3月2日(土)東京・大森南図書館で初めての日本語多読ワークショップ!

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3月2日(土)大田区大森南図書館で第1回やさしい日本語多読ワークショップが開かれました。
多文化サービスに大変熱心な大森南図書館の横山館長の熱い思いが、1年半越しの準備の末、実りました!

大森駅からバスに乗って17分。バス停の向かいに図書館があります。2階建ての1階が図書館。広々したスペースに大量の本が並んでいました。フロントや、本の整理をしている図書館員の方々がきびきび明るい感じなのが印象的でした。横山館長さんに出迎えていただいて2階へ上がると、多目的室があって、そこでワークショップをしました。

参加してくれた外国の方は9人。日本語は初級から中級レベルの方々です。スリランカ、ネパール、ミャンマー、インドネシア、中国、アメリカと国籍も様々なら、小学生からおとなの女性までと年齢も様々でした。 2月の大久保図書館のワークショップに参加した日本語学校の学生さん2人が、今回も来てくれました。

14:0 0 開始

横山館長の挨拶から始まりました。
「多読のワークショップをしたいと思いながら、なかなか実現できませんでしたが、やっと第1回の多読の会を開くことができました。皆さん、楽しくたくさん読んでいって下さい」

次に多読のルールを理事の粟野が説明しました。
「やさしい本を読むことが、いいです。おもしろそうな本を読みましょう。わからないところがあってもオーケー。楽しく読みましょう。苦しくなったらやめましょう」

スクリーンに字のない絵本を投影してみんなで見ました。絵をよく見ることから始めてもらいたいので、その練習です。木村家の毎日シリーズの「いってきます」を写しました。

朝食の場面からです。「これは、いつですか?」と粟野が聞くと、皆さん、口々に「朝!」。
慌ただしく食事をする様子は万国共通の朝の風景のようです。お父さんが大慌てでパンを口にくわえてネクタイを結ぶ情景には、笑い声があがりました。ゴミ袋と間違えカバンを捨てるところでは、「あっ!」と小さな叫び声も・・・。
参加者のみなさんは、絵の中にいるような気持ちになってくれたようです。

その後、スタッフが文字部分を読み、参加者のみなさんは、それを聞きながらもう一回絵を見て話を楽しみました。

14:20 それぞれの多読タイム!

次に、机の上に字のない絵本、あるいは文字が少しだけの絵本を並べておきました。参加者は、早速手に取り、多読が始まりました。日本語の本は、教科書しか読んだことがない、という人がほとんどでしたが、ためらわずに手に取って、楽しそうにページを繰る姿が見られました。

スクリーンで絵を見る楽しさを実感したからでしょうか、多読のワークショップで時々聞く「私は中級ですから、この本は易しすぎます」という声は、だれからも上がりませんでした。

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だんだんに、机の上の本を、文字の多い絵本・アスクのよむよむ文庫や大修館の多読ブックスの0と1レベルのものを置いていきましたが、次々に読んでいってくれました。

ネパールの小学5年生の女の子は、2人で1冊の本をいっしょに音読しながら読んでいます。在日期間の差で日本語力の違いがあるのですが、読める子につられて、在日期間の短い子が読んでいくのが、ほほえましく、頼もしくも感じました。

よむよむの「笑い話」を、ミャンマーの学生さんは笑いながら読んでいました。笑い話で笑ってくれるなんて、当たり前だけれど、うれしいな。

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午後3時になったので、粟野が「はい!ここで少し休みましょう。トイレへ行くとか、椅子から立って少し歩くとかしてください」と呼びかけましたが、参加者の皆さんは無視。本を読み続けています。

だれも休まないので、うれしそうに困っている粟野とスタッフ。

ネパールの女の子2人は、図書館の司書さんに促されて、1階の図書室へ本を借りに降りていきました。「ミッケ」「おばけやしき」などの謎解きや仕掛けのある本、お菓子作りの本を数冊借りて来ました。

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読書記録は、書いても書かなくてもいいということにしたので、半数くらいの人だけが書いていました。

15:45 ブックトーク

テーブルごとに一番よかった本の紹介をしてもらいました。
「ねずみくんのチョッキ」「笑い話」「七夕」「にわにわに」「どうして蚊は人の血を吸うの」「かさ」などが挙がりました。中国の女性は、読む力は中級レベルだと思いますが、ほとんど文字のない「かさ」を、おもしろかった本として挙げていたのが、印象的でした。本の内容を味わう、という多読の魔法がかかったのかもしれません。

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1550図書館のアンケートに記入

皆さんが、アンケートに記入し終わったところで横山館長が挨拶をしました。
「楽しかったですか。今日はNPO多言語多読の方々に、多読の本を持ってきてもらいました。大森南図書館でも、たくさん本を買いますので、本を読みに図書館へ来て下さい」

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粟野も挨拶しました。

「本を読むことは難しくないでしょう?新宿ハイジアでも本を読む会をしています。来て下さい」

ここで、今日のワークショップはお開きとなりました。

これをきっかけに、住まいの近くの図書館で日本語の本を手に取ってくれたり、私たちがボランティアでやっているしんじゅく多文化共生プラザの「にほんごの本を読む会」へ顔を見せてくれたりするとうれしいなあ、と思いました。

館長さんのお話では、大森南図書館ワークショップも、これで終わりではなく、第2回、3回を企画しているということでした。大久保図書館に続き、外国人のための読書ワークショップを開催する図書館がでてきたことは画期的です。
この活動を知っていただき、多くの日本語以外の母語を持つ方々に、日本語多読を体験していただけたら、と思います。

(松田記)