2月28日(日)第25回「多読授業とリライト」入門講座 報告

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2月28日、真冬とは思えないような暖かな日曜日に、第25回「『多読授業とリライト』入門講座 」が行われました。今回の入門講座参加者はとりわけ多くて全部で14人、スタッフも3人で対応と、賑やかな講座となりました。リライト講座から「『多読授業とリライト』入門講座」と改称して今日で3 回目。午前中の日本語の多読授業実践についての内容が濃くなりました。

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まずは、それぞれに自己紹介を兼ねて参加の動機を伺いました。

☆参加者:大学の先生を中心に(8名。うち、海外や留学生の多い地方の国際大学等、遠方から参加の方も何人かいらっしゃいました)、日本語学校からのグループ参加の方(5名)、その他、子どもの国語教育に読書を取り入れている方(日本語教育養成講座受講中)が参加されました。
☆参加の動機:今回の参加者は、すでに多読授業で効果を実感している方から、最近始めたばかり、春から担当するという方、本を購入したがあまり多読について知らないので始める前に学びたいという方までいろいろでした。けれども、どの方も多読授業に関心を持って足を運んでいらっしゃったようです。
また、リライトに興味があり、自分で作るこつが知りたいという方もありました。その他:図書館の司書さんにどんな本を購入するか相談するために多読のことを知りたいという方もありました。多読の広がりを感じました。
すでに多読授業を実践している先生からは、日本語を勉強しているのに、日本語の本を読んだことのない学生が多い。それで多読を始めたところ、学生から多読を始めて翻訳しないで読めるようになるのを実感している等の嬉しい報告もありました。

続いて、多読授業について。

☆多読とは何か?:一人一人がおもしろいものをたくさん読むこと。子どもや子どもの心を持った大人が語彙や文法を超えて楽しみながら読んでいくことが多読。そして、「多読」は、従来の文法と語彙による学習とは違う語学習得への新しいアプローチであることが紹介されました。

☆多読授業をどのようにスタートさせるか:
最初に多読の読み方について、よいガイダンスができるといい。ただ、多読の4つのルールを示すだけでなく、絵をよく見る。など、丁寧にやり方を導入する。また、多読経験者の先輩の話なども効果的。

☆ ルールの守らせ方について:
ルールは大切だが、教室を緊張した空間にしてはいけない。何よりも楽しいことが大切。
メモを取る生徒・辞書を引きたがる生徒等にも厳しく注意するのではなく見守っていくことで、だんだんに本人が必要ないと気づいていく。多読授業のゴールまでに多読的な読み方を身につけてもらえればよい。
☆支援の仕方:
主役は本と学習者! 本が教えてくれて、学習者が能動的にそこから学ぶので、支援者は教えない。ただし、学習者をちゃんと観察することは大切。
シェアは大切。一冊読み終えたらいっしょに話をする等、教えるのではなく共有する。時間があれば、支援者あるいは仲間と本の紹介やシェアリングの時間を設ける。読書記録用紙の活用

その後、多読授業の様子のビデオも見てもらいました。その中で聴き読みの効果・絵を読ませる・学習者のブックトーク等、多読は四技能へつながっていくことが紹介されました。
(その他、図書館(室)との連携の話も紹介されました。図書館と連携できると、多読が広がる)

英語多読のORT、韓国語版五味太郎の絵本も見てもらって、学習者の気持ちを想像してみました。

☆どんな本を選んだらいいか:
レベル別日本語多読ライブラリーや多読ブックスのようなGRは出発点に必要だが、少しずつ絵本や漫画なども上手に取り入れて混ぜていくことでGRを超えた読書につながる。お奨めの本を見せながら、どんな本を選んだらいいかにも触れました。

昼食休憩を挟んで午後はリライト体験です。
今回は4グループに分かれ、グループごとに、いろいろな題材を選んでもらいました。

☆ まずは、レベル0か1でリライト体験 自分たちで絵も描きながら全グループ完成させました。「使える言葉がほとんどない!」と言いながらも、笑い声が絶えず、楽しそうに作っていました。吹き出しや絵の助けを借りながら、作品を仕上げました。お話を語る絵の力というのを味わっていただけましたでしょうか。
『アリとキリギリス』レベル1
『風と太陽』『北風と太陽』レベル0 2グループ
『ウサギとカメ』レベル0
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☆後半は少し難しいもののリライトということで、4つの試みが行われました。
『人間失格』レベル4
『羅生門』レベル4
『注文の多い料理店』レベル3
参加者が持参したロシアの昔話絵本『ハリネズミと金貨』レベル3

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レベル0や1に比べると楽だと言いながら取り組んでいました。こちらは最初の部分を少しだけやってみようということでしたが、分担してリライトするグループ。少し難しい言葉も使いながら進めるグループもあり、どのグループもリライトを効率的に進めていました。「会話で始めると、作りやすいかもしれないね」(注文の多い料理店)最初レベル2で試みましたが、レベル3にすると楽に出来た。(絵本グループ)等、その他、いろいろな感想がありました。

最後にお互いにできたところまで発表、私たちの同じ原作の作品も紹介しつつコメントを加えて、講座を終えました。
読み物作りに参加したいけれど、遠方なのでどうしたらよいだろう申し出て下さった方が2名ありました。

(講座補助スタッフ M)