いわゆる「GR」の功罪について-- いろいろな人から!

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GR(段階別読み物)についての記事は反響が大きいですね。
やはり多読の大きな柱には違いありません。

YKさん: 5/29の記事を読みました。私は全く後者です。

YKさんは学校英語の影響を大きく受けていると意識しています。
それで「字幕なし多観シャドーイング」を試みているとのこと。
どうぞ、さっぱり洗い流してください!

Yさん: GRの良さ、確かにありますね。ただこれだけに頼るとなかなかPBの道のりは遠く感じました。やっぱりちゃんぽん読みかな。児童書や絵本、ネットサーフに雑誌。ネタはたくさんあります(*^_^*)
酒井 邦秀 GRの良さは良さで評価しつつ、限界を意識するっていうのがいいんでしょうね。
Yさん:限界あります。だから早々に児童書に切り替えました。私は早くPBが読みたかったので。映画やドラマ、歌詞はGRを読んでいるだけじゃなかなか聞こえてこないし。背伸び読みの後の休憩に使った時も。GR、電車の中で読んでいる人多くなりました。

Yさんはモーリンさんよりも古くからの仲間。まだまだGRが主流の時代でしたが、
「チャンポン読み」が効いたようですね。みなさん、参考にしてください!

Kさん: 日本語のほうから一言。
英語には、GRではないけど、ORTやI can read やらやらやら、子供の発達段階に応じた読み物がたくさんありますよね。しかも、使うのはアルファベットのみ。
日本語でも、漢字仮名交じりで挿絵型GRじゃないレベル別になっている絵本が欲しい。私たちでできるだろうか??力量のある画家と創り上げていけたらなあ。
酒井 邦秀: Kさん、なんとか夢を現実にしたいね! GR と一般の本と三本立てに!

Kさんは日本語多読用の段階別読み物 「よむよむ文庫」(アスク出版)や
JGR(NPO多言語多読)を制作チームの一員。
日本語多読読み物をOxford Reading Treeのようにすることはチームの夢と言って
いいでしょう。いつか実現したいものだ・・・!

YYさん:反対意見’は。

*「英語が整っているので」
*「持続力が養える!」は理解できるのですが、原書を気持ち良く読める者にとっては、まさに「苦痛に長い間耐える力が養える!」となってしまって、まったく「功」ではない。
いや、「苦痛」を感じるかどうか、を測るのにちょうどよいから、「功」なのか…??

わたしが舌足らずでした。もちろん原書を気持ちよく読める人にはGRは苦行でしょうね。
「整った英語」に対することばは「生の英語」だとすると、生の英語に慣れていない人にとっては
比較的長い本が比較的楽に読めるので、長い本を読む持続力が養える(場合がある)わけです。

原書がさらさら読める人はGRで多読がいやになるかもしれない。
いや原書がさらさら読めなくても、GRに「お勉強くささ」を嗅いで、多読ってこんなのを
たくさん読むのか・・といやになる敏感な人もいますね。

KKさん: 基本的には、やっぱり本物の作家の力と、それを要約する人の力の文章の力量の差だと思います。あまたにいる誰かが書いた文と、村上春樹の文章が、内容が同じだからと言って同じ響になるとはどうしてもおもえませんから^^;) 本物の文章には、作者の心から湧き上がってきたような独自のパワー、センス、リズム、すべてがその時点で完璧なハーモニーとなって作られています。他の人にそれを表現するのは無理なんだと思います。その上、単語、文体、文法をで制限、または整列させられ、リズムも何もお構い無しにぶち切れになった文章では、どんなに正しかろうと、どんなにアカデミックな言葉が使われようと、本物の文章の魅力に取りつかれた人には退屈で戻れませんね^^;)

KKさんの言っていることはその通りだと思います。そして、特にやさしい英語だけで
書かれたGRには力量の差が顕著な場合があります。けれども、GRも厚みが増してくると
かなり読み応えがあります。それは「功」のところで書いたとおり。
中には原作者の力量を越えているのではないかというすばらしいGRさえあります。
Captain Corelli’s Mandoline (Level 6, Penguin Readers)はわたしにとってはそういうGRでした。
GR版は3万語、原書は15万語ですが、最初GR版を読んであまりにすばらしくて
原書を読んだら、読後感がまったく変わらなかった!

(みなさん、わたしはこれに感動した!という、GRの掘り出し物を教えてください!)

KKさん: 学校英語でだけ来ていたら、その違い、そしてはその魅力の差を感じることはできません。だからGRが好きな人はそこから抜け出せなくなるんでしょう。

まったくです。そのために、「GR-挿絵本-ペーパーバック」と進んだ人を
井の中の蛙を見るような目になってしまうことがあります。それはいくらなんでも、いかんです。

YYさん: GRを読まなくても多読を勧められる方法はないものか…誰か提唱してくれれば、私は飛びついてしまいそうです。^_^
KKさん: うちの教室ではほとんどGRは置いていません^^;)(大人さんがいないからといいうのがあるかも。)だれも読まないし。。昔娘に読ませたとき、”まま、GRの英語って、普通の英語とは違うんだね”と1冊で言ってくれてしまったので、ああやっぱりこれじゃだめなんだな~と思ったんですよね~^^;)受験を控えた高校生に、”これだけは読みなさい!!”と、歴史物やら、科学的なものを読ませるのに使うことはありますが、やっぱりすごく限定的ですね。

「GRは緊急避難用」は言い過ぎだったかな?
「限定的」--の方が巧みな表現のような気がする・・・

Yさん: 久々にGRのお話、面白かったです。通勤で見かける学生さん良く読んでるけど宿題かなと思って見ていました。学校の先生も児童書など勧めるほど読んでいないとか。出版社がレベルわけしている教材として取り扱いやすいと言うのも。大人多読はまだ自由が効くのかな。
… Catherine walked into Wim’s office. “Wim, do you dance?
He stared at her.

http://tadoku.org/sakai-note/archives/2009/05/14_2301.html
多読と文法!

YSHさん、これはまた古い記事をよく覚えていましたね!
久々のGRの話、またいつか登場するでしょう。
その時わたしはどんな見方になっているだろう? 楽しみです!

Yの字とKの字のみなさん、ご意見、感想をありがとうございました。
そしてほかのみなさんも、「わたしはこのGRで多読にはまった!」というような
体験談があれば、ぜひ聞かせてください!

宛先は
Facebook: 酒井邦秀
twitter: kunisakai
NPO多言語多読のメール・アドレス: info attoma-ku tadoku.org

です! よろしくお願いします。

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