東京都新宿区のしんじゅく多文化共生プラザで、毎週土曜日午後3時15分から4時半まで、「にほんごの本を読む会」(以下では「本を読む会」)を開いています。
申し込みも参加費も要りません。本を読みたいと思った人が、自由に参加できる会です。1時間ぐらい本を読んで、その後、一番気に入った本をみんなに紹介します。
【参加者について】
2016年1月12日にスタートした「本を読む会」は、2025年3月22日に300回を迎えました。第1回の「本を読む会」に参加したのは、中国から来日したばかりの中学生でした。それから回を重ねて300回。世界各地から、さまざまな目的で日本に来ている人たちが、本を読んでいます。
2024年度は、これまでで最も参加者の多い1年でした。延べ300人を超える人が参加しました。10人以上参加した日が、8回ありました。国籍は中国が約半分、それに次いでカナダが多く、フランス、インド、イギリスが続きます。
9月10月は人の入れ替わりの激しい時でした。それまで続けて参加していた人が、帰国や就職、あるいは異動などで来られなくなり、一方、この時期から参加し始めた人も多かったです。
また、サイトを見てこの会を知って来る人が増えました。「無料の読みもの」を読んだことがある人も増え、多読が広まってきていることを感じます。
【ブックトーク】
毎回さまざまな本が読まれています。ブックトークでは、その日一番よかった本についてみんなに紹介します。
ブックトークに選ばれる本もさまざまですが、かわいいネコが登場する『山下さんの静かな日々』(「にほんご多読ブックス」大修館書店)は、クスッと笑えて心温まる話なので何回も選ばれています。また、『寿司・すし・SUSHI』(「レベル別日本語多読ライブラリー」アスク出版)や『日本のお風呂』(同)も人気があります。ブックトークでは、「すし」やお風呂の歴史にびっくりしたと話す人が多いです。日本各地の「すし」や温泉が紹介され、聞いている人たちは旅行にいきたくなります。ブックトークの時間はとても楽しい時間です。
【見学】
大学で日本語教育を専攻している目白大学の学生さんたちが、9月と12月に教育実習に来ました。多読本を実際に読んだり支援の様子を見たり、参加者に質問をしたりして、多読の活動を体験しました。実習で得たものを今後の日本語教育に活かしていただけたら、うれしいです。
これからも「本を読む会」に多くの人が参加し、本について話すことを通してつながっていくことを願っています。そして、「本を読む会」に参加できなくなっても、オンラインで本を読んだり、図書館で本を借りたりして、多読を続けていってくれるといいなと思っています。
(正会員・白石ひろ子 記)