11月26日(土)にほんご多読支援セミナー@名古屋 報告

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11月26日土曜日に、アスク出版の主催で「多読支援セミナー@名古屋」がありました。テーマは『多読のススメ』~にほんご多読支援の授業についての情報交換会 ~というものです。講師として会場の愛知国際学院へ伺いました。快晴!名古屋へ向かう新幹線の車窓から、雪を戴いた富士山が、まるで額に入った絵のように見えました。

午後1時から3時までのセミナーに参加してくださったのは、愛知国際学院の3人の先生方をはじめ、県内の日本語学校や、ボランティア教室の先生方、そして島根県から来てくださった小学校の先生など、15人の方々でした。
まず、多読は、一斉に同じ本を読んで、感想を話し合ったりすることとは違う!ということをわかっていただいた上で、多読のルールの説明をしました。

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次に、日本語学校での授業風景の動画を見ていただきながら、指導者の役割についてお話ししました。聞き読みはどのようにするのか、という質問がありましたので、聞き読みをしてる学習者の様子を見ていただきました。

ここで、いったん休憩。

休憩時間中に、アスク出版から出ている書籍や、NPO多言語多読の自費出版分の読み物など、手に取っていただきました。
10分ほどの短い休憩の後は、多読向け読み物の紹介です。レベル別読み物だけでなく、初級の学習者に向いた読み物を、見ていただきました。「どいてよへびくん」の韓国語版を紹介して、絵だけでストーリーが分かる体験をしたあと、日本語の「へびくん」を見ていただいたところ、「ああ、やっぱり」という声が上がりました。思った通りの言葉がついていた、ということのようでした。

セミナーの始めから、4人+4人+4人+3人の島に分かれて座っていただいていましたので、グループでの情報交換も、その島ごとで行っていただきました。テーマは「多読支援をそれぞれの教育機関でどのようにしていったらよいか」です。各グループを回って、お話を聞いたのですが、大変活発に意見や体験談が出ていました。いわゆる読解授業に対しての疑問や、行き詰まりはみなさんが感じていらっしゃるようでした。
30分足らずの時間でしたが、情報交換の話し合いの後、内容を発表していただき、参加者全員で、情報を共有することができたと思います。

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日本語学校の先生からは、45分または50分のひとコマの授業全部を多読に使うのは難しい。授業の始めの10分を多読にあてるということでは効果がないのだろうか。能力試験や、入学試験などに追われて、なかなか時間が取れない。
ボランティア教室の先生からは、多読用の本は多いに越したことがないというのは、今日のセミナーでわかったが、費用の問題は大きい。
というような声が聞かれました。
条件が整わなければ始めてはいけない、というのではなく、まずは短い時間からでも、少量の多読読み物からでも、始めていただきたい、図書館から本を借りることも考えて・・・とお話しして、セミナーを終わりました。

名古屋駅で「ういろう」を買って、帰路につきました。名古屋でも、あちらこちらで小さい多読の芽が出て、やがて大木になってくれますようにと願いながら。

(松田緑 記)