4/2(日)日本語多読授業入門講座 報告

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4/2(日)の日本時間9時から、オンラインで日本語多読授業入門講座を開催しました。
参加者は5名。日本の大学、日本語学校やアメリカの大学の先生、外国語ルーツの子どもたちの日本語学習支援をしている方などでした。
担当は正会員の片山智子と纐纈(はなぶさ)憲子でした。

まず、前半は「多読とは」と題し、片山が多読の考え方をお話ししました。

「多読」は、学習者がひとりひとり好きなものを読むので、従来の精読授業とは違って、学習者が主体で、多様な読み方が許容され、日本語の量がたくさん確保されることが強調されました。そして、このような多読でインプットを増やすことが、インテイクにつながり、学習者は読みの流ちょうさを身に付けていくとのことでした。
その多読を実現する「多読のルール」の意味についても説明がありました。
多読用読みものの紹介の後には、支援者の心得についても語られました。支援のルールは、「教えない/押しつけない/テストしない」。多読では、教師は知識を教え与える人ではなく、学習者と同じ立場で本について語ったり、ともに考えるという立場の支援者なのです。

後半は、纐纈によるアメリカの大学での実践報告です。
多読授業の活動内容、記録、成績のつけ方など細かく実際の例が紹介されました。多読コースの最後に行うプロジェクトワークでは、その出来の良さで成績をつけるわけではないのに、学生たちが創意工夫を凝らして思い思いの作品を作って発表する様子が語られました。

どっぷり多読を楽しんだからこその結果なのでしょう。「桃太郎」や「ハチの話」をゲームにしてしまう学生、紙芝居を枠まで制作してくる学生、金沢の町を立体模型で紹介する学生・・・それぞれ、やりたいことをやる楽しさに溢れた作品の数々に改めて感動しました。

休憩の後、質問時間も十分あったので、参加者のみなさんとお話しすることもできました。

以下は、事後アンケートからの抜粋です。

  • 面白くて2時間半があっという間でした。質疑応答で「図書で借りた本が難しくて、途中で投げ出す外国ルーツのある子ども」についてお話ししましたが、「投げ出していい」と言われハッとしました。私自身も途中で読むのを止めた本があるのに。「なぜ子どものその行為を否定的に捉えていたんだろう」と気付きました。
  • 外国ルーツの子どもの多読についてのお話、オンラインでの行う多読の方法などがわかりました。文字のない絵本についても多読図書として利用できることがわかりました。
  • どうやって本をそろえればいいのか、資金面を心配しておりましたが、オンライン図書も充実しているようですので、実施ができそうと思いました。
  • 今は現場から離れていますが、現場に戻ることがあればぜひ実践したいです。海外の大学で教えていた時にこの多読に出会えていれば、と悔やまれます。次の機会にはぜひ、と思います。

多読を知っていただけて、その上、授業実践に少しでもつながったらとてもうれしいです。
次回の「日本語多読授業入門講座」は5月7日(日)午後4時からです。ご興味のある方はぜひご参加下さい。

(記 粟野)