第4回 シンポジウム「図書館多読への招待」 in 多摩 【シンポジウム報告】

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午前の部が終了し、多くの方が都立多摩図書館の司書の方の案内で、グループに分かれ図書館の見学をしました。また書店(センゲージ・ネリーズ)ブースの多読図書の展示・カタログ配布コーナー、NPOの日本語多読図書のコーナーでは、実際に多くの多読図書を手に取り、質問や説明を聞きながら営業の方と熱心に話をする参加者の方たちでにぎわっていました。

実践報告

今年の「学校との連携」というテーマにふさわしく、午後の部は多読を実施している図書館・学校関係者の実践報告を軸に、「図書館多読」について語り合いました。

東海地区代表、都内3図書館より実践報告

  • 「東海地方図書館多読支援の広がり」 豊田高専/NPO多言語多読理事 西澤一
  • 「四谷図書館の多読の木」 新宿区四谷図書館 熊谷典子
  • 「ひきふね図書館の多読活動報告」 墨田区ひきふね図書館 阿部直美
  • 「英語多読はじめました!」 稲城市立中央図書館 高橋仁

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まず、豊田高専の西澤一さんより「東海地方図書館多読支援の広がり」として、東海地区での多読について報告がありました。どのように多読が広がっていったのかがよくわかり、英語多読がまだ始まったばかりの関東地区のよい刺激となりました。


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次の新宿区四谷図書館の熊谷典子さんの発表は「四谷図書館の多読の木」。熊谷さん自身が学生時代に英語多読に出会って英語多読のファンだったそうです。ここ2年間、四谷図書館の多読本が毎月20冊以上、他の自治体に相互貸借で借り出されているという数字が示されました。「英語多読のニーズは確実にある!」という言葉が印象的でした。


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墨田区ひきふね図書館の阿部直美さんからは「ひきふね図書館の多読活動の報告」。以前の多読コーナーから現在の多読コーナーへと発展させ充実してきた様子、毎月定期開催している多読サークルの運営などが語られました。 Oxford Reading Tree はいつでも読んでもらえるよう、複本を禁帯出本にしておいてあるそうです。


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続く稲城市立中央図書館の高橋仁さんの発表は「英語多読はじめました!」。今年から図書館として英語多読をスタートしたそうです。できたばかりの多読サークルの運営の様子など、これから始めたい図書館の参考となる内容だったのではないでしょうか。

多読を取り入れている学校からの実践報告

  • 「英語多読における学校図書館の役割」 明治大学付属明治高等学校中学校 江竜珠緒
  • 「高校多読実績報告」 文京学院大学女子中学高等学校 飯野仁美
  • 「都立高校図書館の英語多読」 都立大田桜台高校 田中真弓

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明治大学付属明治高等学校中学校の江竜珠緒さんの発表、「英語多読における学校図書館の役割」では、司書教諭や学校図書館担当職員の現状、厳しい予算状況が詳しく語られました。そんな状況の中でも「図書館ができること、図書館だからできること」「学校図書館ができること、英語科と一緒にできること」を前向きにやりましょう、というお話には、大変勇気づけられました。


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文京学院大学女子中学高等学校の飯野仁美さんは「高校多読実績報告」として、私立女子中高一貫校で長年取り組んできた多読授業や、学校図書館との連携について報告してくださいました。多読ルームにある豊富な多読図書を活用する生徒の様子など、実際の学校での多読授業の様子、生徒さんたちの声や英語力向上に効果があった話など、楽しい多読の魅力、よさが伝わってきました。


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都立大田桜台高校といえば、創立時から多読授業に取り組んで成果を上げてきた都立高校として知られていますが、現司書の田中真弓さんが、「都立高校図書館の英語多読」と題して、ユーモアをまじえて実際の授業の様子を支援する司書の立場から語ってくださいました。

開催館・都立多摩図書館からの実践報告

最後に、都立多摩図書館の村川茉里子さんより、「都立多摩図書館の多読サービスの取り組み」として、多摩図書館には多くの外国語の児童書や絵本を所蔵していること、多読図書の都立高校へのセット貸出の試行を開始したという報告がありました。

パネルディスカッション

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その後10分の休憩をはさみ、実践報告の時間に参加者の皆さんに書いていただいたアンケートをもとに、8名の参加者によるパネルディスカッション形式の全体会を行いました。
実践報告では質問の時間が取れなかったので、個別の発表者への質問も多くあり、それぞれ発表者に回答していただきました。
最後に Manga の導入についての質問が出て、発表者全員から意見をいただきました。途中から酒井理事長も参加し白熱した場面もありました。
その後、粟野理事から日本語多読の報告として新宿区立大久保図書館の取り組みについて、豊田高専の吉岡さんからカーリルと共同開発している「多読ナビ」についての説明がありました。

来年、第5回シンポジウムは浜松市中央図書館にて開催予定!

最後に西澤さんが閉会の挨拶の中で、来年の第5回図書館多読シンポジウム開催地の発表があり、盛会の中終了しました。その後は、会場を移して懇親会が行われ、親睦を深めることができました。

さて、次回は2018年11月26日(月) 浜松市中央図書館で開催する予定です。浜松市立図書館では、中央図書館を核に3館(中央、都田、積志)に多読用図書を配備しています。お近くの方は、さっそく足を運んでみてください。

また来年も多くの方とお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました。
(理事/米澤久美子)