第6回 シンポジウム「図書館多読への招待」 in 稲城 【ワークショップ報告】

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第6回シンポジウム「図書館多読への招待in稲城」で、図書館の多読実践報告の後に行われたワークショップの報告です。


「図書館多読のすすめかた」ワークショップ報告

ワークショップは、多読を取り入れている図書館、未導入の図書館、そして英語多読実践者を組み合わせたグループ分けをし、さまざまな角度から図書館多読について話し合える形をつくりました。

まずは、一枚の紙に名前・所属(地域)・出身地・好きな本のジャンルを書いてもらい、その紙をグループのメンバーに見せながら1人1分間で自己紹介をしました。この時点ですでにグループ内は盛り上がり、ウォームアップは完了です。

テーマ1:図書館多読のはじめかた

いよいよワークショップの開始です。図書館多読を始めるにはどうすればよいか、話し合いがスタートしました。最終的に、キーワード「図書館多読を導入するには◯◯◯がポイント」を作成するワークショップです。

各グループでは、真剣に話を聞く姿勢がみられ、いろいろな経験の話がつながっていく感じを受けました。最初からキーワードをどうするかと話をしていたグループ、最後までキーワードには手をつけなくて最後に導き出したところなどがありました。発表では、各グループにいらっしゃる多読未導入の図書館の方より、キーワードや話し合いの様子を話していただきました。



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発表では、図書館多読やってみなさいと応援された、数字やデータを出すのが良いなど勉強になった、熱気をもらった、実際のイメージがつかめた、アンケートの取り方を工夫するとよいなどありがたい意見があったとの発言がありました。これからの導入の参考になったのではないでしょうか。

テーマ2:図書館多読の悩みは?

次のテーマでは、図書館多読をすすめる上での悩みや課題についての話し合いです。

各自付箋に1分間でできるだけたくさんの悩みや課題を書き出し、一人ずつ説明しながら、模造紙に貼っていきます。似ているものはグルーピングしながらで、どこのグループも話がもりあがっていました。最後にまとめとして、どんな感じだったかの報告をグループごとに紹介してもらいました。

それぞれのグループでポイントが違っていたのがおもしろかったですが、図書館独自の悩みが多く出ていたと思います。朗読音声のデータ作成では、出版社ウェブサイトから提供されているものをダウンロードするよりCDのほうが扱いやすい、多読サークル運営では「人、場所、日時」と開催日が悩みどころであったり、多読実践者の協力が必要であることや、多読サークルを定着させるにはどうすべきか、またアプローチの方法など、具体的な声を聞くことができできました。







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今回は、図書館関係者のみなさんに日ごろの悩みや疑問を解決できる場を提供したい、という思いがあり、ワークショップという形をとりました。小グループしたことで、全員が参加できる形になったことがとても良かったのではないかと思います。

アンケートより(抜粋)

  • 色々な試みや問題点を伺って、自分のところでも取り入れられることがあった半面、「うらやましいなぁ」と指をくわえて地団駄を踏むしかないこともあり、悔しい気もしました。…が、多少アレンジを加えて、可能な範囲で問題点を突破していきたいと思いました。
  • いろいろな館の方の実際の多読導入の様子が聞けたのがとても参考になりました。図書館に導入する場合はやはり同業者でないと分からないところもあるので、書誌の問題や汚破損の課題など参考になりました。
  • 一市民として、今後、図書館との協働(ボランティアとか)が何かできないかと考えている中で、図書館の悩みを知ることができてよかったです。
  • 自分が多読を理解していなかったと分かりました。選書も間違っていたと反省しきりです。沢山の方の話を聞けてためになりました。
  • 今日のシンポジウムで、まずはやってみたい、やってみようという気持ちになりました。ありがとうございました。
  • みなさんとても意欲があって、ワークショップの中でもたくさん考えてらっしゃることを聞くことができて、とても刺激的でした/グループワークも気軽に色々話を聞かせていただけてよかったです/いろんなことが話し合えてとてもよかったです(他、多数)
  • 多読MARC、あったら残業が減ります!/書誌の統一、多読をしている図書館同士の連携/書誌情報を共有できるとありがたいと思います/書誌作成に関して他館と情報を共有できるといいなと思いました/書誌の共有化。これができたら資料の紹介に時間がさける。図書館のほかのスタッフにも多読を広めたいと思った。(他、多数!!)

次回は、2020年11月8日(日)岐阜県図書館で開催!

最後に、来年のシンポジウムを岐阜県図書館でおこなうことが、西澤理事より発表されて無事終了となりました。岐阜県図書館は、海外情報コーナーに多読用図書を集めて、県民向けサービスを行うとともに、県内の学校への団体貸出を行う「セット文庫」にも英語多読セットを準備している等、先進的な取り組みを行っています。ぜひみなさま、参加の準備をお願いします。

その後、図書館ツアーに希望者が参加したのち、場所を移して懇親会がおこなわれました。
全体的な参加人数は午前、午後ともに40数名とこれまでのシンポジウムに比べ少なめだったのですが、充実したシンポジウムになっていたのではないかと思います。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

(NPO多言語多読 理事/米澤、事務局/大賀)