7月7日(土)テーマ別研修会「日本語多読授業 実践と課題」報告@石川県国際交流協会

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7月7日(土)に、金沢で行われた米国ノートルダム大学の纐纈先生による研修会「日本語多読授業 実践と課題」に参加してきました。纐纈先生は、夏休み中、アメリカの大学生の夏期プログラムのために金沢に滞在しています。私は金沢旅行の途中で立ち寄りました。

纐纈先生は、NPO多言語多読の準会員で、いま精力的に学会やセミナーで多読研究発表をされています。昨年もこの石川県国際交流協会で多読研修をされました。今回は2度目のセミナーです。
当日は大雨にもかかわらず、参加者は27名。昨年も参加したリピーターが13名でした。地域の日本語教育中心に活動されている方6名、地域に加えて大学でも教えていらっしゃる方が16名です。

まず、纐纈先生がノートルダム大学の多読授業の写真を見せながら、多読とはどんなものなのか、支援の実際、始めるにはどうすればよいか等、概論を話して下さいました。自己紹介の時間を設けたり、グループで話し合う時間を取った後で発言してもらったりと、いっしょに考えていく姿勢の講義で、楽しく参加できました。

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多読実践を通して日本語ができないと思っていた学習者の意外な面を知り、教師として大切なことに気づかされたというお話が印象的でした。

休憩を挟んで、去年の纐纈先生の研修後に多読を取り入れた実践報告が2つ。

まず、金城大学の留学生別科(短大に進むための準備過程)での多読活動。これは、日本語教師ではなく、職員の立場で支援をされている方の報告でした。レベル0の学習者もいて、学習者のレベル差もある。日本語を教える立場でもない。でも、何とか学生達をサポートしてあげたいという謙虚な気持ちで学生と接する姿勢に感銘を受けました。「この本を読む活動があったから、短大に入ってから大量の日本語を読むことができた」という学習者の感想、嬉しく思いました。

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もう一つは石川県国際交流協会のクラスの中での多読実践の紹介でした。「ずっと笑いっぱなしだった学習者がいた」「日本語がなかなか上達しない学習者も楽しんでくれた」「学習意欲が高まった」等々授業風景の画像を見て、とてもいい雰囲気のクラス運営をされているのが感じられました。だからこそ、楽しい多読授業になったのではないでしょうか。

私も自分の多読に関わる体験を少し話しました。私自身の英語の多読体験がいかに楽しいものだったか、子どもを教えるときに、「よむよむ文庫」(アスク出版)や「にほんご多読ブックス」(大修館書店)のお話をいっしょに読むことで子どもの心が開かれていったことなど。そして、「金沢多読ファンクラブ」という英語多読サークルの紹介をしました。翌日、さっそく2名の方がそちらの集まりに参加して下さいました。

最後にまたグループごとに多読について意見を交わす時間を持ちました。

「文法で教えることだけが日本語を教えることではない」というような感想を述べられた受講者の方があり、伝わるものがあったかなと思いました。

この研修に参加して強く思ったことがあります。多読を進めていくときに大切なことは、学習者と支援者の信頼関係なのではないか、ということです。学習者に対して謙虚な姿勢で接するという原点をあらためて思い起こしました。

(NPO多言語多読 正会員 宮城恵弥子)