今日からはじめる「字幕なし多観」のすすめ

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字幕なし多観

【字幕なし多観】とは―アニメやドラマ、映画などを字幕なしでたくさん観ることをいいます。最初はやさしいアニメやよく知っているドラマなどからはじめます。「映像」や「音」から内容をつかむことに慣れてくると、字幕なしでも楽しめるものが増えていきます。聞き取りの訓練や、単語の暗記・文法学習は必要ありません。英語の音に大量にふれ、「場面」や「気持ち」と一緒にことばを吸収していくうちに、次第に細部まで楽しめるようになります。

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誰でも「今日から」はじめられる!

字幕なしでドラマや映画を楽しむことは、ふつうはかなり難しいことだと考えられています。でも実は「多読的」なやり方なら、英語力に関係なく、誰でもすぐにはじめられます。しかも、素材は手に入りやすく、比較的低コストで続けられ、ほとんど最初から楽しい! 実際に思い切って字幕を消した人達は、趣味や息抜きとして、ずいぶん気楽にアニメやドラマを楽しんでいます。
―本当に!?

字幕なし多観のいいところ
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字幕を消すと見えてくるもの、聞こえてくるもの

Tipsセリフは聞き取れなくていい?

字幕なしだとセリフが聞き取れない、だから楽しめるはずがない―そう考えるひとは多いかもしれません。けれども、色々な素材を試してみると、意外にも、セリフが聞き取れなくても楽しめるものが見つかります。どうしてそんなことが起こるのか?

Tipsわからないけれど、おもしろい

実は、字幕を読むことをやめると、画面全体へより気持ちが向くようになります。そうすると、今までは気づかなかった登場人物の表情や声の調子、背景音楽などからいろいろなことが伝わってきます。そこから「場面」や「気持ち」をイメージすることができれば、次第に物語に引き込まれ、中には「セリフはよくわからないけれど、おもしろい」というものがでてきます。ひとつでもそういう作品に出会えると、それをきっかけに、少しずつ「字幕なし」で楽しめるものが増えていきます。

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今日から「字幕なし」で楽しむコツ

とはいえ、いざ「字幕なし」で観ようとすると、最初はだれでも、セリフを聞き取ろうと肩に力が入ってしまいます。そこで、≫ 多読三原則 の登場です。

※原則の1番目「辞書は引かない」は、字幕なし多観に合わせて「字幕はつけない」に言い換えています。

1.字幕はつけない
(※ 辞書は引かない)

字幕を読むことに気を取られてしまうと、映像や音から「場面」や「気持ち」を読み取る事ができなくなります。ここは思い切って字幕はつけずに、映像と音で物語を楽しんでみましょう。

2.わからないところは飛ばす

とはいえ、字幕なしでは、聞き取れない・わからないところが当然でてきます。そういう時も決して立ち止まらず、映像に合わせてどんどん先へ進みましょう。セリフは聞き取れなくていい!

3.合わないと思ったら投げる

飛ばしているうちに、話の筋を見失ったり、内容に興味がもてなくなることがあります。そうなったら観るのはやめて、次の素材を探します。「投げた」素材は多ければ多いほどいい!

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「字幕なし」で観てみよう!

ではいよいよ、字幕なし多観がどんなものか体験してみましょう。これからご覧いただく動画は、Peppa Pig という、世界中で人気のイギリスのこども向けアニメです。主人公の Peppa(姉)を中心に、George(弟)、Daddy(父)、Mummy(母)のブタさん一家のほのぼのとした日常を描いています。

Peppa Pig – Hide And Seek(5分)

いかがですか? 細かなところはぼやっとしていても、「ストーリーやキャラクターの感情はなんとなく伝わってきた」というひとも多いのではないでしょうか? この調子でいろんなものを試しながら、映像と音から「場面」や「気持ち」を読み取ることに慣れていきましょう。そうすれば、アニメでもドラマでも映画でも、楽しめるものがいくつも見つかって、結果的に大量の英語に触れることができます。

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絵と音に頼って観ているだけで、ことばが身につくの?

Tips絵と音が大事

アニメやドラマをたくさん楽しんでいるうちに、最初はほとんど聞き取れなかったセリフも、少しずつ、ぽつぽつと耳に飛び込んでくるようになります。そうして聞こえてきたことばと、「映像」と「音」から伝わってくる「場面」や「気持ち」を一緒に吸収することが大切です。ことばが使われている背景をしっかり受け止め、描かれている世界に入り込んで物語を楽しむ―それが、母語のように「聞いた瞬間、わかる」という自然な理解へつながります。

Tipsやさしいことばをたっぷり

アニメやドラマ、映画などは、会話(話し言葉)が中心ですから、どんな作品を観ても やさしいことばにたっぷり触れることができます。やさしいことばは、あらゆる場面で繰り返し使われるため、楽しみながらたくさん触れているうちに、大事なことばの土台をつくってくれます。その土台がしっかりしてくると、これまでぼやっとしかイメージできなかったものが、ところどころ確かな手ごたえを感じるようになって、より深く楽しめるものが増えていきます。

