5月29日(日)第27回「多読授業とリライト」入門講座報告

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5月29日、初夏の日差しの中、4人の参加者のみなさんが定刻前に集まりました。
国内大学で多読を授業内で少々されている先生、その他、アメリカの大学でこれから始める先生、すでに始めていらっしゃる先生と司書の方でした。

話は、アメリカの5大学を結んで、多読授業をしている先生の実践を中心に進んでいきました。
準備期間を経て、5大学で取組始めたのが、今年の1月。
50分、1単位の授業だそうです。オンラインで5大学を結んで、読み聞かせを行ったり、ディスカッションに発展することもあるそうです。他にも読んだ本の感想を書き込むサイトを作ったり、ブックトークをしたりと工夫の数々が他の参加者の方にも大いに参考になりました。
多読の効果という話の中で、「多読をやっている学生の話し方は、うまく言えないけど、『丸い』」というコメントがあったのが印象的でした。考えて、頭で訳してから話すのではなく、もっと自然に出てくる日本語、ということなのでしょうか。多読をやった学生の方が、言葉をより体に馴染ませている、ということなのでしょうか。

私のほうからは、多読授業の様子や、おもしろい読みものに出会ったときに思わず、再話してしまう学習者の様子、学習者へのインタビューなどを動画で紹介しました。
それから、多読の入り口を韓国語の絵本を使って体験してもらいました。

午後は、その体験を受けて、まずはレベルの低いものをリライトしてみました。
題材は、「アリとキリギリス」と「北風と太陽」。
2人ずつに分かれて、語彙表を調べながら、楽しく作業が進みました。

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それにしても、こんなに大笑いしながら作った方たちは初めて、というぐらいゲラゲラ笑いながらの作業になりました!
楽しみながら作る!これは非常に大切なポイントかもしれません。
低いレベルは、まず絵、そしてそこにふさわしい言葉が1,2文という感覚を掴んで、2チームとも楽しい作品に仕上がりました。

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次に、小説のリライト体験です。
「走れメロス」と「注文の多い料理店」の冒頭部分をやさしい日本語に書き換えました。
そして、実際に私たちが多読の本にした二つの作品とみなさんの作品とを比べてみました。
「よむよむ文庫」(レベル4/アスク出版)の「走れメロス」では、原作の、文章の歯切れのよさを損なわないよう短文をたたみかけるような書き方になっていること、「注文の多い料理店」(レベル3/アスク出版)の導入部分の工夫などを感じていただけたでしょうか。

最後に講座全体の感想をうかがうと、皆さんが口々に「勉強になった」と言ってくださってほっとしました。
これからの実践についてまた報告していただけたらうれしいです。
(粟野)