3/27(日)「オンライン読みもの作成入門講座」報告!

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第8回「オンライン・読みもの作成入門講座」を開催しました。まずは、簡単な自己紹介からスタート。沖縄県、愛知県から参加なさった方、オーストラリア、アメリカ、ブラジルなどの海外から参加なさった方も含め8名の受講生です。国内外の大学、高校、中学、小学校、ボランティア、個人で教えている方など、多様な立場からのご参加でした。多言語を話す子どもたちに教えている方もいらっしゃいました。
ご自分の住んでいる地域紹介や歴史ある場所紹介の多読本を作りたいという方もいらっしゃいました。

【多読用読みものについて】
はじめに多言語多読理事長の粟野から、多読用読みものについて説明がありました。多読用読みものとはどういうものか、どのようなものがあるか、題材選び及び著作権、レベル分けなどについて「にほんごたどく特設サイト」の資料などを示しながら、話しました。
【読みものづくりのポイント】
次に理事の松田が、読みもの作りのポイントを「にほんごたどく特設サイト」の「日本語の多読向け読みものを作ろう」のページを見せながら具体例をあげて詳しく解説ました。

【実践その1】
いよいよ実践です。事前に読んできていただいたウエブサイトの内容、粟野と松田がお話ししたことなどをふまえて読みものを作っていきます。
まず、例として「無料よみもの」の「カラスと水さし」を見せ、「レベル0」の絵と文の入り具合、展開の仕方を確認していただきました。
3つのグループに分かれて、初級レベルのリライトに挑戦してもらいました。
題材は事前にお知らせしておいた「アリとキリギリス」「からすときつね」「ウサギとカメ」から、ひとつを選んでいただきましたが、1グループが「からすときつね」2グループが「ウサギとカメ」を選びました。

できあがったところまでの作品を発表、その後講評。
「ウサギとカメ」では、メンバー内で最初に文をしっかり検討し、話し合ったグループと、最初に場面割りをし、オチ「ウサギとカメが仲良くなる」を決めてから、文と絵を入れていったグループ。「からすときつね」のグループは、肉を「くわえる」と言う難しい言葉を使わずに作品展開をさせていました。その是非。また、からすへの褒め言葉に「目もかわいい」と一般的にはあまり使われていない表現を「からすの羽と声がきれい」という文に加え、からすをなお一層喜ばせるというひと工夫もありました。

【実践その2】
実践編の後半は、中級レベルの文学作品のリライトです。あらたに3グループに分けてスタートです。題材は事前に読んできていただいた原作「蜘蛛の糸」と「注文の多い料理店」のどちらかを選んでもらいました。3グループともに「注文の多い料理店」を選びました。

まず、レベルを何にするか話し合っていただき、2つのグループがレベル3、1つのグループがレベル4でリライトをしました。それぞれのグループが、どのくらい賢治らしさを残せるか、残した方が良いかを話し合いながらリライトをしていました。
40分後に、各グループのできたところまでを発表し、感想を述べてもらってから、簡単な講評をしました。レベル3の1つのグループでは出だしの一文にたくさんの要素が入りすぎている、もう1つのグループではもう少し山の中の気味悪さ、登場人物の身勝手さが出せると良いと講評。レベル4では、さすがに使える語彙が多く表現が豊かになると思わされました。

皆様、熱心に作業をしてくださいましたが、やはり「初級・中級の読みもの作成入門」は少し時間が短かく感じられたでしょうか。 作品を完成してみたい方は、後日ご案内する「初級用読みもの作成講座」「中級用読みもの作成講座」にぜひご参加ください。

《事後アンケートからの抜粋》

・今日の方法では、どのレベルにどの語彙、どの文型が入っているかを覚えておくことが大切だと感じました。また、文学においては、その作家が書いたものを何冊も読んで、文体の特徴を知っておくべきだと思いました。
・何を残し、何を削るかを判断するための基準や、どのように雰囲気を出して盛り上げていくかを学べてとても勉強になりました。いろいろな形で日本語に携わっている方々とも交流できて楽しかったです。
・グループで、複数人で考えるといろいろな視点や表現に出会えるので大変勉強になりました。想像力が鍛えられた気がします。読みもの作成の方法を見聞きするだけでなく実践する機会が得られて理解が深まったと思います。
・リライト本の場合、はじめに「何を重視するか(ストーリー、おもしろさ、原作の表現、等々)」を定めておくと作りやすいのだなと感じました。また、セリフ、地の文、イラストと、何をどの部分で表現していくかを考えていくのは、パズルのようでもあり、頭を使う楽しい作業でした。
・作業の進め方からグループで話し合って決めるのであれば、もう少し時間がほしかったです。また、オンラインでの全体やグループでの話し合いでは指名しながら進めていただけたので、やりやすかったです。
・完成させたいという気持ちがでてきたので、読みものを完成させるワークショップにも参加してみたいと思いました。

ご参加くださいましたみなさま、ありがとうございました。

(正会員・田中るり子)