3月22日第19回「多読のためのリライト講座」報告

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3月22日(日)10時半~16時半 第19回「多読のためのリライト講座」を開催しました。

まず、今回参加なさった8名の受講生に、現在のお仕事、このリライト講座に参加なさった動機は何か、を話していただきました。
大学、日本語学校、インターナショナルスクールなどで、既に日本語多読を授業に取り入れていらっしゃる先生と、これから多読を取り入れた授業を始めようと思っていらっしゃる先生。ボランティアで外国人学習者に日本語指導をしていらっしゃる先生、人工知能(!)を使って語学学習のシステムを開発しようとしている会社の方などでした。
多読については、皆さん、だいたいのことをご存じのようで、その授業での使い方や、学習者への対応を知りたい。自分なりのリライト体験もあるが、指導を受けながらリライトしてみたい、というようなことが動機のようでした。
初歩の日本語を学ぶのに、日本の絵本はどうか?という質問があったので、絵本の難しさについて説明しながら、多読用読みものを作り始めた初期の頃の話をしました。

多読授業入門のDVDを見ていただき、授業の始め方、授業中の教師の役割、多読が読むことだけでなく、話すことにつながることを、知っていただきました。
やはり大学で多読を実施している先生からは、評価をどうするか、という質問が出ました。
出席で評価する。あらかじめ多読読みものを1冊だけ隠しておいて、それを読ませて簡単なテストで評価する。何か他のものを読ませて理解度を評価するぐらいしか、考えられない。本来テストで多読の成果を測るべきではないのだが・・・。と、お答えしました。

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英語のORTを見ていただいて、学習者の気持ちを体験しました。
文のないORTから、少し長い文が出てくるものまで。そして、英語多読の初期に人気のネイティブ児童向けの絵本も見ていただきました。

お昼は、ほとんどの方がお弁当持参で、楽しいランチタイムになりました。動物やお人形の形のかわい~いクッキーのお土産もいただき、デザートも充実。
元気に午後の部へ突入。

午後のリライトは、まず、簡単にリライトのポイントの説明をしてから、4名ずつ2班に分かれていただきました。イソップの「北風と太陽」をレベル0に。

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皆さん、拍子抜けするぐらいリライトのコツのようなものを心得ていらっしゃる。
つまり、授業で多読を実践してみたり、これからやってみようと思って準備をなさっていたりで、絵に語らせることを、当たり前のことに思っていらっしゃるのです。
ただただ、ことばを置き換えようと苦心する方が多かった初期の頃のリライト講座と、変わってきたなあ~と思いました。
次に、席替えをして、組む方を換えて、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」をレベル3にしていただきました。こちらも、早速「極楽は、天国と、言葉を起き換えるだけでいいのだろうか?
極楽についての説明を、どうやって入れたら、よりわかりやすくなるのだろうか?」という、この読みものが日本語学習者に、すんなり理解されるものでなければ、楽しめないということが、わかっていらっしゃる方々の話し合いになっていました。
リライトしたものを、発表していただき、よむよむ文庫から出ている読みものとの比較もしました。

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リライトの感想として「極楽の説明を加えるなど、自由度が高くて驚いた」「イラストやページめくりをストーリー展開にどう活かすか、を体験できたのがおもしろかった」という声もありました。
最後に、今日の講座の感想をお聞きしたところ、大阪から参加してくださった方が、「日頃使っている多読読みものが、どんなところで作られているのか、見てみたくて来たんです」とおっしゃってくださった。何だか、とっても嬉しい言葉でした。

はい!わたしたちが、こういう所で、作っているのです!

(松田記)