2月25日 ファンドレイジング企画「北朝鮮映画を見る会」の報告

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2月25日(火)19時から、東ドイツ出身のYさんによる「北朝鮮映画の集い」を開催しました(正会員が企画したNPO支援も兼ねたイベント)。
1年半前から当NPOの日本語クラスに通っているYさんは、多読で日本語を学ぶやり方をとても気に入ってくれています。日本在住歴は10年を越しますが、普段日本語を使うことはあまりなかったとのこと。それがこのところ日本人の奥様との会話も日本語率がぐんと高まってきたそうです。このYさん、過去に2回北朝鮮を訪れたことがあり、北朝鮮映画の専門家として本も出版しています。それを知って、Yさんの日本語を使ういい機会+NPO支援の寄付金集め+「多言語」にふさわしい日本人、外国人の交流という一石三鳥も狙った欲張り企画を立ててみました。

集まったのは、ウェールズ人のB級映画専門家、実験的映画を製作しているフランス人監督、ピアニストの韓国人、韓国育ちの日本人、私たちの英語講座受講生、などなど、国際色豊かな12人。さすが「多言語多読」?!

上映されたのは、フィンランドのカメラマンによるショートドキュメンタリー「ピョンヤン・ロボガール」(2001年)と1980年代~90年代に制作されたプロパガンダ映画4本を編集したもの

「ピョンヤン・ロボガール」は、信号がない北朝鮮の交差点に立つ女警官のまさにロボットのような動きを捉えたもの。交代して持ち場を離れるときも歩く姿はロボガール。まじめに職務をこなしているのだろうけど、笑ってしまいます。
・交通量がとても少ないけど、そこは中心街?
・今でも信号はないの?
・どこ製の車が多い?
など質問が飛び交いYさんは丁寧に日本語で答えていました。

次は、いよいよYさん編集の「将軍様万歳・・・北朝鮮映画の断片集」
このフィルムに登場するのは4本のフィルム。それが本当に断片になって、繰り返し登場します。その4本とは
①「指令027」(1986年)
②「いつまでも忘れない」(1999年)
③「私の幸せ」(1987年)
④「平壌(ピョンヤン)の四季」(1990年代)

①「指令027」は、朝鮮戦争時代が舞台のアクション映画。北朝鮮の兵士が前線をこえて韓国の兵隊と戦う。テコンドーをこれでもかこれでもかと見せ付ける。銃器を持っているのにテコンドーでやりあうおかしさ。テコンドーのテクニックは抜群。テコンドーのうまい兵隊を起用して作ったとか。

・テコンドーは韓国伝統のスポーツではなく、占領時代の空手から変化したものだと、韓国人がコメント。日本人一同「へえ~!」

②「いつまでも忘れない」は、1990年代の飢饉の際に、兵士と農民が力を合わせて田圃を作ったり、高波から土地を守ったりした美談を決して忘れないようにという意図で作られた感動巨編。
③「私の幸せ」は、朝鮮戦争の最中、偉大なる将軍様のために身をささげる若い看護婦たち。
④「ピョンヤンの四季」いろいろな季節の美しい景色、ダンスやスケートに興じる人たち。なぜ国民は闘ったのか、それはここに描かれているパラダイスに生きるためですよ、と伝える国家賛美のドキュメンタリー。

未知の国、北朝鮮。こういう映画を子どものときからず~~っと見て育つ。外国映画は上映禁止。インターネットも国内のみ。
ーーみんなこんな自分の国に対してどんな気持ちを持っているのだろうか
ーー日本の戦前も全くこんな感じだったんだろう。
一同、しばし複雑な思いを語り合う・・・。ピアニストの韓国人のお父さんは北朝鮮出身だそうだ。「帰りたがっていたけど、亡くなるまで一度も国に帰れなかった」

上映終了後、ビールとささやかなおつまみで、メンバー紹介をしつつ、英語、ちょっぴり韓国語、ちょっぴりドイツ語、のおしゃべりを楽しみました。

次はB級映画もいいし、フランス人の第3作目(?)、本人は退屈だというカットなしワンシーンの登場人物2人、しかし2人は全く交流しない、そんな映画もいいかなと。

参加してくださったみなさんありがとうございました。
そして、1時間以上、堂々、みんなの前で日本語でがんばったYさん、貴重な映像と解説をありがとうございました!!
こんなに素敵な集まりだったのに、写真を撮るのを忘れてしまったのは大失敗でした。この雰囲気をお見せできなくて残念!

(川本)