした。トピックとして以下のことを話し合いました。
- 地元の図書館で多読を導入してもらうための働きかけとして何が有効か?
- 生涯学習教室で大人向け多読を開講する方法、具体的なクラスの進め方は?
- 大人でORTがつらそうでやめてしまった人がいた。どうすれば楽しんでもらえる?
- 貸出対応について。読み聞かせ後にその本を皆が借りたがったらどうする?
●多観を取り入れた多読支援について
報告:榊
多観を取り入れているという方がいなかったため、前半も後半も、誰でも気軽に始められ、楽しめる多観について、また多観の導入例などについてご説明しました。
- はっきり聞けなくてもわかる、楽しめるとすると呪縛から解かれたように気持ちが楽になると感じた
- そうした素材に触れる経験がなかった大人にとっても良い機会になると感じた
- 本を読むことが早くなるという効果もあるのではなどの声も上がった
- 家で自分で楽しんで欲しい一方、見過ぎなどによる悪影響はないかという心配の声もあった あまりそういった例は聞かないが、年齢が低いうちは保護者のサポートがあると良いと伝えている
●支援者として、保護者とどう関わるか
報告:荻野
子ども向けの多読支援で、支援をする我々にとっては保護者の方との繋がりが必要不可欠です。子どもに「より良い未来を与えたい!」と望んでいるからこそ、保護者の方は「結果」が目に見えにくい多読のやり方に不安を覚えてしまいます。
そこで、今回こちらのお部屋では、高校、大学、と進学していく上で絶対に通る「試験」の壁を、多読でどう乗り越えていくのか、そしてそれを保護者にどう説明するのか、などについて話し合いをしました。前半も後半も3〜4人と少人数でしたので、みなさんの経験談をシェアしながら、とても深い話ができました。私たち支援者は、どうしたら保護者との信頼関係を築くことができるのかを考える重要性を再認識することができました。
(E3)ブックトーク
報告:山岸
読んだ本についてお互いシェアするブックトークは仲間と楽しむ多読の醍醐味。今回も各グループでおしゃべりに花が咲き、気になる!読みたい!との声がたくさんあがる楽しい時間となったようです。
アンケートより抜粋
- 丹野先生の「子どもたちが楽しいと感じるところを一緒に探す」というお話が印象的でした。
- ブックトークのために以前読んだ本を漁ってみました。これによって、自分の読書歴も少し振り返り、自ら多読を楽しんで実践しようという気持ちになれました。
- 「英語の本を読みたそうな大人がいる」との発言もあり、まさにと膝を打った。(中略)「わかると楽しい」「楽しい本」「私が楽しかったので」「その子にとっての楽しさ」との発言もあり、やはり、tadoku論の核に「楽しさ」がある。その本当の正体は何だ?との思いを新たにした。
- 先生がぶれずに生徒の成長を信じることの大切さ、長い時間をかけて見守る、教えようとしない、伴奏者としてのスタンスを守る。どれも、知ってはいましたが、自分の実践は足りていなかったと思いました。
- 私は保護者との間に一線を引いている気がしています。一方で、英語多読に興味を持ってほしいとも思っています。それで、「支援者として、保護者とどう関わるか」のグループに参加しました。荻野先生が実践されていることを具体的にたくさん伺うことができてとても参考になりました。
- 丹野先生のお話では、学校の英語に直結しなくても生徒さんを信頼して待つことが大切だということ、そして、長いスパンで同じ目線で支援をする、すぐに結果に出ないことで支援者側が不安に思ってはいけないということが印象に残りました。いろいろなアイディアや丹野先生の葛藤をお聞きすることができ、勉強になりました。
- 柏木先生の多読ネタと、それを用いた授業展開のご紹介は、先生が楽しそうにお話されていて聞いている私も引き込まれました。きっと生徒さんたちも毎回楽しみにしているんだろうなということが伝わってきました。
- 多観を取り入れた多読支援では、保護者の理解も必要だが、分かってもらえれば大丈夫という榊先生のお言葉を心強く思いました。
- やはり何より、支援する側が楽しむことが大事だということ、自分の心が踊る内容を伝えることを忘れないでいたいです。
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(事務局)



















