第7回 多読支援セミナー 《英語分科会報告》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

第7回支援セミナー午後の部、英語分科会の報告です。
さまざまな現場で英語多読を支援している56名が集まりました。

「多読を通して言葉を獲得するとはどういうことか?」伊藤幸子/NPO多言語多読 支援者養成講座講師

午前の流れを引き継ぐように、多読とはどういうことなのかを改めて考えるべく、NPO多言語多読で支援者養成講座を担当している伊藤幸子さんからのお話しです。

ーーーそもそもtadokuというアイデアないしアプローチは、英語を身につけようとする一般市民の視点に立つことなくしては、結局のところ、分からないしできないということ、tadokuとは、基本的には、ネイティブの子ども向けの絵のある本をたくさん読むことでリアルな英語のinputを得ることだが、それは言語習得の理論にも合致していることの二点を中心に話し、授業の組み立て方および多読図書の選び方のヒントにも少しだけ触れました。(伊藤さんより)

理論的ではありながらも、話しの最後に「多読でさまざまな素材を手に取り楽しむことは、歩みながらときにゆったりと道草を楽しむようなもの」という言葉がありました。それは実践者の日々の楽しみをよく表していることばだと思いました。

グループに分かれての話し合い

ここからは参加者の現場や状況ごとにグループに分かれての話し合いました。各グループのファシリテーターをつとめてくださったみなさんからもらった報告を紹介します。

グループ1:多読の導入の仕方(多読支援未経験者向け)

多読支援を始めたばかりの方、多読支援とはどういうものなのかを知りたい方たちのグループです。ファシリテーターは、NPO多言語多読の英語多読講座講師の山谷麻由美さん、繁村一義さんです。

ーーー準備なしのロールプレイングは緊張もしますが、このような場でひとの話を聞くだけでなく実際に行動してみることで振り返ったり、自分では気づかない良さを指摘してもらうのはよい経験となったのではないでしょうか。

ワークシートを書く際には「よいところを見つけて褒めてください」と強調しました。真面目な先生方はどうしても自分の至らないところに厳しい目を向けがちになってしまうし、何気なくやっていたことが実はとても素晴らしいことだったと気づかせてもらうのも、グループならではだと思いましたので。また、受講生役になったときにそのような視点で見ることで、よいアイデアを持ち帰ることができると思ったからです。

多読の説明、声かけ、実際に本を読むという中でそれぞれに参加した方になにか得るものがあったのではないかと思います。とても和やかに進行しました。みなさん、ありがとうございました。(山谷さんより)

続いて繁村さんからの報告です。

ーーー支援経験のあるひとがひとりだけで、他に経験者がいないし、今後も多読支援をする予定がない方が3名という状況だったので、この多読支援経験のある方に、多読支援を模擬実施して頂きました。

他の方も多読経験もほとんどない方だったので、多読クラスのようにはならず、経験のある方がこんなことをやっていますという説明をし、それに質疑応答する感じになってしまいました。

その中で多読指導に必要なことは何かと尋ねられたので、必要なものが何かは分からないけれど、自分で多読をしていない人が多読支援をできることは想像できないと答えたところ、大きく頷く方が多かったです。(繁村さんより)

グループ2:中学・高校・大学での支援

学校という大きなくくりになってしまいましたが、授業の中で多読を取り入れていることや、他のグループと違って実践者自身で多読を選択しているわけでないという、大きな共通点を軸に集まりました。ファシリテーターは中高一貫校や大学で多読支援を行い、NPO多言語多読の支援者養成講座講師をつとめる伊藤幸子さんです。

ーーー始めの10分間は、会場の多読教室に置かれている本を、各自で自由に見る時間としました。それから、授業で実際にやっていることをそのままやっていただきました。参加者が生徒役です。

  • 多読をしながらワークシートに書く作業をする授業(中学)
  • シャ読(*聞き読みをしながらシャドーイングすること)をする授業(中学)
  • お互いにおススメ本を選んでコメントを書きあうワークシートを用いての活動(中学)
  • ジャンル別必須冊数を指定して多読をする授業(高校)
  • お互いに読み聞かせをするオール・イングリッシュの授業(大学)

これらを皆でロールプレイ体験しました。最後に振り返りとして各自が感想を言ってまとめとしました。他の先生方が具体的にどのように授業をしているのかが分かって、また授業をした先生方は、加えてたくさんのフィードバックをもらえて、非常に有意義であったとの感想が多く出されました。(伊藤さんより)

グループ3:個人教室・児童英語教室での支援

個人教室や児童英語教室で多読支援をしているみなさんのグループです。最近ではお子さんだけでなく、大人も対象とした多読支援を行っている教室も多いようです。

そんな多彩溢れるグループのファシリテーターは、山形県天童市にて多読支援をしている荻野藍さんです。荻野さんは高校生のときに多読に出会い、いまに至っています。遠方から参加のなか、大役を引き受けてくださりありがとうございました。

ーーー多読の基本は「待つ」ことですが、生徒たちが自立するまでに我々はその成長をどう促進させることができるか?を、メインテーマに話し合いました。

まず自己紹介をしながら一人一人の現在の悩みや疑問点を伺ったところ、「ブックトークなどをしてみると、内容がわかっていないことがある。」「楽しく読めていない子にはどんな対応をしたらいいか。」「具体的なレッスンの中にどのように多読を取り入れればよいのか。」「小中高と一貫して多読を取り入れていくために、小学生にはどのようなアプローチができるか。」などといった声があがりました。

