4/27(日)「オンライン読みもの作成入門講座」報告

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4月27日に「オンライン読みもの作成入門講座」を開催しました。参加者は5名。公立の小中学校で日本語学習支援をされている方、インターナショナルスクールで日本語教師をされている方、大学での日本語教員養成課程で教えている方、海外の日本語教師に研修をされている方、香港で日本語教師をされ、多読支援もされている方などでした。粟野と田中が担当しました。
始めに、私たちの読みものは、あくまでも「多読のための」読みものなので、そのためにどういう工夫がなされているかをお話ししました。次に「無料の読みもの」のスタートレベルのイソップ「犬と肉」が完成するまでの過程をお見せしました。
その後、早速二つのグループに分かれて、作成の実践に移りました。
題材はイソップの「カラスとキツネ」です。用意されたグーグルスライドを使って、場面分けをし、テキストを考え、挿絵を当てはめていきます。レベル0か1になるように考えていただきました。
一つのグループは、始まりをどんな場面にするか、話し合いに時間がかかりました。物語の全体の流れをつかむと、キツネの話す言葉と心の中で考えている言葉を別々の吹き出しにしてわかりやすくしました。もう一方のグループは、キツネがカラスをほめるところを工夫し、挿絵を描き加えカラスがだんだん嬉しくなっていく様子を上手に表現しました。

休憩をはさんで、リライトの際の注意点をお話しし、「注文の多い料理店」をレベル3にするリライトの実践に移りました。
少ない言葉で、この小説の世界をどこまで表せるのかに挑戦していただきました。「山奥」の表し方など難しいポイントがいくつかありました。また、どちらのグループも、オノマトペなど宮沢賢治らしさをどこまで生かすのかについて、悩みながらのリライトだったようです。これは、だれに読んでもらいたいかにもよりますし、正解はないですが、リライトの大きなポイントとなってくると思います。

あっと言う間の3時間でした。最後に質疑応答の時間が十分に取れませんでしたので、アンケートに質問、意見をお願いしました。

【事後のアンケートより】

  • 単純に語彙や表現を易しいものに変えればいいということではなく、いかにその物語の場面や状況、また文学作品の場合は作者の世界観を、わかりやすく的確に伝えられるか、というところが難しくもあり、おもしろくもあった点でした。
  • 大変勉強になりました。1ページに1つの事象を載せ、それを積み上げ、ストーリーにしていくというプロセスがおもしろかったです。
  • 1つの読み物を、いくつかのレベルに直してみたいなと思っています。
  • それぞれが創作した読み物を持ち寄って意見交換するワークショップに興味があります。

次回は、6月29日に同様の講座を行います。ご興味ある方はぜひ、ご参加ください。
(田中 記)