第7回 多読支援セミナー「いま改めて多読とは?多読支援とは?」全体会報告

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記録破りの暑い夏の2018年です。8月6日月曜日もまた最高気温が34度を超えた暑い一日でしたが、気温ばかりではない熱さが充満していたのが、支援者セミナーの会場でした。今年は112名の参加がありました。

「私と多読~出会いから支援者になるまで」繁村一義(NPO多言語多読理事・英語多読講座講師)

支援セミナー開会の挨拶は酒井理事長、今年度限りに理事長を退くことは自分で決めているので、今回が最後の理事長挨拶になります、遺言だと思ってしっかり聞くようにとのことでした。もちろん、しんみりしたムードとは無縁でしたが、多読がTADOKUへと進化した時の流れを改めて実感しました。その遺言は、一言「多読は数字じゃない!」

続いて『英語多読―すべての悩みは量が解決する!』(アルク)の出版を記念して、主著者の繁村理事が「私と多読~出会いから支援者になるまで」と題する講演を行いました。

英語に関しては全くの落ちこぼれだった学生時代。しかし好きなミュージカルをもっと楽しみたいという気持ちから、色々な英語勉強法を試みるも、ことごとく挫折。唯一続いたのが、ミュージカルに関するものを聴きまくる、今にして思えば「多聴」だった。

酒井先生の提唱する多読三原則を知り、そんな都合のいい話があるか、こんな嘘っぱち、自分が暴いてみせると義憤に駆られて多読を始めてみたら…意外や意外、仕事が忙しいにも拘わらず、やさしい英語の本を楽しみ、和んでいる自分を発見。いつしかペーパーバックを苦も無く読んでいる自分がそこにいた。ミイラ取りがミイラになって効果を実感したので、部下にも多読を勧めるようになり、自前の多読本を会社に持ち込み、気が付いたら支援する側になっていた。

従来の勉強法での失敗も身を以て経験し、多読の実践を積み重ねてきたからこそ、支援者としての繁村さんの言葉には説得力があります。詳しくは是非『英語多読―すべての悩みは量が解決する!』を手に取ってお読みください。

参加者の声(アンケートより抜粋)

  • 仲間…とは、読む仲間だけのことかと思っていましたが、支援者も仲間なんだと知れてよかった。
  • 支援は上から目線で行うのではなく、1対1で話すようにというスタイルは教室での授業にも当てはまると感じました。繁村さんが経験された英語学習歴には共感を覚えました。多読について詳しく知りたいと思いました。
  • ご自身の英語学習のお話、説得力があり分かりやすくよかったです。
  • Supporters(支援者)も多読者たちの仲間であるという考え方が印象に残りました。現在、中学校の教員をしていますが、多読の時間は生徒たちと多読を楽しむ「仲間」という意識を忘れずにしたいと思います。
  • 支援という言葉に共感しました。学校現場にも多読を入れるとなると、数字的な結果を求められます。どういう結果が出ると示さなければ周囲から理解が得られないからです。自分の好きなこと、良いと思えることを子どもたちのためにやってきたいと思えました。
  • 初めてお聞きしましたが、親しみやすいお人柄が出ていて堅苦しくなくて良かったです。実体験はとても印象に残りました。
  • 英語が苦手だったことからの話だったので、勇気づけられる人が多いと思います。生徒に伝えたいです。
  • 多読三原則を掘り下げていたのはとても参考になりました。「英語を英語のまま」触れる時間を増やすというのは当たり前なようですが、ストンと落ちてきました。
  • 繁村氏のお話を伺って、しばらくの間とにかく辞書なしで続ける大切さを知りました。
  • 支援にとって「待ち」の重要さの説明が印象に残りました。
  • 多読三本柱で仲間がいることで多読が広がり、深まるという話が印象的です。本との対話は一対一というイメージでしたので、仲間を増やしていきたいです。
  • お話の中にあった、多読はその国の言語に慣れること、上から目線の支援はうまくいかない、よい所をどんどん共有する、というところに深く共感しました。多読教育を自身も活用できるように、そして外に広がるようにしたいと思います。
  • 言語のインストラクターばかりが多読の支援者だと思っていました。自分で多読を実践することが大切だと感じました。
  • まず酒井理事長の「数字ではない!」に「!!!」アーメンです。繁村理事の実体験に基づいたお話、特に「支援者は一対一と情報交換する」に大きくうなずきました。
  • 繁村さんの個人的なお話を通して、多読に関する事柄がもっと身近に感じられました。

ワークショップ「改めて多読のルールを考える」

午前の部の後半は、「改めて多読のルールを考える」というテーマでの約90分間のワークショップでした。英語、日本語のそれぞれの教師が混じり合うように配置された小グループの島を16作りました。そこに大きな模造紙を広げて多読のルールのひとつ、「辞書は引かない」について、各自思いつく疑問や意見、感想などを付箋にどんどん書き込んでいきました。それをひとりずつ模造紙に貼りつけてからみんなで内容を整理し、意見交換の開始です。