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実践者の声

ではここで、実際に「字幕なし多観」を始めた人達の体験談を紹介します。本当に「字幕なし」でドラマや映画を楽しめるようになるのか? こんないい加減な方法で? 最初は戸惑いもあるようですが、少しずつ、その気楽さ・楽しさを実感していくようです。

モヤモヤ感はありますが、字幕なしでそこそこストーリーを追える自分には、ちょっと感動しました。(カイさん)

多読仲間の間で今話題なのが「字幕なし多観」。多読と同じ手法で、分からない所は飛ばして観るらしい。ということで、Burn Notice シーズン3の第1話でやってみました。結論、結構分かるもんですね。ストーリーはわかったし、楽しめた。4割理解でモヤモヤ感はありますが、字幕なしでそこそこストーリーを追える自分にはちょっと感動しました。多読はじめて10年ぐらい? 人間成長するもんだ。多観、続けてみようと思います。(原文:町の名前をひとつ|2014年)

字幕を外して、どれほど自分の意識が字幕に捕らわれ、余計な能力を奪われていたかに気づきました。(Tsubasaさん)

すきなDVDをとにかく観まくりました。わからないところなんか、ぜ~んぶぶっとばしです。ストーリーさえ楽しめれば本当にOK! つまらない話はやめる! まさに多読です。字幕を外して、どれほど自分の意識が字幕に捕らわれ、余計な能力を奪われていたかに気づきました。ストーリーを読む。ああ言ってるのかな、こういってるのかな、って想像する。登場人物の表情、声のトーンにもっともっと集中する。音より大事な事がたくさん映画にはあるのです。絵本と同じなんですね。今ではやりはじめる前が信じられないくらい、よく聞こえるようになりました。なんといっても、あの、ささやきにしか聞こえなかった音が、ちゃんと音に聞こえるようになってくる。この感覚がたまりません。(原文:多読フォーラム|2013年)

以前はわからないものを見続けるなんて、絶対我慢ができなかったのが、わからなくても楽しめることを知った、わからないことが平気になった(たんぽぽのわたげさん)

まだ始めたばかりなので、わからないものをどれだけ観ても何も変わらない気もするんですけど……。トータル24時間ほど見て今言えるのは、以前はわからないものを見続けるなんて絶対我慢ができなかったのが、「わからなくても楽しめることを知った」「わからないことが平気になった」ことでしょうか。私にとってこれはものすごく大きな変化で、もう別人になった気分です(笑)字幕なし多観、今のところ楽しいのでぼちぼち続けてみようと思っています。(原文:多読フォーラム|2014年)

字幕なしドラマに、何度目かの再再々挑戦。聞き取ろうとしないのも、字幕を読まなくていいのも、なんて楽なんでしょう。(ナナさん)

最近、私もようやく字幕なしでドラマを楽しめるようになりました。きっかけは、去年の夏に、面白い料理番組とトーク番組に出会ったこと。ひとつは、「Naked Chef」として知られる Jamie Oliver の料理番組で、もうひとつは、アカデミー授賞式司会を務めたこともあるコメディアン&女優の Ellen DeGeneres のトーク番組です。どちらも見た瞬間、なんかいいなぁと思って、2人がすごく気に入っちゃたのです。2人ともトークが楽しくて、(もちろん内容が全部わかるわけではないですよ)2人が話してるのを見てるだけで、 心地いいのです。子供があるキャラクターにはまるのと同じ感覚ですね、きっと。そして昨年秋、フォーラムでの皆さんの字幕なし多観の報告を読んで、字幕なしドラマに、何度目かの再再々挑戦。気負わずに見てみたら、なんだかあれ?楽しい!と思えました。「聞き取ろうとしないでぼーっと見てればいいんだ!」「英語が分からなくてもで想像しながら見るのもありだよね!」――なんかパーッと霧が晴れたようなスッキリした気分でした。聞き取ろうとしないのも、字幕を読まなくていいのも、なんて楽なんでしょう。字幕なし多観の醍醐味が少し分かった今、やっと初めの一歩が踏み出せたのかなと思います。(原文:多読フォーラム|2014年)

思った通り何言ってるのかち〜ともわからなかった!なのにどういう話かはなんだかわかってやっぱり泣いちゃうのね。(たんぽぽのわたげさん)

そもそも「音」が苦手で、聞き読みができない(読めばわかるものも聞くとわからない)私が字幕なしで知らない映画を観るなんてできっこないのですが、こんな機会でもなければと、映画を字幕なしで観る鑑賞会に参加しました。予想はしていたものの、映画が始まってみるとものの見事に会話の内容がわかりません。わからないものをいくら必死に集中してみたところで無駄、とはっきりつきつけられたところで大きいネジがひとつ飛んでいった感じでした。会話が殆ど聴き取れないことなんかどうでもよくなったら最後まで辿り着いてしまいました。そして、いっちょまえにうるうるしてしまう。ってどういうことなんでしょうね。鑑賞会が終わった直後の私のtweetがこれです。「思った通り何言ってるのかち~ともわからなかった!なのにどういう話かはなんだかわかってやっぱり泣いちゃうのね。」(原文:多読フォーラム|2013年)

