4月1日(日) 第39回「多読授業とリライト」入門講座報告

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桜が満開の4月1日に、2018年度最初の「多読授業とリライト」入門講座が開かれ、7名の方が参加されました。
所属や参加の動機はさまざまでした。

日本語の教育機関で教えていらっしゃる方、フリーで日本語を教えていらっしゃる方、日本語教師養成講座を終え、もう少し日本語教育について知りたいと思って参加された方、中学校で英語を教えていらっしゃる方、本作りに関心があって参加された中国人の方などでした。既に多読授業をしている方もいらっしゃいました。

はじめに、NPO理事の松田が、多読とは何か、どうして多読授業を始めたのかについてお話しました。日本語多読の4つのルールについて話し、どうしてこのルールが必要なのか、考えていただきました。多くの方が、たくさん読むことの大切さを意識されていました。

次に、前回の講座と同様、現在大学で多読授業をしている会員の片山さんが、実際の多読授業について具体的にお話しました。

“読めている”というのはどういうことか、質問に答えられれば“読めている”と言えるのか、ということからスタートしました。
そして、絵には多くの情報があるということを知ってもらうために、参加者の皆さんに、実際に“絵を読む”体験をしていただきました。
2人1組になって、文字無しの『14ひきのひっこし』(いわむらかずお作)を1ページずつ“読んで”いきました。初めは皆さん遠慮がちでしたが、少しすると夢中で話し始めました。細かいところにも気づくようになり、本の世界に入っていきました。

「これ、竹で作ったコップだわ」
「おじいさんは寝ているから、このねずみは一番上のお兄さんね」
「誰かいるのかな。木の上のほうを見ている。話しているみたい」
子どもに返ったようで、とても楽しそうでした。
中上級の学生もこのように絵を読む体験をして、レベル0やレベル1の本から読むのです。

多読支援のコツの一つは、学生の好みに合わせて勧めること。テーマ別(怖い話、昔話、動物が出てくる話、日本を知ろう、など)に並べるなどの工夫についてもお話しました。
また、学生同士のグループでのブックトークの大切さや、多読授業における教師の役割についても話して、午前の部が終わりました。

午後はリライト体験です。

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4人と3人の2つのグループに分かれて、イソップ寓話3話の中から1話を選んでレベル0にリライトします。
一つのグループは「ネズミの相談」、もう一つのグループは「ウサギとカメ」を選びました。

語彙表と文型表を見ながら作り始めましたが、使える言葉が少なくて進みません。
すぐに、原文の言葉を易しい言葉に置き換えるやり方ではだめだということに気がつき、場面から絵を考えてそれに言葉をつけるというやり方に変わっていきました。

どちらもわかりやすい作品ができました。

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次は、グループのメンバーを替えて、中級レベルのリライトです。
どちらのグループも『蜘蛛の糸』をレベル3にリライトします。

今度は、極楽と地獄が学習者にわかるかどうかが問題になりました。
グループで話し合っていろいろ工夫をし、はじめの1ページぐらいを作り上げました。

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グループごとにできあがった作品を読みあげて、全員に聞いてもらいました。

リライト体験の後、「リライトがこんなに大変だとは思わなかった。でも、楽しかった」という感想が聞かれました。

この講座に参加された方が、これからもNPOの多読授業の普及や多読本作りの活動に、何らかの形で関わってくださることを願っています。

(白石)