6/23(日)第11回「にほんご多読ワークショップ」@新宿・大久保図書館 報告

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雨がちらつく6月23日(日)、新宿区立大久保図書館で半年ぶり、第11回「にほんご多読ワークショップ」を行いました。
申込は12名あったそうですが、当日現れたのは、親子一組を含む7名でした。
見学が4,5名、NHKの取材も入り、日本人のほうが圧倒的に多い結果となりました。外国住民に図書館に足を運んでもらうのは、容易なことではありません・・・。
ただ、ちょっとした変化も。参加者のうち5名がすでに大久保図書館の図書カードを持っている利用者でした。
いつもは、初めて図書館に来て、帰りがけに図書カードを作っていくという方が多かったのですが、今回は特に、多読の本の存在を知っていてすでに借りて読んでいる人もいました。図書館の存在感が増している!と感じることができたのはうれしかったです。

米田館長の「楽しんでいってください」という挨拶のあと、ワークショップは、いつものように、多読の説明を簡単にするところから始まりました。

字のない『あいちゃん』、字を消した『西町交番の良さん~助けて!』をみんなでいっしょに見ながら、お話の展開を追いました。来日まだ2か月という10歳のSちゃんも「こんにちは!」「あぶない!」など元気よく考えたセリフを答えてくれました。

さて、その後、最初は字のない絵本を読んでもらいました。文字からいったん離れて本に対して「多読的」なアプローチをしてもらうためのしかけです。
みなさん『レッド・ブック』『うめめ』『かさ』『アンジュール』など銘々に楽しみました。
『アンジュール』を読んだSさんは、「犬はずっと寂しかった。(最後に子どもに足をかけているイラストのページで)温かい、温かい気持ちになった」と語ってくれました。『かさ』では、自分でセリフを考えて読んでみたり、本の世界にすっかり入っていたようです。Bさんは、「かさ」の中の気に入った場面を見せて、その理由を語りました。
STさんは、『レッドブック』『続レッドブック』のつながりを絵を見せながら紹介、Jさんは、写真集『うめめ』の中の一番気に入った写真を披露してくれました。
(Bさんは『かさ』のこの絵から思い出の街の風景を語ってくれました)

その後は、自由に読書してもらいました。
ふだんは読まない絵本を楽しんだ上級の人、自分が持ち込んだ本の続きを読んでいた人、怖い本が好きなので、ちょっと難しいけれどレベル4の中の怖い話を読む人、朗読音声を聞きながら読む人、いろいろでした。Sちゃんはやさしい絵本を手に取って、覚えたひらがなを一生懸命音読してくれました。この日は、「あっ」の読み方を支援者から習って連発。
日本語学校に4月から通っているSさんがレベル0の本を何冊も読んで、「初めて本を読みました」とうれしそうに言ってくれたのがとても印象的でした。

(支援者と相談しながら、本を選ぶSさん)

『うしろにいるのだあれ』が気に入ったSちゃん。お母さんは母語で読んだことがある『アリとハト』がお気に入り)
最後に今日の一推しの一冊を披露してもらいました。
『パンダ銭湯』『チワワの花すけ~お姉さん、ごめんなさい』『うしろにいるのだあれ』『アリとハト』『本のれきし5000年』『耳なし芳一』『ジョンさんバスの中で』が挙げられました。

(「たくさんのふしぎシリーズ」から「本のれきし5000円」を熱心に読んでブックトークするSTさん)

みなさんが感想を簡単に述べて終了。
図書館には、日本語学習者が楽しく読める本がたくさんあることに気がついて、これからは、図書館を上手に利用して読書を続けてもらえたらいいなと思います。

※このワークショップの様子が一部以下の番組で紹介されます。ぜひご覧ください!

NHK「視点・論点~人と人とがつながる図書館 -違いを認め尊重しあうためには?」
7月17日(水)午後0時50分~午後1時 Eテレ
7月18日(木)午前4時05分~午前4時15分 総合で再放送

(粟野 記)