関東は季節外れの冷たい雨の日が続いていましたが、6月に入りようやく晴れ間が見えました。そんな6月1日日曜日夕方、恒例の日本語多読入門講座が開催されました。今回の参加者は、国内で外国人児童の支援に携わっている方、アメリカの大学勤務の方、イタリアで日本語教育に携わっている方がそれぞれ1名ずつでした。司会を正会員の作田、理論を正会員の纐纈、実践を正会員の徳永が担当しました。
前半は、纐纈が、多読の定義やNPOで推奨しているルールなどについての基本を説明しました。参加者の中には、普段学習者のためのインプット不足を感じている方がいらっしゃいましたが、まさに多読はインプットを増やすアプローチです。多読で使う読みものや読書記録の例を紹介した後、効果や教師の役割についても触れました。そして、辞書をひかずに読み進める多読では、絵の中にヒントを探すことが重要になるため、文字なし絵本をいっしょに読む体験もしてみました。駆け足になりましたが、多読と普通の授業との様々な面での違いが伝わったのであれば幸いです。
後半は、徳永から、大学の留学生クラスと日本語学校でのクラブの2つに分けて、実践の話がありました。実際の多読の様子がたくさんの写真と共にくわしく説明されたので、具体的なイメージがわきやすかったのではないでしょうか。学生からの反応として、評判のいい読みものや、彼らがルールについてどう思っているかも示されました。また、大学での授業 と自由参加のクラブを比較して、それぞれの利点と課題がリストされたのも興味深かったです。
休憩後は、質問の時間を取りました。みなさん積極的に発言してくださって、時間が足りなくなるほどでした。「支援者の役割は学習者の観察とのことだが、本の内容理解もチェックするべきなのか」「多読授業の評価の仕方」「読書記録の感想の書き方・アウトプットの力が足りない時にどうすべきか」「小ども向けオンライン多読のやり方」などについての質問が出され、私たちもいろいろ考える機会になりました。「講座参加前に思っていた多読と実際は違うことがわかった」とコメントした参加者もいらっしゃいました。
事後アンケートでは以下のようなコメントをいただきました。
・授業に活かせるいろいろなアイデアが得られて、よかったです。
・小人数でリラックスしてお話を聞くことができました。
・多読は評価の面でさらに検討が必要かもしれませんが、通常の授業に一部取り入れて使うのであれば、今すぐにも実践できそうです。
・本を一定量手に入れなければいけないので時間がかかりそうですが、オンラインでは取り入れていきたいと思います。
・多読が他の技能にもいい影響があるというお話がありましたがその部分をもう少し聞きたかったです。
・子どもの多読の授業についても聞きたかったです。
NPOでは読みもの作成講座ほか、セミナーや勉強会も開催していますので、今回だけにとどまらず、引き続き参加していただけたらうれしいです。
(正会員・纐纈)