7月28日(日)第47回「多読授業と読みもの作成」入門講座報告

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梅雨明け宣言の待たれる7月28日。夏らしい暑さの中、東京、東中野のNPO事務所で「多読授業と読みもの作成」入門講座が開催され、13人もの参加者が集まりました。おかげさまで今回も事務所のテーブルは参加者でいっぱいです。

前回に引き続き、今回も海外からの一時帰国の先生方がおおぜいいらっしゃいました。また、国内の支援者の方々も多彩です。日本語学校の先生方のほか、技能実習生の日本語教育に関わる方、地域の日本語教室での支援に取り組む方などもおいでくださいました。

今回の講師は、NPO多言語多読理事長・粟野真紀子、正会員・高橋亘、そして、筆者の正会員・作田奈苗でした。

【午前の部】

日本語多読にようこそ

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はじめに高橋から、多読についての導入です。1時間ほどで日本語多読の概略を話しました。日本語多読とは、一人一人の学習者が読みたいものを楽しく読むこと、ということから始まり、日本語多読の4つのルール、支援者の役割についてと話を進めました。

支援者の役割はまず、強制せずに多読のルールを意識づけること、そして、重要なのは教えないこと、テストをしないことです。また、学習者をよく観察すること、一人一人が楽しめるように場作りを行うことも支援者の役割です。

海外在住の支援者向けには、悩みの種である本の入手方法を、高橋が経験から案内しました。海外では、NPO多言語多読のサイトなどで公開されている無料の読み物がありがたいです。また、教育機関なら、教材助成の利用という方法もあります。

最後には、多読の効果について話しました。動機付け、自律学習促進など、多読の効果はたくさんあります。

日本語多読実践報告

 続いて作田から、実際の多読授業の実践報告を行いました。国内大学の授業の例です。

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まず、どうして多読なのか、から。

始まりは長年行ってきた精読の授業への疑問です。クラス全員で同じ、難しいテキストを読んで、教師が解説して、表現文型の練習をして、といういわゆる「精読」が読解授業の定番だと思いますが、それが、学習者の語学力の何の役にも立っていない、学習動機を高めることができない、ということに対する不満がありました。一人一人の学習者が読みたい本を楽しんで読む多読は、これらの問題を解決してくれました。

そして、実際の授業の手順を準備から、授業中、教師がしていることを一つ一つあげていきました。教室に持っていく本探し、学習者の観察、声がけ、本選びの助言と、多読支援は暇そうでいて、実は忙しいです。また、いちばん難しいことは、学習者をほどよく放置すること。ここは支援者として胆力が必要なところです。

最後に、多読授業中の成功、失敗などのエピソードや、学習者からの声を紹介しました。普通の授業では話せなかった学習者が堰を切ったように話すようになった例、読書習慣のない学習者が自分で本を買ってまで読むようになった例などのうれしいエピソードから、支援者として未熟な時期、学習者の適性を素早く見抜けなかった失敗談などを話しました。

このあと、質疑応答の時間を持ち、午前の部が終わりました。

【午後の部】

多読に向く本とは?

情報交換と楽しいおしゃべりに忙しいお昼休みが終わった後、午後は、粟野の多読の本の紹介から始まりました。

いろいろなレベル別読み物、絵本などの市販本を実際にたくさん見て、レベルによる読み物の違いを参加者のみなさんに考えてもらいます。

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レベル0は横書き! レベルが上がると字が多い、など、みなさん、口々に発見を話しています。

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続いて、NPO多言語多読の「にほんごたどく」特設サイトから、多読に適した本の探し方などを説明しました。このサイトの「多読に適した一般の読みもの」を利用すれば、絵本、マンガ、小説など、多読に適しており、かつ、学習者に人気のある、さまざまな本を探すことができます。

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読みものを作ってみよう

さて、ここからはいよいよ読みもの作りに挑戦です。まず、参加者のみなさんには3つのグループに分かれてテーブルについてもらいます。

はじめに粟野から、リライトのポイントの説明。その後、「ウサギとカメ」「北風と太陽」などの童話の作成、または、「蜘蛛の糸」「注文の多い料理店」などの名作のリライトの中から、どれかを選んで取り組んでもらいます。今回は「ウサギとカメ」「蜘蛛の糸」「注文多い料理店」が選ばれました。

ページ割りを決め、レベルを考え、読みもの作りに取り組むみなさん。レベルに合わせて表現を選び、絵を描き、真剣に悩んだり、はじけるように笑ったり、とても熱心です。

本作り

完成したのは、絵巻物風の挿絵があって楽しい「ウサギとカメ」、「死ぬ」などの語彙の取り扱いに悩んだ「注文の多い料理店」。「蜘蛛の糸」では、やさしい日本語にリライトすることで、極楽ののどかで美しい様子が描ききれなくなるという残念な事実に気づきました。ここはリライトの宿命で、苦しいところです。

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最後に質疑応答の時間を持ち、参加者のみなさんにアンケートに答えていただきました。アンケートでは、グループでの読みもの作りが楽しかったという声が多かったです。

みなさんのこれからの多読授業、楽しみです!

(報告:作田)

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