9月18日(日) 第30回「多読授業とリライト」入門講座報告

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6年前に始めた「多読授業とリライト」入門講座が今回で30回目となりました。
日本語学校の先生2人、大学の先生5人、大学の事務の方1人、元英語教師1人、合計9人の参加でした。講師はNPO多言語多読理事、川本が務めました。

まず、この講座への参加理由、何を知りたいかも含め自己紹介をしていただきました。

  • 今回の受講は2回目。4年前に多読授業を実践した。多読についてもっと知りたくて3年前からNPOの英語多読講座を受講。大学で多読の本作りが可能ではないかと、再度参加。
  • 同僚から多読について話を聞き、多読授業を始めている。多読についてもっと勉強したい。
  • 2016年8月の多読セミナーに参加。「多読」っていいなと思い、参加した。
  • 他の多読グループに所属している。リライト講座に興味があり参加。
  • 大学の事務局に勤務。同大学の日本語の先生に誘われて参加。外国人に日本語を教えるボランティアもしていて、多読にとても興味を持っている。自分自身フランス語の多読をやってみたい。
  • 元英語教師。英語習得のためには本を読むことが一番だと思っていたが、なかなか学校教育ではできなかった。多読に興味を持って参加。
  • 2013年福岡教育大学での多読セミナーに参加。だが、多読は実践できなかった。9月に東京の日本語学校に転勤。ここで多読授業が始められそうだ。
  • 過去に多読授業を実践したことがあるが、多読支援の仕方についてもう一度ゼロから勉強をしたい。
  • 多読を授業に取り入れたい。多読の本を作れないかと思っている。

1,「多読って何だろう」という問いかけから始めました。

  • 本を自分で選べる。
  • 母語に訳さずに読む。
  • 先生が理解度をチェックしない。
  • 文法や意味を教えない。
  • 【わからないところは飛ばして読む】
  • 多読はたくさん読まなければならない。
  • 【辞書を引かないで読む】
  • 【やさしいレベルから読む】
  • 【進まなくなったら、他の本を読む】途中で読むのがいやになったら、やめる。
  • クラスで仲間と一緒に読むとよい。興味がないと思った本でも、他人が面白そうに読んでいると読んでみたくなる。(情報交換)
  • 多読のクラスではリラックスできる。リラックスできるようなクラス作りが必要。
  • 自分のスピードで読める。

さすが、みなさん、どんどん発言!すばらしい!日本語多読4原則もしっかり入ってます(笑)

次に、今の多読は読むだけではない、「多聴・多書・多話・多観」を含んでいること。
言葉はやはり音から入るので、読み聞かせや聞き読みが大切であることを伝えました。
ここで、動画を見ていただくつもりだったのですが、私の不手際でうまく音が出ず、助っ人に調整をお願いして、「多読に向いている本とは?」を先にお話ししました。

2,どんな本が向いていると思いますか?

という問いかけには、絵をみてわかる、ストーリーがわかりやすい、というのはすぐに出たものの、くりかえし同じ表現が使われている、というのは出てきませんでした。そこで、「どいてよ、へびくん」「きんぎょがにげた」を見せて、わかりやすさを体験。楽しそうな皆さんの顔が印象的でした。

NPO多言語多読監修のレベル別読み物だけでなく、多読に使える市販本を紹介。絵本、アニメ(ジブリetc.)、漫画、児童書など。動画サイトなども情報交換しました。

その後、動画で、実際の授業風景「授業の始め方」、「読み方の指導」、「授業中の声かけ」、「読むから話すへ」を見ていただきました。

3,昼食休憩後に外国語で多読体験

ほとんどの方はORT(Oxford Reading Tree)を聞き読み。英語多読講座の受講生がいらしたので、スペイン語も用意。何人かの方が興味をもってスペイン語絵本の聞き読みを。ご自分で棚にフランス語の本があるのをみつけ、フランス語版「はらぺこあおむし」を読んだ方も。その方は中国語ができるので、次に中国語の絵本も読みました。そして「はらぺこあおむし」をブックトーク。

絵と文字が何度も繰り返し出てくるのでわかるとのこと。楽しいとブックトークしたくなるのですね。みなさん、音を聞くことの大切さを実感。授業でも音声を聞かせたいが、どうしたらいいか。機器の問題など、経験者から助言がありました。20160918-2

4,いよいよお待ちかね、リライト体験

〇 はじめは「アリとキリギリス」「北風と太陽」「ウサギとカメ」
三人一組で、リライト開始。絵の展開を考えてページ割、テキストをのせていきます。全員が積極的に関わり、楽しそうに笑顔でリライトをしていました。全グループ、レベル0で仕上げ、作品を発表。各グループ、配役とナレーションを決めて芝居仕立てにして発表してくれました。どのグループも、なかなかのものでした。

〇 次は「蜘蛛の糸」「羅生門」「注文の多い料理店」
グループの組合せを変えて、リライト。今度はやや緊張気味。
「羅生門」「注文の多い料理店」はレベル4、「蜘蛛の糸」はレベル3で。
各グループとも全体の構成を考えてからリライトを始めました。「羅生門」1/3、「注文の多い料理店」1/4、「蜘蛛の糸」2/3まで仕上げられました。

各グループの苦労した点と冒頭を読んでいただきました。その後私たちの既刊のものをグループごとに見たいただくと、すでに何回も読んでいたのに、こんな工夫があったって気づいてなかった、なるほどー、やっぱりここは同じ、などしばし盛り上がっていました。

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最後に音のところで言い忘れたシャドーイングについて説明。音声が聞こえたそばから、マネして口にする。意味は分からなくていい。ぜひみなさんもやってみたくださいということで終了。

★全体の感想

全員、たくさんのことを学べた、来てよかったといってくださいました。 感想を、大きく分けるとふたつになります。

  • リライトは大変だけど、楽しかった。作品を作れるかもしれないと思う。
  • ORTやスペイン語絵本を聞き読みして音の大切さ、楽しさを実感できた。クラスにも活かしたい。

みなさんのなかから作品が出てくるのを楽しみしています。
(田中 記)