6月22日(日)午後2時から、新宿区立大久保図書館で半年ぶりに「にほんご多読ワークショップ」が行われました。
梅雨の晴れ間のとても暑い日でしたが、13名の方が参加されました。
国籍は中国、台湾、ミャンマー、チリ、オランダ、ウクライナ、日本で、日本語学校の学生さんや仕事をしている人、主婦の方、幼稚園に通うお子さんもいました。旅行中の人や日本語教師の養成講座に通う人もいました。今年の4月に日本へ来たばかりの人が多かったです。
米田館長の「やさしい日本語の本をたくさん読んで、楽しんでください。」という挨拶の後、参加者一人一人、簡単に自己紹介をして、ワークショップを始めました。
まず、多読のルールを説明してから、字のない『あいちゃん』(無料の読みものレベルスタート)をみんなで一緒に読みました。絵からわかることを言ってもらい、文字がなくても、絵でストーリーがわかることを実感してもらいました。
「漢字には、ひらがなが付いていますから、楽に読めます。さあ、本を読みましょう!」
机の上に置いてある本から、自分で選んで読みます。食べ物の話、動物の話、昔話、名作のリライトなど、いろいろな本があります。多読本だけでなく、大久保図書館にある絵本なども並んでいます。
みんな自分のペースで読みはじめ、しばらくすると読んだ本について隣の人と話す姿もみられ、楽しい雰囲気が伝わってきます。
読むのに慣れてきたところで、CDで音声を聞きながら読むことも勧めてみました。『女の子』(レベル別日本語多読ライブラリーよむよむ文庫(以下よむよむ文庫)レベル1vol.1)『浦島太郎』(同)『注文の多い料理店』(よむよむ文庫レベル3vol.1)などを聞き読みした人がいました。
途中で休憩を取り、アンケート用紙を配りました。アンケートを書くサポートをしながら、「どこに住んでいますか」「いつ日本へ来ましたか」「その本はどうですか」など、簡単な日本語の会話を楽しみました。
3時40分ごろから、グループごとにブックトークをしました。今日読んだ本の中で一番よかった本を紹介します。
Eさんは『南の島のタクシー』(にほんご多読ブックス(以下、多読ブックス)vol.8 レベル1)を紹介。「この島には電車もバスもありません。ここに何があると思いますか。大学があります。乗り物はタクシーだけです」と、聞いている人が読みたくなるような話し方です。
Cさんは『七夕』(よむよむ文庫レベル0vol.3)を紹介。「この二人は、一年に一度しか会えません」。Cさんは今、家族と離れていますが、毎日、スマホで話しているそうです。
Sさんは、写真絵本『このあいだに なにがあった?』(佐藤雅彦・ユーフラテス、福音館書店)を、本の一番おもしろいページを見せて、みんなに考えてもらいながら紹介しました。
Yさんは17冊読みました。その中から選んだのは、イソップ物語の『カラスと水さし』『キツネとツル』(2冊とも無料の読みもの、レベル0)で、「最後がおもしろい」と紹介。
5歳のMちゃんは「目がかわいい!」と『ぼくはざりがに』(写真絵本「おおきなかがく」ひさかたチャイルド)の写真を見せてくれました。
そのほか、多読ブックスから『ロボットD太』(vol.8 レベル0 / vol.10 レベル1)を2人の人が紹介してくれました。よむよむ文庫からは『わらしべ長者』『女の子』『木村家の毎日「いただきます」』『西町交番の良さん「助けて!」』が紹介されました。『千と千尋の神隠し』(フィルムコミックス)について、話した人もいました。自分が紹介しているときも、他の人の紹介を聞いているときも、みんな楽しそうでした。
今回は4月に来日して日本語の勉強を始めたばかり人が多かったので、日本語の本が自分で読めたことがうれしかったようです。
ブックトークの後、NPO主催の「にほんごの本を読む会」(@しんじゅく多文化共生プラザ)や「オンライン日本語多読クラブ」、「オンラインの無料の読みもの」などの紹介をしました。
新宿区立図書館のカードを持っていない人は、2階の図書館へ行って、カードを作って帰りました。
終了後、見学の大学院生Mさんに、「フィンランドに留学して、毎日行われている外国人のための本を読む会に参加しましたが、今日のワークショップは、その雰囲気にとても似ています」と言っていただきました。
それからしばらくフィンランドの図書館の多文化共生事業についてお話を伺うことができました。
日本でも、今日のような図書館での活動が広がり、図書館を上手に利用して、多読を楽しんでもらえたらいいなと思います。
(正会員・白石ひろ子 記)