第8回 多読支援セミナー「多読が目指すもの~言語や立場を超えて」報告 ≪全体会≫

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8月5日(月)、第8回多読支援セミナー「多読が目指すもの~言語や立場を超えて」 を開催しました。
気温35度を超える猛暑の中での開催でしたが、英語多読と日本語多読の支援者85名ほど(スタッフ含む)が参加しました。

開会挨拶

5月に理事長となった粟野から、NPO多言語多読の成り立ちと経過の説明、最近、多読の裾野が広がってきたが、今日は、テーマである「多読の目指すもの」について話し合い、多読についての共通理解を確認、さらに深めたいという挨拶がありました。

ワークショップ「絵本を使って多読の基本を考える」

司会進行役のスタッフの作田より、ワークショップの趣旨の説明がありました。多読では絵を見ることが大切だと言われているが、それを学習者の立場になって体験してもらいたい、という趣旨です。

まず、5分ほどのアニメ動画「ペッパピッグ・自転車」を観る体験です。流れる言語はロシア語だという紹介でしたが、実はギリシア語だったそうです。後で大笑いになりましたが、もしかすると出席者の頭を柔らかくするための作戦だったのかもしれません。どちらにせよ、ほとんどの参加者にとってわからない言語が流れたわけで、セリフに頼らずストーリーを追う体験になりました。

次に、文字なしか文字がほとんどない絵本、または韓国語かスペイン語の文が少しだけ付いている絵本を読む(見る?)体験をしました。


開会時から15のテーブルに、英語と日本語の支援者の方々が混じり合って着席しています。各テーブル5~6名で数冊の本を、取り替えながら読んでブックトークをしていただきました。先ほどの動画について話したテーブルもあったようです。









ここで、作田から、今度は支援者の立場になって体験を振り返るよう指示がありました。

各テーブルに1枚の「多読にとって絵を見ることとは」という前半部分が印刷された紙があります。話し合いながら後半部分を書き込みました。テーブルごとに文を読み上げてから、紙をホワイトボードに貼っていきます。最初の組が貼り、次からは意見が近いところに、遠ければ離して貼るというルールです。次々にボードに紙が貼られていきました。




△ 各グループの話し合いの結果。左右をクリックして次の画像へ。

このようなワークショップに慣れていらっしゃる方が多かったのかもしれませんが、わたしは多読支援をする方々の「核心をついた言葉を編み出す能力と、何人かの人の意見をまとめる能力の高さ」を感じて、感動してしまいました。

「多読にとって絵を見ることとは 想像力を膨らませること」という「想像力」をキーワードにしたまとめが多かったようです。あとで閲覧できるようにボードに残してワークショップを終わりました。

協賛してくださっている本屋さんの紹介とNPO編集執筆の本の宣伝をしたところで15分の休憩に入りました。先ほどのボードを見に行く方や、早速本屋さんに行く方など休憩しない休憩時間でした。


△ 新刊の「にほんご多読ブックス Vol.9、Vol.10」を先行販売しました。オリジナル・トートバッグは新色のピンクを含め、準備したものは完売!

実践者による報告 (ビデオインタビュー)

小学生から社会人までの英語・日本語の多読実践者約20人に体験を語ってもらったビデオを見ました。「言いたいことが言えるようになった」「日常生活に溶け込んだことばが使えるようになった」「知らない単語も想像してわかるようになった」など、英語、日本語学習者からの感想が語られました。
最後に韓国人の日本語学習者が、「英語は学校の科目として学ぶと面白くなくなる。語学をそういうふうに学ぶのは間違っていると思うので、私はドラマやマンガなど好きなものから学んだ。このやり方が一番いいと思う」と流暢な日本語で発言しました。これには、英語の先生も多いはずの会場から思わず拍手が・・・。

支援報告「多読の向かう先」

米国ノートルダム大学の纐纈憲子さんによる多読支援の報告のタイトルは、「多読の向かう先・6年間の日本語多読実践から」でした。

まず、何度もあった鳥肌が立つほどに感激した学生たちの成果発表の具体例が紹介されました。このような作品は大量のインプットがあってこそ自然発生的に生まれるものであることを強調されました。
続いて、多読授業から発展して学生自らの発案で動き出した新しいコースについても語られました。
多読は単なる言語習得の手段に止まらず、生徒の意欲を刺激し、言語に限らない潜在的な力を引き出す可能性もあるとのこと。力強いスピーチに参加者から度々感嘆の声がもれるほどでした。
さらに図書館を巻き込んで始まった多言語多読の取り組みの報告もあり、今後の展開が気になるところです。

(記 松田、Owly)

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