9月13日 横浜・みなみラウンジ 日本語ボランティア講座 2回目報告

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9月13日、みなみラウンジの日本語ボランティア講座「『多読』で広がる日本語学習」2回目は、実際に学習者に多読をしてもらうという企画です。
スタッフのご尽力で、実際の多読デモンストレーションが実現しました。

最初の30分は先週の話について質問疑問を出してもらいながら復習する時間としました。
「この多読のやり方は、効果的だと思う」「自分が日本語を覚えてきた過程と同じなので共感できる」と言って下さった方がいて、ちょっと安心。
多読の本についても説明しつつ、あっというまに30分終了。

その後、13名の学習者のみなさんが登場。3つの島に分かれてすわってもらい、多読が始まりました。

以下、それぞれの島の様子を担当したスタッフが報告します。

〇大人の学習者ばかりだった島

大人の女性ばかり4人(中国3人、ベトナム1人)が多読をしました。

まず、クイズ形式になっている絵本「なかみはなあに?」を読み聞かせしながらいっしょに「なかみ」を考えてもらいました。その活動でリラックスしたところで、「レベル別日本語多読ライブラリー」(アスク出版)の良さんシリーズ・レベル0「落とし物がいっぱい」の文字なし拡大版を私がゆっくり読み聞かせし、絵を見ることに慣れてもらいました。全員とても集中していて反応もよかったです。

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さていよいよ、レベル0から多読をスタート。すらすら読める二人は途中からレベル1を読みました。CDの聞き読みが気に入って、ずっとCDを聞いていた人、CDはすぐにやめてしまった人、読み方はいろいろでしたが、全員自分のぺースで本を読み続けていました。

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最後に、今日読んだ本の中で一番良かった本、好きな本を挙げてもらいました。(白石)

 

〇中学生や大人の島

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このグループには、先月来日したばかりの大人の学習者と中学生がいました。来日したばかりの方は自信なさげでしたので、多読は早いかなと思いつつ、まず『にほんごえほん あいちゃん』(仙台国際日本語学校刊)を。絵をいっしょに見ながら「なんさい?」をいっしょに読みました。次に、良さんシリーズのレベル0『助けて!』を読み聞かせすると、さかんに頷きながら聞いていました。すると、その後は・・・。
レベル0を何冊か自分で読んで、最後は『ハチの話』に「感動しました」という言葉まで出ました! 文字を読むのではなくお話を読むと、ちゃんと味わえて、言いたいことがあれば知っている言葉が口から出てくる。私にとっても嬉しい体験でした。
img_0523-2中学生もそれぞれ順調に読んでいきました。ある男の子は、多読ブックスの「老人の町」を差して、こういうのが好きと言いました。10冊読んだ女の子にどれが一番好き?と聞くと即座に「これ!」と「よむよむ文庫」の「女の子」を指しました。漫画読んだりしながら「着物」(よむよむ文庫)を読んだ男の子は「冬は20枚ぐらい着ました」に驚いていました。
(宮城)

 

〇中学1~3年生の島

5人の女子中学生が集まりました。来日歴は2、3年。話す日本語はとても上手で、実際にマンガなどは自分で読んでいる様子でした。この日、マンガはあまり持ってこなかったのは失敗でした。「チーズスイートホーム」を手にとった女の子は、とても気に入って「教室で本を紹介する課題が出ているから、これを紹介する」と言っていました。ものすごいスピードで多読本のレベル0から3までランダムに10冊読んだ人も。その反面、ずっと中国語で話してしまう女の子やどれにも興味が持てず、ぱらぱらとページをめくるだけの子もいました。しばらくしてから朗読音声を聞いてみる?と勧めたら、突然、集中して聞き始めたので、早くから誘えばよかったと後悔。この年代の生徒と多読をじっくりするには、時間が必要だと改めて感じました。

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(粟野)
以下、受講したみなさんの声をアンケートから一部を抜粋します。

・本の読み聞かせの前に、拡大コピーした絵を見せて、どのような話か想像させてから、読み聞かせをしていたのは、とても有効だと思いました。
・多読の様子が見られてよかったけれど、見ている時間が長かった。どう関わったらいいのか教えてほしいです。
・音声を活用するという点が参考になった。
・本はいろいろなジャンルからテーマが選んでありますが、一見絵本みたいなので、大人で抵抗がある人がいませんか。
・普段、学習支援をしている生徒たちが、いつもは見せない顔で本を読んでいました。今後の活動に取り入れたいと思います。
・先生が学生にやさしく段階を追って接している様子が参考になりました。
・日本人でも本を読む人が少なくなっているようですが、ゆっくり、ゆったり本を楽しむ時間を持ちたいと思います。
・ゼロレベルの学習者ですが、少しの時間でもはじめていきたいと思いました。
・総合的に日本及び日本語を理解できそう。
・声を掛けるタイミングを参考にしたい。

みなみラウンジのスタッフのみなさん、大変お世話になりました。
その後、授業で取り入れられたら、報告をお寄せください!
(粟野 記)