3/12(土)拓殖大別科ブラッシュアップ講座「日本語多読のすすめ」報告

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3月12日(土)午前10時から、拓殖大学別科のブラッシュアップ講座(オンライン)で、NPO多言語多読の粟野が「多読のすすめ」と題したお話をしました。
非常に画期的なことに、拓大別科では、来年度(来月)からすべての日本語クラスに多読を導入するとのことです。そのため、日本語講師のみなさんに多読について理解を深めていただき、具体的な実践例もお見せするのが目的でした。
参加されたのは、すでに多読授業を実際にされている先生から全く多読について知らない方までの13名。
NPO多言語多読側は、私(粟野)の他に、実践経験豊富な正会員の片山さんと作田さんが助っ人として参加してくれました。
はじめに粟野が、多読を始めたきっかけから多読の意義ややり方、教師の役目についてお話しし、多読用読みものの紹介もしました。
実践の様子の動画もお見せしました。
休憩をはさんで、片山さんが大学でどのように実践しているかをオンライン授業の例も含め、具体的にお話ししました。

みなさん熱心に聞いてくださって、質問もたくさんいただました。
経験者からは、
「難しい本を手にしてなかなか手放さない学生をどうしたらいいか」
「あまり読んでくれない学生への対処は?」
「読書記録を持ってこない」などの質問や悩み。
他に
「ブックトークの意義は?」
「上級者の多読のやり方は?」
「内容がわかっているかどうかの簡単なチェックのテストはどうか?」
「一般の読みもののレベル分けはどうしたらよいか」なども。
作田さん、片山さん、粟野でみなさんの質問、疑問に答えていきました。
「多読授業を楽しめた学生と楽しめなかった学生との差はどこにあると思うか?」という深い質問も。
この質問に答えながら、つくづく、多読授業は1人1人との対話が大切で、「日本語学習」という壁を壊していく作業だなと感じました。
初めて授業をする方からは「はじめて多読授業をするときの心得は?」と聞かれましたが、これには、「教師としてではなく本を楽しむ仲間として、気軽に授業をしてみてください」とお答えしました。

カリキュラムにあらかじめ多読があり、多読室まである拓大別科は、多読をやりたくても上司同僚の理解が得られなかったり、本の調達が難しかったりする支援者から見たらとても恵まれています。逆に成功の鍵は、支援する側の多読への理解や信頼?でしょうか?
支援者が多読を肯定的に捉えて楽しんでいれば、それが学生にも伝わるはずです。私たちも含め、最初はだれでもおそるおそる始めたものです。少しずつ学生といっしょに未知の世界を試して、とその楽しさを体験していただけたらなと思います。
その意味で、今回の講座は「多読、やってみよう!」と思ってもらうための「はじめの一歩」的な講座で責任重大でした。参加者のみなさんはどのように受け止められたのでしょうか。

以下に事後の感想を抜粋します。

講座を聞いて、多読授業を担当してみたいという気持ちになりましたか。
・そう思う
全員

今日の講座で良かったと思う点があれば、お教えください。

行い方だけではなく、具体的に授業の進め方を具体的に例示されたり、映像で学生の受講様子や、学生のリアクションを生の声で聞けたりしたことがとてもよかったと思います。
・ブックトークの「注意点」が明らかになりました。 また、多読指導に慣れた先生でも、多読に合わない学生は「しかたがない」と考えざるを得ない点は安心()できました。
・多読のポイント、コツをたくさん教えていただきました。教師根性でどうしても「評価しよ
う」「文型・語彙は?」など気になってしまうのですが、もっと自由な活動でいいのだと気づかされました。
・多読についてある程度の知識はありましたが、実際にどのように進めるかわかっていなかった
のが、今回お話をお聞きして具体的にイメージできるようになりました。教師にとっても、従来の授業に対する考え方を変えるひとつの挑戦になりそうですが、自分も担当してみたいと思いました。自分自身は読書が好きなので、外国語であっても読むことに抵抗はないタイプですが、そうではない、そもそも読書の習慣がない学習者が多読授業を通してどのように変化するのか見てみたいです。

全員に「やってみたい」と思っていただけたようで、ほっとしています。
ぜひ、多読担当の先生方の横のつながりを密にして、お互いの「多読」観?を投げ合って深めていただけたらと思います。
お互いのクラスの見学もお勧めです!
その後の多読便り、楽しみにしています。

(記 粟野)