11/24(日)「オンライン読みもの作成入門講座」 報告

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11/24に「オンライン読みもの作成入門講座」を開催しました。
個人で日本語教師をされている方、ライターで多言語絵本の出版を計画されている方、継承語教育に携わっている方などさまざまな立場の4人の参加者をお迎えしての3か月ぶりの講座でした。

始めに「多読のための読みもの」について少々説明をし、イソップの「犬と肉」が完成するまでの過程をお見せしました。

その後、早速2人ずつのグループに分かれて、作成の実践に移りました。
題材はイソップの「カラスとキツネ」です。
用意されたグーグルスライドを使って、場面分けをし、挿絵を当てはめていきます。
あらすじをお渡ししていたため、どうしても最初は、それをやさしい日本語に直すことに集中してしまいがちでしたが、講師のアドバイスもあり、だんだん物語全体の流れをつかんで、盛り上げていくべきポイントをつかんだようでした。
キツネがカラスをほめる言葉を「きれいです」「かっこいいです」「かわいいです」などを挙げて悩んだグループに対して、もうひとつのグループは、いろいろなものをほめるのにすべて「きれいです」を使っていました。もう一方のグループから「なるほど、そんな方法もあるんですね~」という声が上がりました。

両グループとも、時間があれば、カラスがだんだん有頂天になっていく様子がわかるようにイラストを工夫したかった、と後で感想を述べてくれました。

休憩をはさんで、次は「注文の多い料理店」をレベル3にするリライトをしました。
森の奥に分け入っているということ、2人の男の浅薄な様子、宮沢賢治らしいオノマトペ、これらのポイントをどこまでどう扱うかが、みなさんが悩まれたところでした。レベル3で使える言葉を探しながら、ぎりぎり原作に忠実にしようと両グループともがんばりました。名前のない2人の男たちの会話の話者をどの程度わかるように書くかも悩んだ点でした。
冒頭のリライトで終了。

あっと言う間の、和気藹々楽しい3時間でした。
最後の質疑応答の時間には、みなさん、多読の本作りに関心が高く、「無料の読みもの」作りにどうやったら参加できるのか、などのご質問もいただきました。

【事後のアンケートより】
・日本語の骨格(削ぎ落としてはいけない要素は何か)について深く考えることができました。「ないと通じない言葉」と「あってもなくても通じる言葉」を見極める力を養うことは、相手の理解度に合わせて表現の難易度を調整する力にもつながると思いました。
・リライトは非常に楽しい作業でした。
AIに第一段階のリライト任せれるのではないか、任せる人もいるのではないかと思いました。例えば、レベル1の語彙や文法をインプットしておいてそれを使ったことばへの書き換えなどはAIは得意です。その後人が調整したり、情緒を書き加えたりしていけばいいのではないか。
・言葉を選んだり、挿絵のイメージを膨らませたりする作業がとても楽しかったです。また、グループで作業することで、自分にはない視点からのアプローチを知ることができ、とても勉強になりました。
・とくに子ども向けの読みもの作りのワークショップがありましたら、ぜひ参加させていただきたく思います。

AIを使っての読みもの作りもそろそろ視野に入ってきましたね。私たちも研究しなければ!
次回は、2月23日開催です。ご興味のある方、ぜひご参加ください。
https://tadoku.org/japanese/online-courses-for-writers/

(粟野)