次に普段のレッスンの様子から疑問や課題をみつけるべく、模擬授業を行いました。全員ではなくボランティア制で、先生役、その他の方に生徒役(対象は小中学生と仮定)をしていただきました。批判ではなく、「良い点をほめる」「改善点を見つける」という趣旨を伝えた上で、評価シートを生徒役のみなさんにそれぞれ書いていただき、これも特に発表はせずに評価シートは先生役に直接お渡しする形をとりました。

今回のグループワークでは、みなさんの課題や疑問に100%答える、テーマに答えを出す、ということはできませんでしたが、「うちの教室ではこんなことがありました。」「私はこう思います。」など、たくさん情報交換はできましたので、それぞれ何かヒントが見つかったのではないかと思います。(荻野さんより)

グループ4:図書館・サークルでの支援

NPOでは図書館多読の普及活動として、毎年、図書館シンポジウムを開催しています。今年はこのシンポジウムを飛び出して、多くの司書さんの方が集まってくださいました。ほかにも図書館多読を支援したい方、私設多読サークルを考えている方などの参加がありました。

ファシリテーターは、NPO多言語多読の理事でもあり、都立高校の図書館司書でもある米澤久美子さん、NPO多言語多読の正会員であり、図書館多読講演会でも活躍する小川和子さんです。

前半は米澤さんの報告より紹介します。

ーーー最初に会場である文京の図書館の見学と司書の阿部さんからの説明を伺い、次に一人3分程度で自己紹介と参加した目的などを順番に話してもらいました。その中で、多く上がっていたことをとりあげて、意見を聞くということですすめていきました。

グループ14名の中では、公共図書館7名、大学図書館2名、教員1名ということで、図書館の話題での話が多く出ていました。自由に意見を出し合いながら、多読ノート(記録手帳)について、YLの表記や、語数をどのように調べているのか、MARCについて、本の分類や装丁など、図書館話題で盛り上がりました。大学図書館の方も個別に話をしている姿もありました。(米澤さんより)

後半については、小川さんの報告から。

ーーー以下、知りたいこと・お悩み事、として出た主な内容です。(司書・利用者)

  • 図書館多読サークルの(具体的な)進め方、さらに発展させるには
  • レベルが下の本からなくなるが禁帯にはできない
  • ORTの後に入れるのに適したタイトルは
  • 講演会・ワークショップは続けているが利用者のフォローができていない
  • 語数・YL表示はどうしているか
  • 多読イベント当日の盛り上げ方

それぞれの内容に、先行している図書館から解決案が出され、他の方からの関連した相談にもつながっていきました。今回参加された方々には、英語多読コーナーを作るだけではなく、利用者(地域住民・学生)による多読サークルができ、継続することが図書館多読の成功だという共通認識がすでにあるようでした。

酒井理事長の講演会や体験会を実施済みの図書館がほとんどでしたが、その後をどうフォローしていくか、という課題について意見が交わされました。多治見図書館の司書さん、西澤理事が先進地域である東海の事例をその場で伝えてくださったのも有益だったのではないかと思います。

図書館と一言で言っても、それぞれの自治体や学校によって状況は大きく異なるので、NPOとしては様々な実例を蓄積しておくことが、図書館からの相談に応じる力になるのではないかと思いました。(小川さんより)

参加者の声(アンケートより抜粋)

  • 「習得認知は年齢に関係なく同じ」伊藤先生のお言葉はとても心強く、背中を押してくれました。
  • ORTを使って具体的な多読の実践方法をおうかがいできてよかったです。図書館でいろいろな本を見られたのも大変参考になりました。
  • ロールプレイに於ける上から目線が、いつの間にか自分の中にあることに気づけた。
  • 文字ではなく、絵から作者のMessageを読み取ることの大切さを学びました。
  • 実践されている先生方から直接いろいろやり方を見せていただけて参考になりました。
  • 図書館司書同士の情報交換はとても大切で、話しを生で聞けることで感じることがあります。また勉強になり今後の励みにもなります。
  • 授業の活動例を多く体験できて良かったです。ぜいたくは言えませんが、好きな本を読む時間があると嬉しかったです。
  • 多読指導の手順や見極め、また読まない子への対応などについて、いろいろな実践、アイデアなどなど
  • 多読サークルの進め方の工夫、参考になりました。
  • いろんな先生方の授業デモとても参考になりました!
  • 本の中にも、大人と読む本、GR、一人で読むORTと3種類あったことを知れて良かったです。
  • 先生方の実践例が非常に参考になりました。自分の学校ではどのように実践できるか考えていきます。先生同士で意見交換出来る場があるとよかったです。
  • ゆったり道草をするように。この言葉が印象に残った。
  • 文京の学校図書館を見学でき、司書の先生の工夫を教えていただけてよかったです。また公共図書館どうしの情報交換、サークル運営のコツなど、視野が広がりすてきな時間を過ごさせていただきました。
  • 多読の効果について改めて説明していただき理解できました。
  • It was great. The information about the 4 strands was very useful. The extra session was terrific I learned a lot.
  • I learned about types of knowledge, it was so heroiled I will have to reread my note.

今年もご参加ありがとうございました。また来年の夏に、多くの方と出会い、語り合えることを願っています。

(事務局/おおが)