「辞書を使ってもいいのでは?」という意見から「辞書で言葉を調べることがいかに役に立たないか」を自分の学習者としての経験から熱く語る人、「だめだとわかっていても自分が外国語を読むときはどうしても引きたくなる」という告白までさまざまな会話が飛び交いました。そこから「絵を見る大切さ」などまで話が及んだグループも。
参加した皆さんにとってはかなり主体的で、中身の濃い体験になったことと思います。
それでは参加者の声をご紹介します。この声を聞いて、これを読んだみなさんにも改めて多読のルールを考えるきっかけにしていただけたらと思います。

参加者の声(アンケートより抜粋)

  • 「多読」を始めていらっしゃる先生方のお話を聞いて、英語力が上がる以上に教師と生徒の人間関係が良好になると感じました。大変勉強になりました。
  • 「辞書を引かない」という考え方を否定的に考えていましたが、ワークショップを通じてプラスに考えられるようになりました。「予想する楽しさ」が多読で学べるだと改めて気づきました。
  • 自分以外の考え方、視点など、多く気づけるとてもよいワークショップで楽しかったです。
  • 辞書の話しをきっかけに、多読をどうしてやっているのかというところまで考えることができ、非常に有意義でした。他言語でやっている方のお話も指導に生かせそうです。
  • 支援者の立場、学習者の立場、いろいろな話がきけて有意義でした。支援しているとつい手や口を出しすぎることがありますが、それはいけない!と改めて感じました。
  • 辞書を使わないというルールについて、他の方々が思っていることが聞けて参考になった。
  • 日本語の方や図書館司書の方とお話できてよかったです。英語も日本語も悩みが共通していますね。
  • グループごとのワークショップは今までと違い多読の色々な考え方や方法を多くの方と共有できてよかったです。
  • 多読の基本を改めて理解する機会になり、とてもよかったです。英語を英語のまま楽しむという根本的な姿勢を生徒に伝えていきたいです。
  • 日本語多読の先生と初めてお話できてとても楽しかったです。多読の根本は何語でも変わらないんだと思いました。
  • 普段の生活では接することのできない様々なバックグラウンドの方々の意見を聞くことができてとても参考になりました。また自分の意見を述べることで改めて考えを整理することができました。
  • 皆さんのご意見が聞けてよかったです。違う立場の方の意見は大変参考になりました。
  • 日本語多読の支援の方々と同じグループでお話出来たことで、あらためて多読の効果、意味、辞書との付き合い方について深く考えることが出来ました。
  • まだ始めたばかりなので、これからの活動に活かしたいお話がたくさん聞けました。中学校のクラスでの多読の様子はとても印象的でした。
  • 答えは必要ないですが、「辞書を引かない」というお題について自分のグループ以外のまとめも聞ければよかった。後で付箋を貼ったポスターを見ても、質問に対してどんなサジェスチョンがあったのか分からないので残念でした。
  • グループで多読について考え、辞書の長所と短所、そして多読について深く考えさせたれました。行間を読むこと、大意把握のほか、本をたくさん読むことで心を豊かにし、豊かな発想ができるよう支援したいと思いました。
  • 自分の中で疑問だった点が、みなさんとのディスカッションを通してストンと自分の中に落ちて、納得がいったような感覚がありました。大変有意義な時間でした、英語多読のことも少し知れて良かったです。
  • 既に学校で多読を行っている中で、いま一度、教師のあり方や導入など、気づきが多かったです。絵を読むことを、もっと強く学生に進める(スキルを高め)ようと思いました。
  • 非常に有益でした。特に自分自身の辞書を使わないことへのモヤモヤがあったので。しかし解消されました。
  • 支援者はあくまで「読むことの楽しさを伝える」ことを忘れてはならず、それがあってことその「ルール」なのだと思いました。
  • 多読のルールの原点に戻った気がしました(絵とストーリーの楽しさ)
  • 英語、日本語、図書館の方など様々な立場の方のお話がきけて大変参考になりました。
  • ルールをより深く考えてみることによりグループの方々の多読に対する理解や思いを知ることができました。ワークショップの進め方についても勉強になりました。
  • 多読をすべきか否か・・・とてもモヤモヤしていたのですが、とにかくやってみようという気になりました。英語と日本語のギャップは感じましたが、参考になりました。
  • 学生同様、先生も多読支援の仲間、いっしょにわくわくできる方のネットワークが必要です。
  • 絵から始めることの大切さ、辞書を引かないことの爽快さ、深く心に残りました。
  • 改めて基本を話し合うことができてよかったと思います。

小グループでのワークショップだったこともあり、それぞれたくさんのことを語りあえたと思います。ファシリテーターをつとめたスタッフも改めて多読を考える機会を得られました。

(報告:当日スタッフOwly, 事務局)