期待していたよりもはやく、英語を感情のこもった言葉として受け止められるようになりました。(カエデさん)

最初に観たのは Whitecollar というドラマです。友人に面白いよと勧められことがきっかけでした。一話目を観てみたところ、面白くてはまりました。台詞はさっぱりわからなくても、映像や表情でストーリーは追えたので、続きもどんどんみました。主人公のニールが格好いい、というのもあって見続けていた感じです。シーズン2の初めごろには、音にとっかかりができたように感じました。また、ニールが危ない目に遭いそうなときにドキドキするようになり、それに気がついて驚いたのもその頃です。シーズン3はとにかく面白く、耳も慣れてきたのか、聞き取れる台詞も増えていきました。シーズン4になると、話していることもかなり分かるように感じました。

次に見始めたのが CHUCK でした。CHUCK は Whitecollar よりも聞き取れないなと思いながらも、ラスト10分になると話が動くのに安心して、惰性で観ていたところ、シーズン1の終わりがけから急に面白く感じるようになりました。実際あんまり聞き取れていなかったようで、感想サイトを見ると、こうだったんだ、という部分もありましたが、それでも話についていくということについては問題ありませんでした。シーズン5最終話を見終わってから、1話を見返すと最初よりくっきり聞き取れているのが実感できました。

期待していたよりもはやく、英語を感情のこもった言葉として受け止められるようになりました。

(原文:多読フォーラム|2013年)

※多読フォーラムなどへの投稿を本人の許可を得て編集・再構成しました。

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さあ、何からはじめよう?

それでは素材さがしをはじめましょう。アニメからはじめるも良し。よく知っているお気に入りのドラマや映画からはじめるも良し。なにしろ「セリフはわからなくてもいい!」ということにしたのですから、気の向くままにいろんなものを試してみましょう。

アニメ

▷こんな人に向いています!
●字幕なしを試してみたい
●絵本が好き、可愛いのが好き
●隙間時間を利用したい

こども向けアニメは、物語がシンプルで短く、はじめやすさという点でオススメです。大人にとっても魅力的な作品がいっぱいあります!


▷例えばこんな素材があります・・・

Sarah and Duck

Ben & Holly’s Little Kingdom

Miffy’s Adventures Big and Small

ドラマ・映画

▷こんな人に向いています!
●字幕なしで映画を観るのが夢
●役者の演技をそのまま感じたい
●海外の景色や衣装が好き

大好きな俳優の出演作や、なんども繰り返し見たことがあるような、お気に入りの作品からはじめるのもオススメです。シリーズものにハマってしまえば、続きを観たさにあっという間に時間が過ぎていくでしょう。好みも入りやすさも人それぞれなので、この記事の最後で紹介しているTipsを参考に、できるだけたくさんの作品を試してください。

ノンフィクション

▷こんな人に向いています!
●物語は苦手
●子供っぽいのはイヤ
●専門的に学びたい分野がある

ドキュメンタリー番組やオンライン講座、プレゼンテーションなどに加え、史実に基づいた映画やドラマ、お気に入りの俳優や歌手のインタビュー映像など、様々な素材があります。自分の専門や興味のある分野なら、背景知識が助けてくれるので意外と入りやすいようです。ただし、会話(話し言葉)が少ない場合は、絵本やアニメ・ドラマなどでやさしいことばも補給するようにしましょう。(≫ やさしいことばをたっぷり


▷例えばこんな素材があります・・・

Jamie Oliver – FOOD Tube

Britain’s Got Talent

National Geographic Kids

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字幕なし多観 Tips

最後に「字幕なし多観」を気楽にはじめて楽しく続けるためのTipsをいくつか紹介します!

tips片っ端から試しては、投げる!投げる!投げる!

セリフを「聞き取る・理解する」ことを放棄しても、映像と音で楽しめる素材は必ず見つかります。そういうものに当たるまでは、次から次へと手に取って、つまらなければどんどん投げる!決して挫折感など抱きませんように。

tipsあらかじめ日本語であらすじや設定をおさえる

このドラマを観たい!でもよくわからない!!なんて時は、インターネットであらすじや相関図を調べたり、初回だけ日本語字幕/吹き替えで観たりすると、設定が頭に入って、その後はぐっと入りやすくなることがあります。

tips眺めてるだけでいい!聞いてるだけで幸せ!!

表情や仕草にうっとり…声にめろめろ…、そんなお気に入りの俳優さんがいれば、字幕なしでも十分に楽しめそうですね。また、壮大な自然の風景や、美しい街並みや衣装など、視覚的に楽しめるものもおすすめです。

tips字幕を外すチャンス!?

今ハマっているドラマがあれば、次のエピソードは字幕を取ってみませんか?知っている登場人物たちだからちょっと安心。胸を借りるつもりでどうぞ。また、お気に入りの映画なども、字幕を外して映像をよく観てみると、今まで気づかなかったシーンに出会えるかもしれませんよ。

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