第7回オンラインフォーラム「図書館多読のすすめかた」報告 

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6月27日(金)、第7回オンラインフォーラム「図書館多読のすすめかた」を開催しました。このフォーラムは図書館での多読支援の実践を共有し、現場での実務に役立てることをめざしています。当日参加は22名、講演部分の録画視聴希望を含めると71名の申込がありました。

昨年度実施した「全国公共図書館多読資料調査*」によって、これまで多読を知らなかった図書館から基本的な情報を求められていることがわかりました。そこで今回のオンラインフォーラムでは、NPO多言語多読正会員で豊田高専名誉教授の西澤一さんに、図書館での多読支援の基本的な考え方・導入・工夫などについて講演してもらいました。西澤さんは公共図書館に英語多読資料導入を働きかけ、20年以上にわたり多くの図書館の多読支援の実践に関わってきました。『図書館多読への招待』『図書館多読のすすめかた』の共著者でもある「図書館多読」の第一人者です。
*公益財団法人図書館振興財団2024年度振興助成事業

図書館多読20年の小史から始まり、「すすめかた」が説明されましたが、特に焦点が当てられたのは「多読のしくみを理解する」必要性でした。よく言われる「日本人は英語を読めるが話せない」というのは誤解で、実際は「訳せるが、読めない」のが現実であり、英文和訳を止めなければ、読めるようにはならない。「わかる」英語をたくさん読むことで、英語のままで読めるようになる。そのためにはやさしい英文図書が大量に必要なので、図書館の出番になることが説明されました。

後半は、参加者からの質問やお悩みに対し、西澤さんや実践経験を持つ図書館の方々、私たちスタッフが回答し、やり取りする形で進行しました。多読資料の選書について、多読を知らない利用者さんに知ってもらう方法、多読関連イベントの参加者を増やす方法、日本語多読の実践、寄贈本の扱いなどについて情報を交換しました。

アンケート回答より(抜粋)

講演について

  • 英語多読について、ぼんやりとしたイメージしか持っていなかったため、特に「多読」と「訳読」の違いの説明が参考になりました。この違いをきちんと理解して意識できているかどうかで、図書館として多読を導入した際のサービスのクオリティが変わってくるのかなと思いました。
  • 「日本人は英語を読めるが話せない」ではなく、「日本人は英語を訳せるが読めない」。日本語読書と英語読書における「読書時の情報の脳内処理の違い」の話をお聞きして、ストンと腑に落ちました。確かに、これらの違いの理解がとても大きなポイントだと納得しました。
  • 勤務している図書館で,多読コーナーをどのように運営していくか悩んでいたタイミングでこの講演を視聴でき大変参考になりました。
  • 図書館(英語)多読小史が20年以上の歴史があることを知ることができて面白かったです。
  • 多読がそれぞれの図書館の目的の中でどういう位置づけになるか、それが地域の人にとって意義のある事になるか、という言葉がとても響きました。多読に限らず、選書やコーナー作りにもあてはまることだと思います。
  • 西澤先生をはじめ、多読に関わる多くの方々が多読を広く普及させるために様々な努力をされているのがわかって非常に勉強になりました。
    図書館多読の普及はそれぞれの図書館による地道な活動が実を結んだ結果によるものであり、どれも一朝一夕で真似できるものではないと思いますが、他図書館の良いところを参考にして当図書館でも更なる図書館多読の普及を目指したいと思います。

今後扱ってほしいテーマ

  • 自館で所蔵している洋書(絵本)を多読資料として整備する方法など。
  • 外国語図書の書誌作成に関して(他の館が参考にしているものなどお聞きできれば)
  • 日本語多読について
  • 新しい多読本シリーズ

(小川・山岸・米澤)