5月31日(日)第20回「多読のためのリライト講座」報告!

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5月31日(日)10時半~16時半 第20回「多読のためのリライト講座」を開催しました。

今回の受講生は、5名全員が大学と日本語学校の先生。それも、クラスで多読授業を実践なさっている方々ばかりでした。最初の自己紹介の時から、早くも、どんな授業の進め方をしているか、についての情報交換が始まりました。
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多読授業入門のDVDを見ていただいたところ、
初級者しかいない場合にも、全レベルの読みものを並べた方がいいか?
読書記録を学習者に書いてもらうことは必要なのか?という質問が出ました。
初級者しかいない場合、レベルの低い物だけの準備でもいいが、多読を重ねていくと、こんなレベルまで読めるようになるという目標作りには、上級レベルの読みものも見せるのもいいかもしれない。クラスの雰囲気に合わせて・・・ということですね。と、お答えしました。
また、読書記録は、学習者自身の励みになるし、短い読後感を書いてもらうのは、支援をする側にも役に立つので、あった方がいいと思う、とお答えして、実際に使われている日本語学校2校の読書記録の用紙を見ていただきました。
日本語学校の先生から、読書そのものが好きではないようで、多読授業に集中してくれない学生がいる、どうしたらいいだろう、という質問がありました。DVDを見てもらう、というのは多読による読解力をつける、という学校側の趣旨と違ってしまうので難しいとのこと。参加なさった皆さんからも、写真や絵の多い物を勧めてはどうか、漫画はどうか等のアドバイスもありましたが、ほとんどの試みは実行済みのようでした。手を変え品を変えアプローチしてみる、ということにつきる、というお答えしかできませんでした。

学習者体験の時間です。英語のORTを見ていただいてから、児童向けの絵本や、GRも読んでいただいて、ネイティブ向けの本と外国語として英語を学ぶ人向けの本の違いも確認していただきました。ORTを見ながら、みなさん口々に、「こんな本が、日本語にもあったらいいのに・・・」とおっしゃっています。私も同感です。
今回は、アメリカで日本語を教えていた方、現在教えている方もいらっしゃったので、学習者の心細さ体験として韓国語の絵本も見ていただきました。

お昼は、みなさん、お弁当持参です。多読授業のそれぞれの状況などについて、お話をされながらの、濃い~いランチタイムでした。
ちょうど良い機会でしたので、すばらしいイラストの入った「日本語読みもの」数冊を、皆さんにお見せしました。これは、今回受講してくださったアメリカの大学の先生が、図書館多読の成果として、当NPOへ贈ってくださった物なのです。先生から「こんな物を作れ」と指示したのではなく、授業に触発されて学生さんが自発的に作った物だそうです。感動!感動!

午後は、「やさしい英語の読みもの」とはどんなもの?という質問から始めました。みなさんから、「短い文」「シンプルなストーリー」「大きい文字」など、どんどん「やさしい」のエッセンスが出てきました。
では、これから「やさしい日本語の読みもの」を作りましょう。ということで、まず、2班に分かれていただきました。イソップの「ネズミの相談」をレベル1に。あの、猫の首に鈴を付けようとする話です。講師が何も言わないうちに、当然のことのようにイラスト担当が決まり、面白い「読みもの」ができあがりました。
1つの班のタイトルは「困った!」。1つの班は、ネコはネズミを襲わずに、ネズミのチーズを奪うストーリーに。どちらもシュール!ネズミ1・2・3とせりふのキャスティングまでして発表してくださった班もあり、講師が楽しませていただきました。
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次に、メンバーを換えた2つの班で、芥川龍之介の「羅生門」をレベル4にリライトしていただきました。大胆に
カットする班と、言葉の置き換えを吟味して行く班。できあがったところで発表。そして、最新刊の多読ブックスの「羅生門」の文と、比較していただきました。
多読ブックスでは、物語の時代的、位置的背景を説明してから物語が始まっていることに、みなさん、すぐに気づかれたようです。
最後にみなさん、「楽しかった」「有意義だった」と言ってくださったのが嬉しかったです。

(松田 緑)