アンテナが立つと・・・ hug と squeeze

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Tadoku で少しずつ外国語になじんできたとして、
その先はどうするとどうなるのでしょうか?

きょうは今年の大きな仕事はだいたい終わったので
(原稿はどうした!?)
多読普及当初からずっと考えてきたこの疑問について少し書いておきます。
もちろんこれが結論ではなくて、途中の一里塚に過ぎませんが。

Tadoku は母語が身につく道筋をまねするとします。
(をさなごのやうに)
とにかく使えるつまり日常生活をそれほどの不都合なく送れる「ことば」は
外国語であってもだれでも身につけられるとしましょう。
そしてそれは Tadoku で十分身につくとします。(まだ予想ですが)

で、その先はどうなるのだろう?

母語でも、日々の暮らしに使っているやさしいことば以外に・・・
小説を書くのに使う凝ったことば、
仕事に使う専門的なことば、
詩を書くのに使うごく個人的なことばなど、
毎日の暮らしを「越えた」ことばがあります。
外国語でもTadoku ではそういうところに届くのだろうか?
届くとすればどういう道筋があるのだろう?

これがわたしがずっと頭の隅に隠しておいた疑問です。
で、きょうは アンテナ について。
(ちょっと回りくどくなりそうな予感・・・)

つい最近、つぶさんがフォーラムに登場しました。
遠くにお住まいなのに、金曜日の夜に講座に参加しています。
最初に見学で来た時にみんなで英語で話している中で、
どういう文だったか忘れましたが、わたしだったら hug と言うところで
つぶさんは squeeze と言いました。
そこで、それはちょっと普通じゃないですね、と
わたしはつい先生根性を出してしまいました。

するとつぶさんは
「最近読んだFull House:Michelle に出てきたので使ってみました」と言って、
次に会った時にその部分をコピーしたものを持ってきてくれました。

Danny put an arm around her waist and gave a little squeeze.

なるほど、ですね。

わたしの中でも最初につぶさんが 「Full House で squeeze を見ました」と
言った時から、squeeze にアンテナが立っていたのだと思います。
それから1週間の間に squeeze がぼろぼろ見つかり始めました。

kindleで読んでいるのですぐに検索できます。
そのとき読んでいた CHERUB シリーズの第2巻 Class A では、
squeeze(d) は全部で9カ所に出てきて、そのうちの2カ所が hug とも
言える場面でした。わたしの先生根性が間違っていて、つぶさんが「正しかった」
のです。

*Kerry gave her a quick squeeze.
*… and giving her a squeeze

hug の場面で squeeze を使うことはどうも「普通」なようですね。
要するに、つぶさんに言われるまではアンテナが立っていなかったので、
hug しか見えていなかった! そこで、「squeeze は普通じゃない」なんていう
根拠のないことを言ってしまった。

アンテナが立つと今まで見過ごしていたものが見えてくる--
それが大量に触れる、大量に使う機会のある Tadoku のおもしろいところかも
しれないと思います。

そうやってアンテナがたくさん立つほど「ことば」に関心のある人は
日常生活のことばに深さや幅や高さや色が加わって、
小説や詩が書けるようになるのかもしれない--これが
いまのわたしの Tadoku についてもアンテナです。
わたしはきっとこれからしばらくはそういうアンテナを立てて、
Tadoku する人たちを見ていくのでしょう。

ただし別にだれもがアンテナを立てて、だれもが小説家や詩人を目指そう、
なんて言っているのではありませんからね。毎日の暮らしが外国語でも
なんとかなればそれで十分という人は90%以上いることでしょう。
Tadoku の結果は日本語をどう使っているかに近づけばいのではないか?
日本語で小説を書いていない人が外国語で小説を書けるほどの技を
身につけることは必要ないし、まして日本語で詩を書いていない人が
自分だけに通じることばを身につける必要はないでしょう。

今回のこのメモは、Tadoku の先に何があるか考えれば、
Tadoku の姿がもっとはっきりするかもしれない、というだけのことです。

ちなみに、わたしはアンテナをたくさん立てて、どうも「ことばの正体」を見つける
方向に進むらしい。わたしのアンテナの立ち方は次のようなものです。

さきほどのCHERUBシリーズ第2巻ではhug と多少とも互換性のある
squeeze は、2例とも名詞でした。give a squeeze というつながりで出てきました。

残りの7例はどれも動詞でした。hug の方は「ギュー」をする場面で、名詞も動詞も
使いそうです。そのあたりはどうなっているのか?
うーん、また Tadoku から遠ざかりそうな「理屈のアンテナ」が立ってしまいそうだ・・・
でも、つぶさん、ありがとう! Tadoku の先についてもアンテナが立ったので!!

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