11月6日(日)オンライン日本語多読授業入門講座 報告

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毎月恒例、第一日曜日に開かれる「オンライン日本語多読授業入門講座」の報告です。
今回は海外の大学等で教えていらっしゃる先生方や地域ボランティア、個人レッスンの先生方がご参加くださいました。

今回の講師は、アメリカの大学で長年、多読授業を実践してきた正会員の纐纈(はなぶさ)憲子と日本の大学で実践してきた同じく片山智子でした。
前半は、まず、纐纈(はなぶさ)が「日本語多読とは」というタイトルでお話ししました。

学生たちが読んだものに感動して泣いてしまうこともあることなど、多読の授業は普通の日本語授業とは違うものだというエピソードから始まり、多読の理論的な背景や、精読との違い、多読のルールなどについて述べました。続いて、多読で使う読みものの、学習者がどのように読んでいくのか、支援者の役割など、多読についての実際について話しました。

 

纐纈は、アメリカの大学など海外での日本語の授業は学生に話させることに力を入れていることが多いですが、文法を教えてすぐに話させるような授業ではインプットが足りないこと、インプットを重視し、多読を取り入れることでインプットを補うべきだという考えも示しました。また、教師にとって「教えない」ことはなかなか難しいことだが、自信を持って「教えない」ことに取り組んでほしいとのことでした。

次に、片山が自身の経験をもとに、大学での多読授業の実践の様子を詳しく報告しました。

まず、実際の授業で、学生たちに多読を理解してもらうためにどんな導入の仕方をしているかを体験してもらうため、字なしの読みもの『あいちゃん』を講座参加者とやりとりしながら一緒に読んでみせました。

そのほか、多読用読みものなどをどのように並べるか、読み聞かせのコツなど、具体的に教師が授業で行うことを、実際に体験したエピソードを交えて紹介しました。

この後、休憩を挟んで。質疑応答の話し合いがありました。参加者から出た質問は次のようなものです。

・学習者が自分のレベルより高い物を選びがちだが、どのように対応したらいいか。
・子供の本に拒否反応を示す成人学習者に、どのように対応したらいいか。
・教室での聞き読みはどのように実践するか。音源はどうするか。
・図書館で読みものを選ぶ時に、どう選んでいるのか。
・初級者など日本語が十分に話せない学習者のブックトークは日本語でなくてもいいのか。
・ビブリオバトルを取り入れることについてはどうか。

それぞれ、講師やスタッフが回答しました。

また、感想として、オンラインでの活動の仕方が新鮮だったなどの声もありました。

アンケートで寄せられた感想も以下に紹介します。

【アンケート回答より】

  • 多読の教室ではどんな活動ができるのか、どんな流れで授業時間が過ぎていくかがとてもよくイメージできました。
  • お二人の先生のお話とスライドは、分かりやすく纏められていて、 理解し易かったです。事前に用意していた知りたいことは、ほぼセミナーの中で解決しました。 そして気づきやヒントを沢山いただきました。
  • 今すぐ多読に特化した授業ができるかはわかりませんが、普段のクラスでちょこっと多読をしたり、多読という学習方法を紹介したりして、少しずつ取り入れて行きたいと思います。そして、将来的には、多読だけの授業や、多読クラブなどができたらいいなあ、と夢見ています。
  • 勉強会ではありませんが、やはり、自分が学習者の立場を疑似体験できるよな機会があればいいなと思います。
  • 読み聞かせの講習もありますでしょうか。もしあったら参加したいです。
  • 言語教育も、人によって考え方が違うので、今日は自分と方向性が同じで、長くその分野で知見を広げられている先生方のお話しがうかがえてよかったです。

12月は日本語多読支援研究会を実施するため、多読授業入門講座はおやすみです。次回の入門講座は、1月8日です

(記 正会員・作田)