10月3日(日)「オンライン日本語多読授業入門講座」報告

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報告が遅くなりましたが、10月3日(日)9時より、オンライン日本語多読授業入門講座を開催しました。
参加してくださったのは、オーストラリア・シドニー、名古屋など国内外の6人の方で、小学校から高校までの児童生徒の日本語学習支援に携わる方がほとんどでした。多読教材開発をされている出版社の方の参加も。

前半は正会員の高橋亘が「日本語多読とは?」と題して概論を話し、後半は同じく正会員の纐纈(はなぶさ)憲子がアメリカの大学での多読実践について具体的に話しました。
概論では、多読のキーワード、支援者の役割、授業のやり方、アクティビティなどが紹介されました。

多読は、多読の4つのルール(やさしいものから読む/辞書を引かない/分からない言葉はとばす/進まなくなったら他の本に移る)は多読的な読み方に欠かせないルールだが、強制するのではなく「楽しくたくさん」を大前提に、一人一人の学習者に合わせて少しずつ適応させていくことが大切だと強調されました。「教えない」のも「多読の肝」ですが、教えず、一緒に考える態度が大切だということでした。


実践報告では、アメリカのノートルダム大学での実践の詳しい報告があり、最後に参加者のみなさんと字なし絵本を一緒に読む作業をしました。字面を読まずに、絵をよく見て本の世界に入ることが多読では大切だということです。

少人数だったので、その後の質疑応答は、みなさんご一緒に和気藹々で行いました。
「教材が少ないので、教科書の文章をリライトして多読するのはどうか」「読むのが嫌いな子どもをどうやって水際まで連れて行って読んでもらうか」など現場に則した具体的な悩みも出てきました。
「教材不足は、オンラインの無料読みものなどの著作権フリーのものをダウンロードすればかなりの数になる」とか「読むのが嫌いな子どもには動画を入り口にしたらどうか」など参加者からも発言が出てきて、充実した話し合いになったと思います。

【アンケートからの抜粋】
・大学での多読授業の様子を垣間見ることができ、また、実際にどのようにクラス運営をしているのかを知ることができ、大変興味深かったです。多読をやっている生徒達がどのような本を、そして、どのレベルの本を手にしているのかを、グーグルフォームのデータから明確に見れたのが、とても勉強になりました。あのグラフを見ることで、レベルにこだわって本を与える必要はないということに気づかされました。
・実際に多読を導入されている現場の先生方の体験談、悩み等が聞けたことが良かったです。また、児童を教えている先生方が多かったこと、多聴多観の議論もあったことも、大変勉強になりました。
・多読の授業が終わっても読書をつづけていくためには、橋渡しとして市販本(初級は絵本)を読んだ方が良いというお話がありました。時間が許せば、市販本と多読本の役割の違いや、学習効果の違いに関してもっと聞きたいと感じました。
・日本の各教育現場での最新情報(オンライン、対面)がもっと聞けるといいなと思いました。

参加者はみなさん、とても熱心でした。これを機会にまた、勉強会や読みもの作成講座に参加していただければと思いました。
次回は、3週間後の11月7日です。興味を持たれた方、ぜひご参加ください。
(記 粟野)